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世界中のホテルに泊まった僕が独断で語る、いいホテルの条件とは?

心臓血管外科医をしている友人の安水大介さんより、とある写真が飛んできた。凍った湖に穴が空いていて、そこに裸の男が湯船に浮かぶかのように浮かんでいるのだ。話を聞くと北海道の屈足湖でavantoをするのだという。avantoとはフィンランドで冬のタイミングで湖に穴を開け飛び込むことを言う。僕はすぐに「何これ?行こう」と思い立って、一昨日帯広にやってきたのだ。大人になって新しいことにチャレンジすることはドキドキする。

というわけで、飛び込んできたのだが、これが革命的に良かった。色々な人に身体によくないとか心臓に悪いとか言われたのだが(その一人は帯広出身の友人)、全て無視してやってきたのだ。だって心臓血管外科医の大ちゃんがやりたがっているんだからね。人間の身体というのはアイアンマン(長距離のトライアスロン)をやっても思ったが、時々エキストリームなことをすると何か別のスイッチが押されるような気がする。

このavantoを計画した人が北海道ホテル社長の林克彦さんだ。昨日のnoteでも書いたもうひとりの大ちゃんこと、ととのえ親方がプロデュースするサウナがかなりいいらしい。今回は北海道ホテルに生活のベースを構えることにした。

WAGYUMAFIAのワールドツアー中はほぼホテル暮らしだ。ホテルから呼ばれることも多いので、一流ホテルから町のホテルまで世界中色々なホテルに泊まっている。そんな僕が語る、いいホテルの条件とは。それはオーナーの想い入れだと思っている。

北海道ホテルの林社長もその一人だ。帯広のサウナはサウナ偏差値が高い。ほとんどの場所にロウリュが出来る場所があり、本場のフィンランドのサウナのようにほどよい湿度がなんともいい。そして何よりも泉質と水質が素晴らしい。地元への愛を伝えるツールとしてサウナを使ってのコミュニケーションをしている。新たに十数億円を投資してサウナ棟を作ろうとしているのだから、その愛は生半可なものではない。

もうひとりのホテリエの友人、THE SETグループを率いるGeorgi Akirovという男がいる。イスラエル人、そしてウォールストリートで仕事をした生粋の金融マンだ。彼が父とともに手掛けたのがホテル事業だった。ロンドンで出会った僕らは、彼がリノベーションをかけたCAFE ROYALを定宿にさせてもらっている。パリではあのサン・ジェルマン・デ・プレ地区にあるLUTETIAを400億円かけてリノベーションした。このTHE SETグループもプールとスチームサウナ(ハマム)に拘っている。(下の写真左がGeorgiだ)

いいホテルの条件とはオーナーのこだわりが突き抜けているということだ。ブレックファーストは記憶に残るものでないといけないし、ただし何か1品が秀でているとことが重要だ。とにかくクロワッサンが旨いとか、とにかくコーヒーが半端なくうまいなど。長期的に在住できる記憶なんて少ないものだから、一つがとにかく秀でて旨いことが、まだまっさらな記憶力についてとても重要なものになる。

部屋に移そう。僕にとってもうひとつ重要なのは部屋までの距離だ。ここが長すぎるとどんなにいいホテルでも少々げんなりする。リゾートの場合は別だとは思うけど、ホテルとは生活の拠点、いいマンションでも玄関から自分の部屋までなんだかんだで5分かかるといったら、ものすごい時間のロスになる。

部屋は広すぎても面白くないし、コンパクトにそしてファンクショナルに分かったレイアウトになっていると「あー分かっているな」と思う。この北海道ホテルも部屋はコンパクトながら、広がるのが雪景色の庭だ。この時点でスペーシャスに感じる、ベッドも広く、マットレスと枕もこどわっている。この原稿を書いている書斎スペースもコンパクトで調度品もJACOB JENSENの電話があったと思えば、SWANのデスクランプがあったりと、一辺倒じゃないしっかりとしたこだわりがある。

僕がホテルにこだわるもうひとつのポイントはヘアードライヤーだ。わかっているホテルでは、例えば先述のTHE SETグループのホテルでは、このヘヤードライヤーが既にドロワーに格納されていて電源に差し込んである状態になっている。毎回巻いてあるコードを取って、コンセントに差し込む必要もない。香港の定宿でなにげないシティホテルも、パワーは少ないがコードが差し込んであり格納されている。日本の一流ホテルでも、このぐらいのことは改善できるのに、毎回ご丁寧にルームクリーニングのときにクルクルと昔ボーイスカウトで学んだロープ術のエビ結びのようにぐるぐる巻になっている。ホテルにとってこの技術を自慢したいだけなのか、それとも宿泊客の時間を浪費させたいのかが分からない。

僕はWAGYUMAFIAのスタッフにもマイナス1がマイナス100になるとよく言っている。ここがホスピタリティインダストリーの難しいところだが、言い換えるとプラス1があるとそれだけでまた戻ってきたくもなるのがこの業界の面白いところだ。今回の北海道ホテルは確実にリピートする。それは一番大きな理由はやはりサウナの素晴らしさだ。

サンパウロの名門Hotel Fasano São Pauloもこのプラス1をしっかり持っている。それは玄関前にある小さなバーでのカイピリーニャだ。これが記憶に残るぐらい旨い。そう記憶を奪うには、それぐらいが丁度いい。先述のGeorgiのTHE SETグループも、クロワッサンがいいのだ。内装費なんかよりもこのクロワッサンへのこだわりが彼の情熱を共有する一番のポイントだったりする。

これから日本にもインバウンドが回帰する中で色々なホテルもまた増えてくることだろう。この北海道ホテルのようなプラス1のラグジュアリーがしっかり表現されて、なおかつ居心地の良さがしっかり表現されているホテルがどんどん増えてくることだろう。ホテルで過ごす時間が多い人間としてとても楽しみだ。

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