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コースメニューに組み込む揚げ物の威力

コースメニューにおいて揚げ物が果たす役割は大きい。油脂感とサクッという食感が、コースの流れにアクセントをつけるのだ。今日はパナマ大使が帰還されるということで自宅で急遽ランチを振る舞うことになった。ゲストが来るホームパーティーモードの際はこの揚げ物が役に立つ。作り込んでおくのはソースのみ、あとはいつも通りそのときの気分と会話でコースを設定していく。すぐに出すもの、30分後に出すもの、1時間後に出すもの、2時間後に出すもの・・・といったふうに大体の完成時間をずらしていくのが僕のホームパーティのスタイルなのだが、揚げ物は漬け込みと衣さえしっかりつけておけば、あとはいつでもファイアー可能なボランチ的な武器なのである。

ちょうど料理しながら、鶏ももが余ったので営業前のパワーチャージ用に仕込んでおく。醤油ベースのかえしを僕は常に冷蔵庫に入れていて、それが濃い目のめんつゆ的な役割を果たすのだが、アイラップにぶつ切りしたモモをぶっこんで、めんつゆを流し込む。そこに生姜とにんにくをすりおろしたものを入れていく。そこから寝かせること4時間。小麦粉を足して下地を作って、最後は片栗粉を丁寧につけていく。油は米油に限る、唐揚げは二度揚げである。予熱で火入れして、最後に水分をしっかり飛ばしてサクサク感を演出する。世の中に唐揚げ屋さんは五万とあるが、この唐揚げよりも美味しいものは食べたことがない。

カリカリジューシーな唐揚げをホフホフいいながら頬張る。家で作る唐揚げは、最後にしょうがとニンニクの香りが鼻腔を突き抜ける。そこを逃すまいと追いかけるのが熱々の会津米。やはり千切りキャベツとちょっと下世話なポテサラがあったら完璧である。アメリカ進出時に常にいわれたのは「とりあえず揚げ物が俺ら好きだから、揚げ物は必ず入れてくれ」という言葉だった。いつも揚げ物を作るたびにあの時の彼らの言葉がリフレインする。二人で400gのモモ肉だったのだが、ふと気づくと瞬殺で消えていくのが、我が家の唐揚げである。

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