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ありがとう!妄想喫茶、金字塔のキリ番回。

ランチ2セッション、ディナー1セッションようやくのフィナーレ。いつも馴染みのレギュラーゲストな皆さんを目前に、さあ片付けに入ろうとその矢先に「浜田さん、井崎さん、今日来れなかった池袋の風ガクさんよりSMを祝杯にと。」とのサプライズ。心の中に一輪の花がパッと咲いた・・・そんな一瞬だった。スタッフもサプライズを知っていたのだろう、色々な意味で僕の中で心に残る瞬間だった。この妄想喫茶というプロジェクトは、僕の中でレストランにおけるコミュニティの在り方を考えさせられる、そんなプロセスを踏んでいる。

30回の金字塔である。

この数字を達成するためには、相方の井崎英典さんの努力もさることながら、眼の前にいる僕らのサポーターであるゲストの存在無くしては実現出来なかった数字だ。

ポップアップベースでは断トツにトップを走るのがこの妄想喫茶シリーズである。3年間走り続けている中で、コロナ禍が収束した現在でも年に5−6回のペースで開催出来ているのはまさに驚愕である。そして何よりも驚きなのがそのリピート率である。次回の12月のセッションは、即SOLD OUT。リピート率100%というあり得ないコミュニティに成長した。フィンランドから来てくれているゲストは僕らのことをこういった「ヒデ、ヒサト。これはね、ステーキスタンダップコメディなの。」と笑う。そうか、これはSTAND-UP COMEDYなんだ、と僕もハッとした。

ちょうど数ヶ月前、僕はアメリカのSTAND-UP COMEDYの聖地、オースティンにいた。JOE ROGANらに誘われて、初めてのSTAND-UP COMEDY THEATERにいた。全米トップのコメディアンのトークを聞きながら、大爆笑するゲストたち。僕がアメリカに留学したときに英語を勉強したのがこのSTAND-UP COMEDYである。そのスタンダップな存在に僕がなっているというのは面白い表現であるし、実はそれこそが僕らが目指していたフォーマットでもあった。そもそもこの妄想喫茶というプロジェクトは、頭に妄想がついているように僕と井崎さんの妄想を形にするということがテーマだった。

冒頭のスタンダップなトークでは毎度笑うが、まずは1回やって楽しく終わるだろうなぁっと思った程度のものだった。今でも覚えているのが一発目が終わったタイミングで、井崎さんの顔が高揚感に包まれまた次やりましょう!というポジティブなエンディングとなったことを覚えている。数度、もうこの辺りで終わろうかなみたいな瞬間はお互いにあったが(たいていシリーズもののポップはある日突然その終焉を迎えることが多い)、、それでも続いているのは僕らの意思だけではなく色々なサポートのおかげであることは間違いない。続く度に、僕らは未だに僕らの妄想の中で続いているのだから、と自分たちが調子に乗らないように戒めているのも隠れた事実である。

エンターテインメントにはステージセットとフォーマット、そしてコミュニティが必要である。それはいつも僕が描いている幕の内弁当の必須エレメンツでもある。時代設定は30年代、流す曲は常にDJANGO REINHARDTのDJANGOLOGYである。シカゴからドア無しの列車から揺られて牛肉が到着して、ミートパッキングに届くみたいなそんなシーンである。コーヒーも昭和である、最高級のコーヒーをその時の井崎チョイスで攻めた焼きをする。開催当初はこいつら分かっていないなー的なツッコミが世界から到着する。肉は焼きすぎ、コーヒーは焙煎しすぎ・・・、そんなツッコミが入るたびに、あ、ようやくコーヒーと肉が繋がったな、と嬉しくなったことを覚えている。だって、僕らにとってはともにBBQであり、メイラードな遊びなのだから。

脇役たちが無意味に高いのも僕らの遊びのポイントだ。カレー皿、そしてステーキサラ、カトラリーのすべてが特注だ。そして今回からエスプレッソカップまで特注となったことは新しい。神保町でゲットした喫茶店のナプキン入れの隣りに登場したのが特製コースターもオリジナルのアイスコーヒーボトルを並べると実に心地良いデザインになっている。そしてダメ押しで登場するのが30回記念モデルとして登場するのがCOJ記念Tシャツだ。

変わるべきでないものは、変えてはいけない。
変えるべきものは、変わらないように変えるべき。

それが妄想プロデューサーである、僕の使命であると認識している。あくまでもこのイベントの主役は井崎英典である。僕はそのサポートをしながら、コーヒーの可能性を僕らの料理を通して演出できればいいなぁっと思っている。今回のセッション終わったあとに、町寿司にいって泪巻きでワサビチャレンジ。吹いて大笑いする涙目の井崎さんを横目に、実は僕らの方がエンターテインメントさせてもらえているなぁっと感謝するのだった。


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