おにぎりプロジェクト第17弾:「泉橋酒造 いづみ橋」(神奈川・海老名)編
毎月1度の開催をしてきたWAGYUMAFIAとNARISAWAのチャリティイベントこと、ONIGIRI FOR LOVEプロジェクト。17ヶ月目の今回は海老名にあるかわいいとんぼのマークでお馴染みの泉橋酒造さんにお世話になることになった。田植えの忙しい時期にも関わらずご快諾いただけことに感謝したい。泉橋酒造への橋渡しは前回第十六弾のおにぎりプロジェクトを担当いただいた獺祭の森さんからのバトンだ。こういう酒造さんからのリレー推薦はとても嬉しいものがある。栽培醸造蔵として知られる泉橋酒造。全量純米酒にこだわり、なんと46ヘクタールの田んぼを保有している。全原料米のほぼ9割を賄う事ができるという規模で神奈川全域でも2番めの生産規模になるとのことだった。
今回は東京近郊の海老名ということもあり、前入りはせずに朝一で海老名に訪れてからの炊き出しだ。近郊に住んでいる友人たち、そして獺祭の森さんも駆けつけて、ほのぼのとした雰囲気での炊き出しとなった。前夜祭がなかった分、顔合わせとともにみんなで午前中の太陽を浴びながらの作業はとても心地よい緊張感がある。当主である橋場友一さんに、蔵のすぐ裏にある田んぼを案内してもらう。休みに入った蔵の中も丁寧に案内頂いた。どの蔵を観てもその蔵の個性が伝わってくる、個性丹沢山系の伏流水を汲み上げて仕込み水にしているのだが、130mg/Lといった硬水だ。これが生酛にぴったりだった、ご存知のように軟水だと亜硝酸反応が起きにくい。後で飲ませて頂いた夏ヤゴ 13 生酛仕込み・純米酒という13度の低アルコールな限定酒も心地よい生酛独特の酸味を感じられる素晴らしい出来だった。13とはヤゴは十三回脱皮してトンボになるという夏のメッセージらしい。「このトンボに色々と助けられているんですよねぇ」と優しく橋場さんは笑う。シンボリックに一度観たら忘れないこのトンボマーク。季節を変えて、卵やヤゴと姿を変えてエチケットに登場する。「赤トンボは田んぼで生まれ育つ生き物なので、 農薬を減らせば単純にその生息数が増えていきます。」見学させて頂いた田んぼでもトンボが水面をホップするように滑空していた。このトンボたち、海外でも認知度は増えて、輸出量は全体の10%を越え、全体生産総量の30%までを目指していきたいと教えてくれた。
今回もこの仕込み水を使わせて頂いた。NARISAWAはファーベを使った色鮮やかなおにぎり、僕らは赤しそを使って色味をつけて炊いてみた。中の具材は佐島のタコである。握りたてのおにぎりを暖かいまま笹に包んで、いつものようにみんなで届ける。今回は海老名総合病院にお世話になった。エレベーターで移動している最中、まだ職員は外食禁止なんですと伝えてくれた。僕らは少しづつコロナとの戦いが終わりに近づいていると思っているが、まだまだ医療従事者の前線での戦いは続いている。少しでもあのヤゴからトンボに成長していく泉橋の純米酒のように、海老名の素晴らしい季節を、真心を込めて握ったおにぎりを通して感じていただければ嬉しい。この数ヶ月のONIGIRI FOR LOVEのエクステンションプログラムとなっている、ウクライナの子どもたちへのチャリティおにぎり、今回は海老名駅前にて開催した。多くの海老名市民の方々が足を運んでくれて、おにぎりと交換にチャリティ募金に参加してくれた。田んぼの多面的な存在価値について、熱く語ってくれた橋場さん。僕らのおにぎりも1人では完成し得ない、生産者や自然の恵み、そして握り手の心が結び合うことで未来に繋がっていく。一年前もそういえば、こんな太陽だったかなと思い出すように、再び太陽は眩しく、そして高い。すっかり今日のこの一日ですっかりと赤とんぼのように焼けた僕らだったが、橋場ご夫妻の温かさに触れてすっかり海老名が身近になったのだった。泉橋酒造の皆さん、そしてご参加頂いた多くの友人の皆さん、どうもありがとうございましたー。次回は7月いよいよ静岡、青島酒造さんです。
泉橋酒造 橋場友一さん、ゆきさん、酒蔵の皆さん
海老名市役所 健康推進課、商工課の皆さん
一般社団法人 海老名扇町エリアマネジメント
城南信用金庫海老名支店の皆さん
相模川の鮎名人 小原紘一さん
霞町三○一ノ一 渡辺ひと美さん
相模酒米研究会 池上貴明さん、塩脇和弘さん
獺祭 森さん
そして参加いただいた多くのボランティアの皆さんへ感謝します。