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【書評】人生の選択を外さない数理モデル思考のススメ
書評というほどたいそうなものではなく読書感想文です。
筆者の冨島さんはこれまでも数理や科学についての本をたくさん書かれている方で、その最新作です。
一見複雑かつランダムに見える世の中のいろんな事象も、実は数理モデルで明快に記述できるのだということを、多数の事例とともに紹介されており、私も初めて知った話も多く、勉強になりました。
弱い人間関係が実は結構重要なのだというような話は人付き合いがあんまり得意ではない私には耳が痛いです。面倒くさがらずにいろんな集まりに出るようにしないとダメですね。
私が最初に読んだ冨島さんの著作はこれで、数理ファイナンスの入門書としては非常に優れていると思います。
いきなり数式から入って挫折するのではなく、こうした「数理ファイナンスとはそもそも何をしようとしているのか」を大づかみに理解できてから踏み込んだ勉強をするとよいのだろうと思います。
インデックス投資信託がなぜ優れているのかも、数理ファイナンスの基本を学ぶと原理から理解できるようになります。まあ結果だけ知っていれば十分ではありますが、原理まで理解できていればより雑音に左右されなくなるでしょう。
高校生くらいから十分読めると思うので、数理ファイナンスを勉強してみたいと思っている人はぜひ読んでみてください。
あと、もう一冊好きなのはこの本です。
これはもう紙の本は在庫がないようですが、今我々が生きている世界はほぼ確実に誰かのコンピューターシミュレーションであるというほんまかいなという理論(の紹介)です。
しかし、読んでいくと確かに理屈としてはそうなるなあと納得させられてしまい、なかなか面白い読書体験を提供してくれます。
個人的には、「光速がなぜ一定なのか?」という問いへの答えとして、「シミュレーションをしている人がそう設定したから」という回答が与えられるあたりが新鮮でした。
シミュレーションの中の人類がさまざまな観測事実からシミュレーションしてる人の設定まで導き出したというのはなかなか凄いなと思いますが、よくよく考えてみれば仮にこの世がシミュレーション世界なら人類の頭脳もAIですから凄いのかどうかよくわからなくなってきます。
AIはもう人類を超えつつある状況ですから、そういう「超リアル」なシミュレーション世界が再現されるのもそう遠くないのかもしれません。
よかったら私の本も読んでもらえるとありがたいです。