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あなたにとっての「居場所」って何ですか?

こんにちは!NPO法人わがことの副理事をさせていただいております、中村香菜子です。
普段は一般社団法人ぬくぬくママSUN’S代表もしています。

今月私は40歳になります。私自身は高校時代から20年以上「市民活動」とは縁の深い人生を送ってきたなと感じています。

私は寂しがりやな性格で、人とおしゃべりすることが大好きです。
困ったことがあると、自分で考えたり調べたりするより先に、誰かに頼ったり泣きついたり、甘えたりする方が得意です。自分は、自己解決のできないダメな人間だと長年思ってきましたが、そんな私の性格のおかげで、たくさんの場で、多くの人に支えられ助けられ、今生きているんだと思います。もしかして、それが自分のいいところなのではないかなと、最近考えるようになりました。

私には小、中、高校生の3人の子供がいます。そのうち中学1年生の長男が昨年から不登校、いえ、ホームスクーリングという選択をするようになりました。
毎朝、近所の中学生がカチャカチャッと、自転車を動かし登校していく音を聞くたびに、もし、息子が中学校に毎日行ってたら、どんな姿だったんだろうと想像してしまいます。ピカピカのままの制服がクローゼットの中で寂しくたたずんでいます。
まだまだ私の中で「学校に行くのが当たり前」という概念が捨てきれてないのだなと、チクッとする心を深呼吸してなだめます。
思えば2020年春の一斉休校など小さなきっかけはいくつかありましたが、いじめられているわけでもありませんし、特に大きな理由はなかったように思います。ただ、繊細な彼にとって、学校という場所は「安心して過ごせる居場所」ではなかったのだと思います。

「学校は子供の居場所」

今の大人が子供のころにあった当たり前のことが令和の今、崩れていると思います。令和2年度の全国の小中学生の不登校児の合計数は、8年連続増加し続けた結果、過去最多の196,127人となっています。これは1,000人当たり20人を超える人数です。(文部科学省調べ)

19万人もの小中学生が「居場所」を追われているのです。

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地域づくりにおいて、「居場所づくり」はつきものです。

私にとって、「居場所」とは、その「場」ではなく、人とのつながりです。自分の話を聞いてくれる人がいる、誰かの話を聞いて面白いと思う、困った時すぐ連絡でき、そして助けてもらえる、自分も誰かの力になれる。

あなたにとって「居場所」って何ですか?

学校という「居場所」を失った息子に、私は教育センターやスクールソーシャルワーカー、先日わがことnoteでもご紹介したまなびやももさんをはじめ、高松にたくさんある学校以外の「居場所」を夢中で探しました。

そのおかげで、私は学校以外の場所や、不登校や引きこもりの支援が、たくさんあることを知りました。

息子は現在、ほとんどの時間を家で自分の好きなことをして過ごし、時々絵画教室に行ったり、その他自ら行きたいと思った場所にたまに出かけたりする毎日です。

息子にとって「居場所」とはどこだろう。「居場所」とはなんだろう。

と、ずっと考えています。

オンラインゲームの世界にもきっと彼の居場所はありそうです。もちろん絵画教室も、教育センターも、「行ってもいい場」となっていると思います。でも、もしかすると、「家」が一番の彼の居場所かもしれません。


何も話さなくてもいい、安心、安全に「そのままでいいよ」と認めてもらえる場所。我が家は、彼の「居場所」になっているだろうか。と、いつも自問自答を繰り返しています。

2017年に教育機会確保法が完全施行され、学校に必ず行かなくてはいけないという概念はなくなりました。

「学校行かなくてもいいよね。○○に行っているから」
「学校行かなくてもいいよね。家で学習したらいいんだし」

そんな言葉も最近は言われるようになりました。

しかし実際、不登校の子供は、毎日どこへも行かず、家でもこれといった学習をしていない場合のほうが、多数です。うちの息子もそうなのですが、そんな親子たちにとって安易な「不登校でもいいよね」は、少ししんどいものです。
私はこう思います。
「学校行かなくてもいい。家で安心して過ごせてたらいいね」

いつかは元気に学校や社会に関われるようになる彼ではなく、どうあったとしても今現在の彼自身をそのままで受け止めることが一番大切だと考えています。今、彼はゆっくりと自身の「さなぎ」の期間を過ごしています。

そう私が思えるようになったのは、不登校の子供たちやその親たちの「力になりたい」と必死でいろんなところで「居場所づくり」をしている人たちのおかげです。
それは、高松の地域の中にもありましたし、クラブハウスやツイッターなどのオンラインの世界にもありました。それは、不登校の親として孤立しがちな私自身を救ってくれる「居場所」でした。

もう一度聞きます。
あなたにとって「居場所」って何ですか?

地域には、さまざまな理由から「居場所」を探している人。居場所づくりをしようとしている人がいると思います。

「居場所」は、人の数だけ無数にあったほうがいいと思います。あなたの思う居場所の定義、それは全部正解です。

にぎやかな場所、静かな場所、様々な場所、そして「人とのつながり」があることで、たくさんの人が安心して生きていくことができるのです。

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まちづくりは、行政や大企業の力だけではできないと私は思っています。「あったらいいな」「こんな場がほしいな」と思う人の気持ちで、小さな力が集まって作られていくものです。
そんな小さな動きに行政や企業から力を貸していただき、つながり、助け合って豊かなまちづくりをしていくことが理想だと考えます。

小中学生の居場所は「学校」というひとつの場所。
それは、長い間当たり前のことになってきました。しかし、視点を少し変えれば、子供たちも、ひとりひとり違う個性を持った人間。1か所に収まらないのは自然なことのような気がしてきます。
居場所を探している子供たち、親たちがきっとたくさんいます。

令和2年度、不登校の小中学生19万人突破。

まだまだ居場所は足らないのだと思います。
私も自分の力でできることを少しずつしていきたいなと思っています。


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わがことの3人が本を書きました!

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