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【アーマードコア6】ブランチ(真レイヴン)考察〜ブランチと金枝篇〜


作中で、

・主人公に仮のコールサインを与える(意図せずだが)
・惑星封鎖機構の封鎖網に穴を開ける
・ルビコンに企業を呼び込む

など、ストーリーの起点に関わる活躍を残しているが、動機も目的も不明で謎に包まれた存在「ブランチ」。

本考察では、彼らの目的について考察していく。

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※この記事は以下のコーラルリリース考察を元に進めていきます。
是非、目を通してから読んでください。

そんな時間がない方のために、ポイントをまとめておきます。

・621達がトリガーとなったコーラルリリースは、コーラルが全宇宙(人間)を覆い尽くし特異点へと引き摺り込んだ。
・↑の後、コーラルの思考ネットワーク内で取り込んだデータを元に宇宙を再構築。その世界にプレイヤー達が保存したACデータがコーラルによって受肉した。
・↑の世界は、今作のNEST(機体データとプレイヤーを接続し、同じネット空間にいる他プレイヤーと対戦する)と同じ、永遠の闘争を可能にする世界。
・真レイヴンはNEST世界出身かもしれない。

『コーラル・リリースとエンディングについての考察』より

1.ブランチの概要

ブランチは、入れ替わり続ける4人組からなる独立傭兵組織。
目的等は一切謎に包まれているが、惑星封鎖機構と対立し、最優先排除対象となっている。

キング曰く「ブランチは、レイヴンの止り木」だという。

ブランチは”レイヴン”と呼ばれる傭兵を中心とした組織らしく、定期的に現れる彼(または彼女)を待つためにブランチは常に存在している。
ただ、メンバーは常に一緒にいるわけではないようで、任務外での付き合いはほとんどなさそうだ。

普段はあまり絡まないブランチ

ステーション31襲撃によって惑星封鎖網に穴を開けて、企業の抜け道を作ったり、コーラル反応再検出の情報をリークしたりで、ルビコン3を封鎖機構、企業、解放戦線の三つ巴状態にしたのは彼等である。

1.1 ブランチの構成員

構成員は「キング」「シャルトルーズ」「オペレーター」「レイヴン」(以下、まとめて”現ブランチ”という)。

チーム内には序列というか順番があるようで、確定している「キング」が「今の1人目」、「シャルトルーズ」が「今の2人目」と呼ばれている。
STVの書稿で「4人目」に会えなかったとされている事から、「レイヴン」を「今の4人目」とすることが出来そうだ。

それぞれの名前についてだが、レイヴンの名が受け継がれていることは作中でも明かされている。
だが、他のメンバーも先代から名前を継承している可能性がある。

「キング」「シャルトルーズ」はそれぞれ、「王」と「女王」を意味する言葉である。
普段別行動をとるような疎遠な2人が同じニュアンスのパイロットネームをつけるとは考えづらい。2人の名前は先代から引き継いだと考えるのが妥当だろう。

1.2 ブランチの活動

ブランチの目的を考察する前に、彼らのゲーム内に残された足跡を追おう。

  1. コーラル反応再検出リーク

  2. ステーション31襲撃

  3. レイヴン撃墜

  4. 621襲撃(分岐あり)

作中でブランチが関わったと思われる出来事は以上である。

まず、「コーラル反応再検出リーク」。これは、現ブランチの活動でも最も古いと考えられる。

起きたタイミングは、惑星封鎖機構がルビコンに乗り込み封鎖システムを構築してから数十年後。
ルビコン解放戦線のドルマヤンがイケイケで惑星封鎖突破を掲げていた頃だ。

※詳しい時系列は以下の記事参照。

この頃に、真レイヴンはルビコン3に密航を果たし(もしくはルビコン3内で生まれた)、ベリウス大陸で検出されたコーラル反応を星外企業へリークした。

続いて起きたのが「ステーション31襲撃」。
これは現ブランチが全員集まった任務で、封鎖衛星の一つ”ステーション31”を破壊して封鎖網に穴を開けた。
封鎖機構の艦隊を相手に繰り広げられた大激戦だったらしく、ブランチの戦闘技能の高さが窺い知れる。

これにより、「ベイラム」「アーキバス」などの星外企業がルビコンへ密航してくることになった。

そしてその次が、本編直前に起きた「レイヴン撃沈」。経緯とパイロットの生死は不明だが、汚染市街付近でレイヴンのACが撃墜された。

最後が本編内での出来事になる「621襲撃」。
といっても現ブランチ全員が出てくるのは分岐②のミッションだけだ。

分岐①:1周目(ルビコン解放戦線に協力しない)の任務「旧宇宙港防衛」。レイヴンだけの登場。偽物(621)の噂を聞きつけ、戦いを挑んでくる。

分岐②:2周目以降(ルビコン解放戦線に協力)の任務「多重ダム防衛」。現ブランチが全員集まっての任務。ルビコン解放戦線に肩入れする621を誘き出して、ブランチ総出で袋叩きにする。

「621襲撃」「レイヴン撃墜」を除けば、ブランチは常に惑星封鎖機構と戦っていることが分かる。

なぜ惑星封鎖機構と敵対していたのか、理由はいくつか考えられる。

  1. ルビコン解放戦線と同じく惑星封鎖反対勢力だから(思想が違うため合流していない)

  2. コーラルリリースを行うため(オールマインドに従っている)

  3. 反体制過激思想の持ち主、気に入らないから戦っている(ハクティビストと紹介されているので有り得なくない)

  4. コーラルを巡る争いを起こすこと自体が目的、というか宇宙中で(戦争の)火をつけまくってるヤバい奴ら

どれもありなくない理由だが、本記事では”4”の理由であると考察する。
1、2、3の理由は以下の理由で矛盾が生じてしまうからだ。

  1. ドルマヤンがレイヴンを知っている理由になる。しかし、621を襲撃する理由にならない(ルビコン解放戦線に協力的で、アイスワーム討伐で惑星封鎖機構にとどめを刺すのに)。

  2. 企業を呼び込んだことがオールマインドのリリース計画を助ける事になっている。だが、それ以降の接触や戦闘中にリリース計画について触れることがない。
    (621に敗北した際も、あくまで621達が選ぶ未来の話をしているのでコーラルリリースに執着が無さすぎる)。

  3. 1番あり得るのだがレイヴンのいう「資格」は「選び、選択する者」なので反体制的思想の持ち主とは思えない。メンバーにキング(王)という権威主義の象徴とも言える名前をつけるのもちょっと捻りすぎな感じがするので除外。

となると残るは4だけなのだが、これが本当だとするとブランチはそうとうやべー奴等である。

1.3 ブランチの目的

結論から言うと、ブランチの目的は”レイヴンというシステム自体を存続させる”こと。
そして、レイヴンシステムとは

“選ばれた傭兵たち(ブランチ)を彼岸へ渡し、NEST(巣)へ連れていくシステム”

なのだ。

鴉(レイヴン)は夕暮(ナイトフォール)に巣(ネスト)へ還る。

筆者

レイヴンの正体は”傭兵支援プログラム NEST”により遣わされた、集積した傭兵達の意志の集合体。分かりやすく言うと「戦場にしか居場所がない傭兵達が心の底で望んでいることを本当にやっちゃうAI」だ。

NESTはオールマインドとは独立した特殊な傭兵支援プログラム

このレイヴンはNESTに集積された傭兵達の情報から時折放出される、意思のようなものを持ったプログラム。コーラルでいう”異常波形”に近い存在だ。
人間のように姿形がある存在ではない。
「STVの画稿」で4人目(レイヴン)に会えなかったのは、偶然居なかったからではない、居ても見えなかったのだ。

あのSTVが会えないことや、
オペレーターの声しか聞こえないことにも説明がつく。

レイヴンの目的は2つだ。「傭兵達の願いを叶える」ことと、「NEST(巣)に迎えるブランチ(枝)を探す」こと。

傭兵達の願いを叶えるというのは、新たな戦争の火種を作ることだろう。独立傭兵にとって、戦場とは仕事場であり生活の場でもある。火のない世界では、凍え死んでしまうか弱い彼らの為に、レイヴンは主義主張関係なく(最も自由な理由で)争いを引き起こし、”事態を悪い方へ傾けていく”のだ。
ルビコン3では、当初、惑星封鎖機構のワンサイドゲームになり、独立傭兵が介入する隙もなかった。そこでレイヴンは、企業勢力を使って争いを泥沼化させようとしたと考えられる(これが偶然リリース計画やオーバーシアー的にも都合が良かった)。

次に、ブランチ探しについては、レイヴンが上記の戦争を起こすための協力者であり、NESTを大きくするための素材としての役割もある。
故に確たる実力が求められ、NESTに集められた情報から適合者が選ばれ「レイヴンによる候補者との戦闘」または「希望者による前任者の殺害」を持ってブランチメンバーに加えられる。
「キング」「シャルトルーズ」のブランチに対する忠誠度が凄まじいため、”NESTに迎え入れられること”は、独立傭兵にとって”最大の栄誉””一種の信仰”のように扱われているのだと思われる。
ブランチに選ばれた傭兵は、死後、肉体から解放されてNESTで永遠の闘争を約束されるのだ。
NESTが続く限り、彼らの名前が忘れ去られることはない。

NESTと聞いて、すぐに”カラスの巣”へと変換できる
往年のファンへ向けたフロムからのメッセージ

言うまでもなく、NESTの元ネタは北欧神話におけるオーディンと彼に選ばれた英雄だけが往ける”ヴァルハラ”だ。

ヴァルハラはグラズヘイムにあり、ワルキューレによって選別された戦士の魂(エインヘリャル)が集められる。

(中略)

館の中では戦と饗宴が行われ、ラグナロクに備える。

(中略)

オーディンは狼のゲリとフレキおよびワタリガラスのフギンとムニンを従え、この館の王座につくとされる。

『ヴァルハラ』Wikipediaより

オーディンの使いがワタリガラス(レイヴン)であることも、この説を補強する設定である。

では何故、NESTに傭兵達のデータを蓄えるのか?
それは分からないが、ヴァルハラから妄想を膨らませるなら”ラグナロク(と呼ばれるような大きな戦争)に備えるため”ではないだろうか?

因みにラグナロクでは、フェンリルという”大狼”によってオーディンは喰い殺されるらしい。

ラグナロクにおいて、フェンリルの拘束は解け。
主神オーディンを喰い殺す。

狼といえば戦友だが、戦友が誰かを食い殺したような描写は見えない。むしろ喰われていたが…。

あくまでイメージ元なので、深くは考えないようにする。

以上が、ブランチの目的に関する考察だ。


2.ブランチと金枝篇

  • ブランチ(枝)

  • キング(王)とシャルトルーズ(女王)

  • 前任者を殺し、名前(レイヴン)を継ぐ

とくれば、フロムソフトウェアが描いてきた”王殺し”のテーマを今作も受け継いでいることが分かるだろう。

「火継ぎ」「幼年期の終わり」「竜の帰郷」。
前時代の権威(王)を終わらせ(殺し)、引き継ぎ、新たな世界を切り拓く(善いか悪いかは知らない)円環の物語はシリーズ関係なく一貫して描かれてきた。

しかし、今作ではエンディングで王を殺すこともなければ、何かを引き継ぐ様子もない(レイヴンの火は趣旨が近いが)。
そこで、王殺しのテーマを背負ったのが”ブランチ”ということなのだ。

そして、王殺しといえば”金枝篇”である。

イタリアのネミの村には、ネミの湖と呼ばれる聖なる湖と、切り立った崖の真下にあるアリキアの木立とよばれる聖なる木立があり、木立には聖なる樹(ヤドリギ)が生えていた。この樹の枝(金枝)は誰も折ってはならないとされていたが、例外的に逃亡奴隷だけは折る事が許されていた。
ディアナ・ネモレンシス(森のディアナ)神をたたえたこれらの聖所には、「森の王(レックス・ネモレンシス)」と呼ばれる祭司がいた。逃亡奴隷だけがこの職につく事ができるが、「森の王」になるには二つの条件を満たさねばならなかった。第一の条件は金枝を持ってくる事であり、第二の条件は現在の「森の王」を殺す事である。

『金枝篇』Wikipediaより

王を継ぐために必要なのは、金枝(ブランチ)なのだ。

2.1 ブランチの王殺し

ブランチは入れ替わり続ける4人組の独立傭兵だが、この入れ替わる条件が”前任者を殺す”ことなのだろう。

作中の描写の通り、ブランチという存在が王殺しの思想を持った集団であることは隠しようがない。

レイヴンが過去に何度も代替わりしたことと
ブランチの襲名制を示唆している。

これらのことから、

  • 真レイヴン(ブランチ)が何故621を襲ったのか

  • 名義を奪うとは彼等にとって何を意味するのか

が分かる。

621を襲った理由、それは「不完全な王殺しを完遂するため」だ。

本来の王殺しとはどのようなものだったのか。

1.3でも述べたように、レイヴンはNESTで生まれる傭兵達の集合意識である。
新しいレイヴンがNESTから出てくると、前任者のレイヴンとブランチメンバーが迎え入れる。
その後、どちらが強い意志(傭兵達が望む願い)かをレイヴン同士が争い合い、勝った方がレイヴンの名を継ぎ、ブランチを率いていくというものだったに違いない。

しかし、ルビコン3ではこの循環に乱れが生じた。

先代レイヴン(真レイヴンの前任者)がルビコン3で戦乱を引き起こし、企業勢力を誘導したことで、ルビコンが宇宙中で最も大きな戦火を巻き起こすことはもはや必至となった。
「傭兵達のための戦場をここルビコンで作る」。先代レイヴンがその役目を果たした時、目の前に新たなレイヴンが現れた。

先代レイヴンが真レイヴンによって撃墜された後(チュートリアルにいるレイヴン)、ブランチはルビコン星系外を目指した。他星系の新たな戦場の火種を探すために。
しかし、その直前で思いもしない噂を耳にする。

「レイヴンの名義でルビコンに名を馳せる傭兵がいる」

まるで死人が蘇ったかのような出来事に一同は驚くが、やるべき事は決まっている。

“新たなレイヴンが生まれた、いざ迎えに参らん”

ある時は旧宇宙港で、またある時は多重ダムで621を討とうとする。
資格なきレイヴンには死を。
だが、もし621が自由を渇望する運命の奴隷なのだとすれば、金枝を手に王を継ぐ資格があるはずだ。

ブランチにとって、レイヴンが”NESTから生まれた存在でなければならない”という制約はないらしい。”自由を選択する者”、”その選択を貫く強さを持った者”であることが重要なのだ。

或いは、大昔、まだNESTが生まれる前の”最古の王殺し”がそうだったのかもしれない。

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まとめ

長くなったので、要点をまとめます。

  • レイヴンはNESTに集積された傭兵達の願望の化身(AI)

  • レイヴン(ブランチ)の目的は戦場を作り続けること

  • ブランチがレイヴンに協力するのは、NESTに迎え入れられるため

  • ブランチは王殺しの風習を持っており、621を襲ったのも風習を乱さないため

という風な考察になりました。

ブランチはよくオールマインドと絡められてますが、彼らの動機が一緒だとすると作中の行動がよく分からんくて存在がブレるんですよね。
今回の考察で結論つけたブランチの思想を基にすれば、作中での行動にも多く説明がつくはずです。
企業もオーバーシアーも、オールマインドですらも、彼等の「闘争を目的とした闘争」に振り回されていただけなのです。

考察内で書ききれなかった、カラスの習性や文化としての位置付けは「エンブレム考察〜ブランチ編〜」で書くようにします。

長文にお付き合いいただきありがとうございました。

面白かったら是非、こんな説あったよ〜なんて友達に話してみて下さい。
自分はドヤ顔で話しました(恥)。

追記:本考察ではあくまでレイヴンを王とした王殺しについてしか話していませんが、レイヴンの主としてNEST世界に”真の王”がいるかも知れません。
(オペレーターが言っていた可能性は、真の王殺しのことである可能性あり)
今作では、特に語れる事はなかったですが次回作以降なら登場する機会はありそうですね。

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