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魂に響く調べ「パリは燃えているか」

このnoteはアジア車いす交流センター(WAFCA)のスタッフが交代で書いていく交換noteです。

アジア車いす交流センター(WAFCA)は、車いすと教育を通じてアジアの障がいの子どもたちの自立とバリアフリー社会の実現を目指して活動している認定NPO法人です。詳しくはホームページをご覧ください。

本日担当の関谷 司です。今日は、昨年の6月に続き、音楽の話です。

皆さんは「パリは燃えているか」という曲をご存知でしょうか?NHKのドキュメンタリー番組「映像の世紀」のテーマ曲です。作曲者は加古 隆さん。曲名の「パリは燃えているか」という言葉ですが、ヒトラーがパリでのナチス軍敗色濃厚な戦況に苛立ち、自分が出した「パリ廃墟命令」が実施されているかを確認するため、最高司令部作戦部に叫んだ言葉とされています。

加古 隆さんが、この番組のテーマ曲名をなぜ「パリは燃えているか」にした理由は知らないのですが、20世紀の中で人類が犯した象徴的な過ちをこの言葉に込めたのではないかと、私は勝手に思っています。
「映像の世紀」については、この後で簡単にご紹介しますが、先ずはこの曲の調べを聴いてみてください。

いかがですか? ただ悲しいとか重いとか、そんな簡単な言葉では言い表せない深い響きを感じませんか?

「映像の世紀」は、NHK放送開始70周年を記念して1995年3月から約1年間に亘って放映されたドキュメンタリー番組です。数十ヶ国のアーカイブから収集した映像と回想録で20世紀を振り返っています。ちなみに全11回の放映内容は以下の通りで”人類が幾度となく繰り返してきた戦争、紛争“が主要テーマとなっています。

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第1回 20世紀の幕開け  ~カメラは歴史の断片をとらえ始めた~
第2回 大量殺戮の完成  ~塹壕の兵士たちは凄まじい兵器の出現を見た~
第3回 それはマンハッタンから始まった  ~噴き出した大衆社会の欲望が時代を動かした~
第4回 ヒトラーの野望  ~人々は民族の復興を掲げたナチス・ドイツに未来を託した~
第5回 世界は地獄を見た  ~無差別爆撃、ホロコースト、そして原爆~
第6回 独立の旗の下に  ~祖国統一に向けて、アジアは苦難の道を歩んだ~
第7回 勝者の世界分割   ~東西の冷戦はヤルタ会談から始まった~
第8回 恐怖の中の平和  ~東西の首脳は最終兵器・核を背負って対峙した~
第9回 ベトナムの衝撃  ~アメリカ社会が揺らぎ始めた~
第10回 民族の悲劇果てしなく  ~絶え間ない戦火、さまよう民の慟哭があった~
第11回 JAPAN  ~世界が見た明治・大正・昭和~

私は映像を中心に構成されたこの番組を初めて観た時、自分が学生時代に教科書で学んだ20世紀の歴史がいかに上っ面だけのものであったかを思い知らされました。改めて映像が持つ力の凄みを感じます。

一部の国家指導者の判断で、争いや殺戮が繰り返される中、絶望の淵に立たされる多くの人々。それでもなお、前を向いて、明日を必死に生き抜こうとする人々。そんな映像のバックに流れてくるテーマ曲「パリは燃えているか」の調べは“人類は愚か過ちをいつまで繰り返すのか”ということを魂に訴えかけてくる気がします。

現在、2021年になり21世紀も5分の1が過ぎてしまいましたが、後世の人々がいつの日か21世紀を振り返った時、「21世紀は20世紀の教訓が生かされた世紀だった」、そんな内容のドキュメンタリー番組が制作され、そこには
多くの人々の明るい表情が映し出されていることを願わずにはいられません。

WAFCAは「バリアフリー社会の実現」に向け、これからも一歩ずつ歩みを進めていきますが、21世紀を終えた時には、いい意味で”バリアフリー社会“という言葉が、はるか昔に使われていた死語になっている(=バリアがどこにも、そして誰の心の中にも存在しない社会になっている)ことを望みたいと思います。
これからも変わらぬご支援をよろしくお願いいたします。

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