マネージメントの課題
「エンジニアのマネジメントに課題を感じている」という相談はいままでよく聞いてきたし、よく議題として上げられるテーマだと思う。しかしながら話を聞いてみると「マネージメントの対象が何なのか?」という点と「現在起きている問題」が一致していないケースが多い。例えば「バグが多数発生している」という問題に対して「人材マネージメントがうまくできていない」という問題意識である。
たしかにもしかしたら人材マネージメントが問題なのかもしれないが、そこを紐付けるにはあまりにも情報が少なくなんとなくの雰囲気でそのような紐付けをされてしまっている。そういったケースを目にすることが多いので、マネージメントによる課題を整理してみたい。
マネージメントする対象はなにか?
まずやらないといけないことは表面化している問題の根本的な解決ではあるが、そこに関しては少し前に書いた。テクニカルな話ではないけれども、ちゃんと本質と向き合った問題を見つけようというテーマだ。今回のテーマとは外れる話題になってしまうが、割と表面化している問題を「技術的負債」と雑にまとめられてしまうケースも多い。
さて、その上でマネージメントによる課題を感じているのであれば何をマネージしているのか?という点を冷静になって考えてみたい。マネージメントという言葉の意味は「管理」のように訳されるわけだが、不思議なことに何を管理するのかという点が抜けがちになってしまう。
マネージメントをする対象は複数ある。仕事のレイヤーが上がれば上がるほどマネージメントをする対象の抽象度はどんどんとあがっていくわけだが、スタートアップにおけるプロダクト開発でマネージメントすべき対象は大きく分けて次の3つである。
1. プロダクトマネージメント
2. プロジェクトマネージメント
3. ピープルマネージメント
言葉でみるとそれぞれの違いがわかるのだとおもうが、実際に課題に直面している情報を聞いてみるとこの3つが混同されて使われていることが多い。また、自分に期待をされている役割と、自分自身が発揮しようとしている役割が異なっているようなケースもよく見かけたりする。例えば次のようなケースだ。
上司「○○さん、現状のプロダクトをよりよいものにしてほしい。いまのチーム一丸となって最大限のパフォーマンスをだせるようなチームを作ろう」
このようなオーダーをうけた場合、上司はプロダクトのよりよくすること(プロダクトマネージメント)を期待しているのだが、捉え方によってはチームのマネージメントに意識がいってしまうケースがある。確かにプロダクトをよくしていくためには、チームのパフォーマンスをあげていくことは大事なことであるが、ここで意識の持ち方を間違えてしまうとピープルマネージメントの方だけに意識がいってしまう。
本来であれば、プロダクトの方が最終的に成長していることを期待されているわけだが、どうしてこうなってしまうのか。それはマネージャーと呼ばれるポジションの人への期待値が不明瞭というのがある。そのため、口頭で期待を曖昧に伝えるだけでなく、明確なマネージメントの対象を伝えておくことで意識がプロダクトに行くようにしていかなければならない。
ピープルマネージメントへの意識
しかし、どうしても上記のように伝えたとしても意識はピープルマネージメントのほうにいきがちになってしまう。これは仕方のない話で、どこまでも人の問題はなくならないからだ。人に関する問題が100%クリアになることはないと思った方がいい。最終的にはプロダクト・プロジェクトにあまり関係のない、マネージメントにあたる人の好き嫌いから発生するピープルマネージメントの悩みが中心になってきていたりする。
規模が小さい(数十名程度)の組織の経営会議や課題において、人の問題ばかりにフォーカスされるようになってきたら危険信号だと思った方がいい。プロダクトが思うように伸びていないような時こそ、話しやすいテーマである人の話ばかりが取り上げられるようになってしまう。そういった時こそ本来であれば、プロダクトの成長戦略にフォーカスをすべきではあるのだが、解決しやすい(と思ってしまう)問題ばかりを取り上げてしまう。ここは危険信号だと思って、常に誰かがアラートをあげるようにすべきだ。
このような問題の解決策として以下の書籍が参考になる。何の問題について話しているのかわからなくなってきた時の思考のフレームワークとして参考になると思う。
引き続き「プロダクトマネージメント」「プロジェクトマネージメント」「ピープルマネージメント」についてそれぞれ書いていきたい。
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