報道番組の炎上CMでジェンダー問題が浸透する矛盾
報道ステーションが独自でCMを作って流したが、批判が殺到して即流されなくなった。
CMの内容は、20代の仕事をしている女性が、自宅で家族またはPC越しの誰かの前に現れ自分の話をし、一通り話したあと時間を気にして席を立ち、その時間が報道ステーション放送時間というもの。
世の中や政治家への提言や批判も含め、現代人の何気ない会話を軸にしたCMは、一見若い視聴者層に訴えかけるようにしつらえた会話の内容っぽく見える。
個人的に『伝えたい事』は何となくわかったが、現代の闇をきゅっとまとめたような内容が透けて見え、挙げ足取ろうと思ったらいくらでも取れる内容じゃんと首をかしげた。
あえて世間を煽るような作りにしているのかなと思ったが、それにしてもあからさますぎる気がした。
私自身が、首をかしげた所を記してこの気持ちを整理して残しておこうと思う。
1 産休あけて会社に赤ちゃんを連れてこられる事がジェンダー平等?
赤ちゃんを連れてきたのが母親父親保護者いづれかが言及されていない配慮はちゃんとしていると思ったが、その会社の状況はその人の回りの環境のごく一部のジェンダー平等な事象。
自分や自分の周りに達成できている事があればオッケーで、そこだけ切り取って政治家遅れてると言う、根本的なジェンダー不平等は社会的な問題としてまだある(実際は凄くある)という問題は見えていない『女のコ』を演じさせているように見えた。
あくまでもその女性の個人の意見、と言われてしまえばそれまでだが、セリフの言葉選びが安直なんじゃないかと思ってしまった。
2 消費税と国の借金を語るのに化粧水?
税金のコト考えようよという話なんだろうけど、なぜ話の導入が化粧水なんだろうと思った。
キレイになる事は老若男女問わず心が豊かになる事でもあるから化粧水への投資を否定しているわけではないけれど、報道ステーションを見ている女性が考える先行投資の優先順位が化粧水という、外見的なものを選んだという所に、若干ルッキズムの呪縛を感じるし、ジェンダーどこいった?みたいな矛盾を感じた。
3 『コイツ報道ステーション…』のテロップ
恋愛マンガのようなフィクションや、お笑い番組を真似したかったのかなと思った。
報道というジャンルの中で、何の前フリもなくコイツと発言していいものではないと思ったけど、前フリあってもダメですよね。
犯罪者にすら番組内でコイツとは言わないでしょうに。
本当は思ってる以上に、産休なんてとれないし、復帰大変だし、ルッキズムバリバリだし、ジェンダー平等も進んでないし、国の借金やべぇんだよ!という事実を伝えるための反面教師だったかもしれないけれど、世間に溢れる情報の上澄みだけをすくって、聞こえた情報切り取って、自分の周りだけ見て、都合のいい解釈をしてる若い女のコに、報道ステーション見たら人生豊かに(この言葉あんま好きじゃないけど)なるから見て!という上から目線を感じた。
報道ステーションに寄せられるご意見を見ていないので何とも言えないけれど、そこから構築したCMだとすれば、報道ステーションの視聴者は誰で、作り手はどんな思考なんだろうと疑問に思った。
あえて批判されるような内容で挑戦して拡散を目論んだのであれば、迷惑系YouTuberと同じ事にならないんだろうかとも思った。
最後に、CMの女優さんは何の罪もないのになぁと悲しくなった。
この露出から羽ばたく期待や可能性もあったはず。
何回も再生される理由が報道ステーションへのアンチなんて悲しい。
これからの活動に支障や偏見がないとよいけど。