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嗅覚はダイレクトに記憶に結びついているね
安心する匂い
母の実家は、鹿児島の山深い地域で、
高島で言うと泰山寺のような山の上の台地に
たった一軒、ぽつんと佇む家だ。
今思うと、なんだろ?あの立地?という奇跡的な素晴らしい立地。
見渡す限り自然しかない。
牛も敷地に飼ってたし、米も野菜も作る農家だった。
毎年夏は、その自然しかない鹿児島の山の家で過ごしてた。
九州は匂いが甘い。
宮崎空港降りた途端に、九州の甘い匂いがする。(宮崎寄りの鹿児島だから空港は宮崎だった)
母の実家は、土と牛と、牧草の甘い匂いに包まれた場所だった。
毎朝牛の鳴き声に起こされた。
早起きのおじいちゃんが、牛の餌やりをしたら、プワーっと牧草の甘い香りが強くなる。
モォーっと鳴いて、餌をクチャクチャ食べる音まで聞こえる
まだ朝早いから私は布団の中で、その音と匂いだけで楽しんでいた。
夕方が近づくと、おばあちゃんがお風呂を焚いていた。
杉葉で火を点ける。
自分も田舎に暮らし、薪で生活しだしてから、杉葉が燃える甘い匂いをまた味わえるようになった。
大人になって自分で火を点けるまで、意識したこともなかったけど、
私はこの杉葉の燃える匂いがかなり好きだったんだ。
母がごはんを作る横で
おばあちゃんがお風呂を沸かす
山の上なんで、車もなんの心配もない環境で子どもらは自由に遊ぶ
火をつける度に、
あの安心感と、杉葉の甘い匂いが、共に蘇る。
私も暮らしの中で、子どもにそんな記憶残せるかな?
山に娘と冬イチゴ摘みに行ったついでに
せっせと杉葉を拾いながら思った。