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森さん発言はコーポレートガバナンス改革にも逆行
東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長の女性蔑視的発言が問題になりました。「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる。」というものですね。
この話、実はコーポレートガバナンスとも強い関係がありそうです。
ご承知の通り、ガバナンス改革の流れにおいて社外取締役など社外の役員の役割が重視されています。
令和元年会社法改正により社外取締役の設置が義務化され、現在両コードフォローアップ会議においてもコーポレートガバナンスコードの改定に向けて独立社外取締役を3分の1以上にすべきという議論がされています。
取締役会において社外の人が増えると言うのはどういう意味を持つのでしょうか。
これまでのわが国における会議の特徴は、同質性の高い集団(ずっと同じ組織に属してきた、日本人の、往々にして高学歴の、年配の男性)の中で、ハイコンテクストの文化のもと、「言わなくてもわかるよねー」と言う雰囲気で明確な議論の必要もなく採択されるという点にありました。もちろん、これはこれでもちろん良いところもありました。
他方で、それはやはり不透明ではないか、と様々ガバナンスの議論の中で見直され、見直しの一環として「外の人=社外・独立役員」を入れるという流れになっているわけです。
そして、同質性の高い集団の会議に外の人が入るとどうなるか。「これはこういうものだよね」「じゃあそういうことで」と、話が終わりそうになったとき、社外役員としては「これとはどういう意味ですか」「なぜそうなるのですか」「どういうリスクがあるのですか」と改めて聞かざるを得ません。その結果、もうお分かりですね、会議が長くなるのです。
(もちろん会議が長いこと自体は「善」ではなく、その分、役会の付議事項を見直すなどのタイムコントロールは必要です)
そして、社外役員を女性に置き換えても同じことが起きるわけです。
「女性がいると会議が長くなる」と述べるのは「社外取締役が入ると会議が長くなる」と述べることと同じようにとらえることができるのです。
そのような意味で、森さんはガバナンス改革途上の我が国の流れとは真逆の発言をしてしまったのです。
本件は、様々な意味で現状についての象徴的かつタイムリーな事件だったと言うことができるでしょう。
余計な追伸と雑観
個人的には、女性、特にワーキングマザーの方が「日本人の高学歴のおぢさん」達よりもよっぽど会議の時間に厳しいとは思いますが、それはもちろん個人によって異なります。
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