和田倉門法律事務所

東京都千代田区で企業法務と税務を専門に取り扱う法律事務所です。所属弁護士が、気軽にお読みいただけるコラムを発信します。なお、記事の内容は執筆者個人の見解です。執筆者へのお問合せは記事末尾のリンクを辿っていただき電子メールにてご連絡くださいますようお願いいたします。

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マガジン

  • 大川原化工機 冤罪 国賠訴訟の概要

    大川原化工機及び同社社長他幹部が外為法違反(不正輸出)として起訴され、第一回公判期日の直前に一転して起訴が取り消された冤罪事件を、弁護人であった当事務所の弁護士が解説します。 最新情報はTwitterをご覧ください。

  • ビジネスパーソンのための法務ネタ帳(弁護士 野村 彩)

    筆者:弁護士 野村彩 /法務を専門としないビジネスマンの方々に向けて、企業法務専門の弁護士が時事問題などの雑観をお話します。 社内研修の講師をお請けした際に、冒頭の「つかみ」で時事ネタをお話することが多いのですが、そのような感覚でお読みいただけますと幸いです。 条文や専門用語をなるべく避けることを目指します。

  • 最新租税裁判例紹介(税理士 原木規江)

  • ビジネスに役立つ消費税 適格請求書方式への道

最近の記事

大川原化工機事件控訴審 F警部補 証人尋問 (原告側による再現メモ)

<一審原告> 代理人 高田剛 警視庁公安部は、平成29年10月から平成30年2月までの間、噴霧乾燥器の規制要件としての殺菌の解釈やその実証方法について、経産省との間で打合せを繰り返していましたね →はい。  あなたはこのうち年明けの3回、平成30年1月16日、26日、2月2日の打合せに参加しましたね →はい。  参加していなかった会も、打合せ後、捜査本部内での情報共有を受けていましたか →はい。  各打合せ後に作成された捜査メモを読んでいましたか →はい。  噴霧乾

    • 大川原化工機事件控訴審 F巡査部長証人尋問 (原告側による再現メモ)

      <東京都> 指定代理人 嶺翔士 乙53・乙103を示す。 これら指定代理人が証人が聞いた内容を記述し、それを証人が確認して署名押印したものか →はい。 何か修正や付け加える点は →乙103の2頁目、3段落目の4行目を「雑談として話そうと思い」から「情報共有と相談のため」に修正します。 証人は陳述書に記載の通り、本件外為法被疑事案に従事していたか →はい。 あなたは当時、安積警部補の補助者だったか →はい。 要件ハについて、第一審で安積警部補が島田氏の取調べにおいて

      • 大川原化工機事件控訴審 M警部補証人尋問 (原告側による再現メモ)

        <東京都>指定代理人 布川尚基 乙17(陳述書)を示す この陳述書は証人が話した内容を東京都の指定代理人が記述したものか →はい。 付け加える点はあるか →ない。 相嶋氏の取調べを担当したか →はい。 証人以外で担当した取調官はいるか →いません。 相嶋氏の取調べはいつから行ったか →平成31年1月頃から 証人は平成30年10月から捜査に従事、その後相嶋氏担当ということだが、捜査資料は確認したか →はい。  どのような捜査資料を確認したか →捜索差し押さえたで

        • 安積警部補 証人尋問 完全再現

          被告東京都指定代理人寺本 乙第1 0 号証を示す この陳述書は、私たち指定代理人が証人からお聞きした内容を記載し、証人がその内容を確認した上で署名押印したものに間違いありませんか。 →はい、そのとおりです。 この陳述書の中で、訂正したり付け加えたりしたいところはありますか。 →はい、1 か所あります。3 ページの(2) のア、1 行目から2 行目にかけまして、「原告会社の製品カタログを見せながら」とある箇所を、「一般的な噴霧乾燥器の図面を見せながら」と訂正をさせてください。

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        • 大川原化工機 冤罪 国賠訴訟の概要
          26本
        • ビジネスパーソンのための法務ネタ帳(弁護士 野村 彩)
          23本
        • 最新租税裁判例紹介(税理士 原木規江)
          6本
        • ビジネスに役立つ消費税 適格請求書方式への道
          1本

        記事

          最終準備書面(冒頭部分抜粋)

          はじめに  本準備書面は、証人尋問及び原告ら本人尋問の結果を踏まえ、原告らの主張の正当性を改めて明らかにするものである。  証人尋問では、警視庁の現職警部補2名から、捜査幹部が事実を捻じ曲げて立件に漕ぎつけた過程が赤裸々に語られた。その証言とこれまでに顕出された客観証拠を合わせると、捜査開始から起訴までの経緯は大要次のとおりである。 ⑴ 端緒と初期的な捜査  平成27年3月に実施されたシステックの講習会で噴霧乾燥器の情報を入手した警視庁公安部は、数あるメーカーの中から

          最終準備書面(冒頭部分抜粋)

          原告島田 本人調書

          6月23日に行われた島田元取締役対する尋問結果を公開します。尋問調書をベースに一部誤記を校正したものです。 1.原告主尋問(1)導入 <原告ら代理人高田> (甲第1 6 2 号証を示す)陳述書を示します。1 ページ目の署名押印は、あなたによるものですか。 →はい。 署名後に見付けた修正すべき点はございますか。 →5 ページ4 段落目、「なお」から始まる「平成24 年2 月2 3 日」は、正しくは平成24 年1 月24 日です。 その他の内容はよろしいですか。 →はい。

          原告島田 本人調書

          原告大川原 本人調書

          6月16日に行われた大川原社長に対する尋問結果を公開します。尋問調書をベースに一部誤記を校正したものです。一部、示した証拠の一部を画像で貼り付けています。 1.原告主尋問(1)導入 <原告ら代理人高田> (甲第161号証を示す)陳述書を示します。1枚目の署名欄、お名前と押印、あなたのものですね。 →はい。 内容は間違いないですね。 →はい。 (2)噴霧乾燥器の主要メーカー まず世界の噴霧乾燥器メーカーについて教えてください。現在、世界の主要メーカーはドイツのGEA

          原告大川原 本人調書

          駒方検事 証人尋問再現(統合版)

          駒方和希検事は、2021年4月に東京地検公判部に着任し、前任の加藤和宏から事件を引き継ぎました。既に弁護人側の実験で測定口の温度が上がりづらいこと明らかにされ、経産省の捜査メモの開示を求められている厳しい状況でした。証人尋問では、経産省の捜査メモの内容、及び公訴取消の理由が焦点となりましたが、駒方検事は、経産省の捜査メモは公訴取消の理由にはなっていないと証言しつつ、その内容については記憶にないと繰り返し述べました。また、起訴をした塚部貴子検事の判断については、やむを得なかった

          駒方検事 証人尋問再現(統合版)

          経産省T検査官 証人尋問再現(統合版)

          経産省の上席安全保障貿易管理官T(当時)は、2017年10月から2018年2月に行われた経産省と警視庁公安部の打合せに10回程度出席していました。打合せでは公安部の殺菌概念及び証明方法について難色を示していたことが明らかになっていたところ、T検査官は「個人的な発言であった」と陳述していました。証言台でもそのスタンスを崩さず、曖昧な証言に終始していたことから、当事務所は独自に入手した経産省内部メールを弾劾証拠として提出し、当時の経産省内部の議論を明らかにしました。 以下は、被

          経産省T検査官 証人尋問再現(統合版)

          経産省K課長補佐 証人尋問再現(統合版)

          経産省安全保障貿易管理課のK課長補佐(当時)は、2017年10月から2018年2月に行われた経産省と警視庁公安部の打合せに数回出席していました。公安部のH警部補の証人尋問では、当初経産省は消極的であったが、2月8日の打合せでK課長補佐が「ガサはいいと思う」と協力の姿勢に転じた旨との証言が出ており、経産省側からどのような証言が出るか注目していました。また、経産省が本件輸出当時に「殺菌」について明確な解釈を有し、業界に知らしめていたかも重要ポイントです。 以下は、被告東京都、原告

          経産省K課長補佐 証人尋問再現(統合版)

          塚部検事 証人尋問再現(統合版)

          塚部検事は、逮捕の約8ヶ月前から主任検事として大川原化工機事件の捜査を担当し、公安部による逮捕状請求にゴーサインを出し、勾留請求、起訴を行いました。既に公安部刑事から大きく立件方法に捻じ曲げられた捏造事件であったとの証言が出ている中、起訴前に塚部検事にどの程度の情報が共有され、また、塚部検事が公安部や経産省にどの程度突っ込んだ確認をしていたかが焦点となった尋問でした。 以下は、被告東京都、原告による各主尋問をベースに、原告主尋問、被告国反対尋問、被告東京都再主尋問、裁判所補

          塚部検事 証人尋問再現(統合版)

          M警部 証人尋問再現(統合版)

          M警部は、大川原化工機事件の捜査本部の幹部(係長)で、捜査方針の立案、捜査の指揮を行いました。本件が警視庁公安部による事件の捏造だとすれば、M警部の責任は極めて重いといえます。 以下は、被告東京都、原告による各主尋問をベースに、原告主尋問、被告国反対尋問、被告東京都再主尋問、裁判所補充尋問を統合して、論点ごとに整理したものです。 各尋問及び証言は、当事務所の弁護士のメモをベースにしているため、一部再現に不十分な点がある可能性があることをご了承ください。 1. 導入<東京都

          M警部 証人尋問再現(統合版)

          F巡査部長 証人尋問再現(統合版)

          F巡査部長は、当初証人となる予定がなかった刑事ですが、被告東京都が「T警部補は実験についてあまり覚えていないと言っている。F巡査部長はL8iの実験について細かく記憶しているので、T警部補の代わりに証人としたい」と申し出たという経緯があります。しかし、今回の証人尋問の結果、F巡査部長の作成したL8iの温度測定報告書の内容に虚偽があることが判明しました。 以下は、被告東京都、原告による各主尋問をベースに、原告主尋問、被告国反対尋問、被告東京都再主尋問、裁判所補充尋問を統合して、

          F巡査部長 証人尋問再現(統合版)

          A警部補 証人尋問再現(統合版)

          A警部補は、島田さんの取調べを担当したほか、四ノ宮教授、清水准教授といった有識者の聴取を担当し、捜査幹部による殺菌概念の考案に最も寄与した捜査員です。訴状では、島田さんへの取調べの違法性について独立項目で取り扱うなど、原告側としては事件の捏造に対する帰責性は捜査幹部と比肩するものと捉えてきました。 この統合版は、被告東京都、原告による各主尋問をベースに、原告主尋問、被告国反対尋問、被告東京都再主尋問、裁判所補充尋問を統合して、論点ごとに整理したものです。 各尋問及び証言は、当

          A警部補 証人尋問再現(統合版)

          H警部補 証人尋問再現(統合版)

          2023年6月30日の証人尋問で、本件捜査に当たった警視庁公安部のH警部補が出廷し、大川原化工機事件の捜査の実態を証言しました。「まあ、捏造ですね」との証言がセンセーショナルに報道されましたが、同警部補の証言は捜査全般にわたる詳細なもので、それは経産省と警視庁との間の打合せの内容(捜査メモの内容)に及びます。 尋問は、東京都主尋問→原告主尋問→国反対尋問→東京都再主尋問→原告再主尋問→裁判所補充尋問、の順で行われました。これは証人申請が原告・被告東京都の双方からなされたためで

          H警部補 証人尋問再現(統合版)

          T警部補 証人尋問再現(統合版)

          2023年6月30日の証人尋問。H警部補に続き、大川原化工機事件の捜査で重要なポジションにいたT警部補が出廷し、実態を証言しました。 報道では、追加捜査の必要性を捜査幹部に進言したところ「事件を潰して責任取れるのか。」を一喝されたとの証言が注目を集めました。T警部補は、経産省との打合せにも出席しており、当時の経産省が警視庁の提示した「殺菌」の概念及びその実証方法に疑義を呈していた様子も証言しています。 証人申請が原告・被告東京都の双方からなされたため、尋問は、東京都主尋問→

          T警部補 証人尋問再現(統合版)