経産省K課長補佐 証人尋問再現(統合版)
経産省安全保障貿易管理課のK課長補佐(当時)は、2017年10月から2018年2月に行われた経産省と警視庁公安部の打合せに数回出席していました。公安部のH警部補の証人尋問では、当初経産省は消極的であったが、2月8日の打合せでK課長補佐が「ガサはいいと思う」と協力の姿勢に転じた旨との証言が出ており、経産省側からどのような証言が出るか注目していました。また、経産省が本件輸出当時に「殺菌」について明確な解釈を有し、業界に知らしめていたかも重要ポイントです。
以下は、被告東京都、原告による各主尋問をベースに、原告主尋問、被告国反対尋問、被告東京都再主尋問、裁判所補充尋問を統合して、論点ごとに整理したものです。
各尋問及び証言は、当事務所の弁護士のメモをベースにしているため、一部再現に不十分な点がある可能性があることをご了承ください。
1. 導入
<被告国主尋問>
陳述書(丙38)に訂正箇所はありますか。
→ありません。
あなたの経歴だが、平成15年に経産省に入所し、平成29年6月から令和元年6月まで貿易管理部安全保障貿易管理課の課長補佐だったということでいいですか。
→はい。
安保管理課の主な業務は何ですか。
→外為法に基づく貿易管理、国際管理のための法令の整備、指導や法令違反があった場合の事後検査を行っている。
違反があった場合の指導も担当していますか。
→はい。法令を管轄しているので要件解釈も行っている。
原告会社の噴霧乾燥器について警視庁公安部から相談を受けたことはありますか。
→ある。
どのような相談でしたか。
→原告会社が噴霧乾燥器を不正輸出している疑いがある、ということで相談が来た。具体的には原告会社が輸出した噴霧乾燥器が外為法の規制に該当するか否か。
2018年8月5日に公安部からRL5について外為法48条の規制に該当するか聞かれて、該当すると回答しましたか。
→はい。
2.AGの合意の拘束力
<被告国主尋問>
外為法で一定の貨物の輸出を規制する趣旨は何ですか。
→高度な技術を持つ貨物は、国外テロ組織に渡り、軍事転用されるリスクがあるので、リスクの有無を審査し、許可を得たものだけを輸出する趣旨。
輸出貿易管理令別表第1で輸出に噴霧乾燥器が規定されているが、これはAGでの合意によるものですか。
→はい。
AGでの合意は、直接日本国内で効力を持ちますか。
→いいえ。
国内法令を整備することが必要ですか。
→はい。
AGでの合意内容をそのまま日本国内に反映させないのですか。
→それは義務ではない。AGはあくまで紳士協定であり、条約ではない。我が国の立場としては、AGの合意よりも緩く規制することはないが、AGの合意よりも厳しい規制をする可能性はある。
3. 運用通達の定める殺菌概念
(1)「殺菌」に乾熱殺菌も含まれるか。
<被告国主尋問>
貨物等省令2条5号の2では、イロハの要件があり、その解釈を定めた運用通達がある。そこでは滅菌又は殺菌の解釈が、「全ての生きている微生物を除去あるいは当該装置中の潜在的な微生物の伝染能力を破壊することができるものをいう」と書いてあるが、滅菌又は殺菌の解釈はこれでいいですか。
→はい。
経産省が公安部に出した回答を本件回答というが、本件回答の前提として、経産省は滅菌又は殺菌の手法について当時どのような解釈を有していましたか。
→通達に書いてあるとおりである。
殺菌の手法は限定されていないということですか。
→例示はわかりやすさの観点から行っているものであり、手法を限定していることはない。
乾熱殺菌も含まれる解釈ですか。
→そう考えている。
その根拠は何ですか。
→法が何のために規制するのかという趣旨に遡ると、なぜ殺菌ができる必要があるのかは、「メンテナンス」で機器を開ける時に細菌が飛ぶのであれば細菌兵器作成は難しいからである。したがって手法は問わず、手法よりも、滅菌または殺菌ができるかどうかに注目していた。
(2)1種類でも細菌を死滅できれば「殺菌」できるといえるか。
<被告国主尋問>
要件ハの殺菌の対象はどう考えていましたか。
→何らかの菌が殺せればよいと考えていたが、省令政令で例示があるので、そのような生物兵器への転用が可能である危ない菌がどれか殺せればと考えていた。
1種類でも殺菌できればよいのですか。
→はい。
そのように考える根拠は?
→これも趣旨に遡るが噴霧乾燥器で細菌を作って、この菌で生物兵器が作れるのかということであり、軍事転用防止なので1種類でも何か使えればその菌で生物兵器が作れるので。
今は実質的な根拠を話して頂きましたが、そもそも文言上限定されていない、複数の菌でもない。これも根拠ですか。
→はい。
(3)曝露防止性能を要するか。
<被告国主尋問>
噴霧乾燥器が暴露防止を有しているかどうかは要件になりますか。
→条文上もない、実質上も曝露防止機能がなければ兵器利用されないということではないため、要件とする必要がない。
AGの合意との関係ではどうですか。
→記憶は正確ではないが、曝露防止機能をAGも求めていなかったのではないか。
曝露防止は要求されていないが、曝露防止機能を有することを日本法令で要件にするとどうなるか。
→規制が緩くなる方向になると理解している。
(4)運用通達の定めが置かれた経緯
<原告主尋問>
丙4号証(供述調書)4頁から5頁を示します。まず4頁に「イロハのスペックの解釈については、運用通達で示しています。」と記載されています。運用通達は、法令そのものではなく、経済産業省としての法令解釈であるとの理解でよろしいですね?
→はい。
このうち「滅菌又は殺菌をすることができるもの」の解釈は、5頁に記載されているとおりですね?
→はい。
この解釈規定は、AGでの合意を受けて、2003年ころ定められたものですね?
→正確には分からない。AGの合意後に定めたものだとは思う。
クロスフローろ過器の規制要件が、「滅菌をすることができるもの」から「滅菌又は殺菌をすることができるもの」に変わったタイミングですね?
→はい。
この時AGで合意された「滅菌殺菌」の定義と、経産省が運用通達に定めた解釈には、内容に違いがありますか?
→はい。
甲3号証のクロスフローろ過器の箇所にあるテクニカルノートを合わせて示します。訳文を示します。
「AGのDisinfectedはsterilized滅菌と区別して定義されていて、殺菌効果のある化学薬品を使用することにより、と手法が限定されているのに対し、運用通達の定義では滅菌と殺菌が一緒くたに定義されているため、手法の限定が文言上表現されていない。」ということですね?
→そのように理解しています。
この違いは、経産省が意図せずに生じてしまったのか、それともあえて異なる内容を定めたのか、当時の経産省の考えはどちらですか?
→当時決めたのは私ではない。通常考えれば誤訳ということはないので何らかの意図を持って定められたと思う。
あなたは当時の経産省の考えを、いつ、どのようにして知ったのですか?
→・・・(無言)
議事録等で確認したのですか。
→私は見たことはないです。
「何らかの意図を持って」というのはあなたの推測ですか。
→はい
あえて異なる解釈をしたことを対外的に示した説明資料はありますか?
→しらない。
(5)噴霧乾燥器の規制が追加された経緯
<原告主尋問>
デンマークからの提案で、噴霧乾燥機を輸出規制の対象に追加することがAGで合意されたのは、2012年ですね?
→正確に何年かはわかりません。
AGでの合意を受けて、経産省が噴霧乾燥器を日本の輸出管理規制の対象に追加したのは、翌年2013年の政省令改正の時ですね。違和感ないですか?
→ない。
この当時、経産省は、噴霧乾燥器の規制要件ハについて、AGで合意された要件と異なる規制になるとの認識を有していましたか?
→わかりません。
当時の資料で、AGと異なる規制になるとの経産省の認識を示すものは、あなたが知る限り、存在しますか?
→存在しません。
甲4号証を示します。こちらは2013年の省令改正に関して経産省が公表したものです。改正趣旨のところに、レジームの合意を受けて改正を行うものであることが記載されていますね?
→はい。
この立法の過程及び立法後において、噴霧乾燥器の規制がレジームの合意と異なる規制を日本独自に行うものとの説明を、経産省として、対外的に行ったことはありましたか?
→あるかないかも知らないです。
あなたは警察が本件を捜査している時期に管理課の課長補佐として警察と打合せを重ねていたのに、本件規制の内容や沿革について確認していないのですか?
→記憶にない。
あなたが確認した限り、経産省とした対外的に行った事実は確認できなかったと理解してよろしいですか?
→はい。
この立法後において、噴霧乾燥器の規制要件のうち「滅菌又は殺菌できるもの」について、クロスフローろ過器に関して定めた解釈規定が適用されるという説明を、経産省として、対外的に行ったことはありましたか?
→私自身はどこまで周知していたのかわかりません。
4. 法令施行後の運用等
(1)経産省としての運用
<被告国主尋問>
法令施行後噴霧乾燥器の規定の改正はありますか。
→ない。
運用通達の滅菌又は殺菌の規定の改正はありましたか。
→ない。
改正当時から経産省の要件ハの解釈は同じですか。
→特に変更はありません。
当時、原告会社から要件ハの問い合わせを受けた場合、経産省として今の解釈を答えていましたか。
→もし聞かれていればそう答えた。
条文解釈について、別の解釈を経産省が示したことはありますか。別の解釈に基づき指導したことはありますか。
→知る限りない。
噴霧乾燥器の省令の改正の際にパブリックコメント等で意見を求めたことはありますか。
→AGとの議論のプロセスで噴霧乾燥器の関連企業に聞いたと聞いている。また、改正の際には行政法に基づきパブコメを募集している。
法令は国内に周知していますか。
→まず、官報に掲載しているので周知しているし。説明会を開催したり、お問い合わせに答えている。
改正法令に疑問をもつ企業はどうすればよいですか。
→経産省にお問い合わせいただければ話し合う。
該非判定は誰の責任で行うのですか。
→輸出者御本人。
該非判定を本人がやることを定めたものはありますか。
→外為法に基づく輸出基準があり、輸出者が行うことが定められている。
該当すると判断した場合は輸出許可申請をするということですか。
→はい。
どのような観点でこの申請を審査するのですか。
→詳細は言えないが、輸出先の利用方法、御本人の管理状況、軍事転用のリスクがないか、ずさんな管理となっていないかを含めて安全保障上の審査を行う。
疑義を持った企業はどうすればいいのですか。
→専門家に聞くか経産省に聞く。最終的には法律を所管する経済産業省に聞くのが一番である。
大川原が輸出する噴霧乾燥器が輸出規制の対象になるか、経産省に問い合わせたことはありますか。
→AGの議論の時に接触したので、その時に解釈の議論はあったのかとは思う。私が安保課にいたときはなかった。最近はもしかしたらあるかもしれない。
<原告主尋問>
本件に関して警察が捜索差押に入ってからしばらく経った頃、経産省は、大川原化工機に対する行政処分を検討しませんでしたか?
→もう異動していたのでわかりません。
結局、経産省として、大川原化工機に対する行政処分は行いましたか?
→聞いたことはないです。直接指導はしていないと思います。
(2)マトリクス表(運用通達の周知)
<原告主尋問>
甲2号証(安全保障貿易管理ガイダンス)を示します。これは、経産省が事業者向けに安全保障貿易管理の実務について示した指針ですね?
→はい、そうだと思います。
5頁を示します。我が国の安全保障貿易管理制度は、国際輸出管理レジームでの合意を受けて、法令に基づき実施されていますね?
→はい。
23頁を示します。こちらは、規制要件への該当・非該当の判定方法を事業者向けに説明しているものですね?
→はい。
25頁を示します。ステップ4として、リスト規制に該当するかの判定には、マトリクス表を活用するようにと記載していますね?
→はい。
甲11号証を示します。2014年ころのマトリクス表です。4頁下から5頁にかけて、クロスフローろ過器の欄には「滅菌又は殺菌することができるもの」の解釈として運用通達の定めが記載されていますね?
→はい。
他方、5頁目の下、噴霧乾燥器の欄には、運用通達の定めが記載されていませんね?→はい。
これは、当時経産省において、運用通達の定めを噴霧乾燥器には適用するという意思を有していなかったからではないですか?
→そうだとは思いません。
ではなぜ記載されていないのですか?
→運用通達そのものにはそのことが記載されていますので、同じ言葉なので同じ解釈だと思います。
甲13号証を示します。運用通達で、経産省のHPに掲載されているものです。この冒頭に、用語解釈についてはマトリクス表を参照してくださいと記載されていますね?
→はい。
そうすると、事業者としてはマトリクス表を参照するほかないのではないですか?
→回答は長くなります。
それでは結構です。
(3) AGにおける議論の状況
<原告主尋問>
AG参加国の中で、噴霧乾燥器の規制要件を、AGで合意された内容と異なる法規制を独自に行なっている国は、あなたが認識する限り、存在しますか?
→他国の条文までは知らないです。普通はAGの合意そのままであっても変ではないと思います。
日本がAGの参加国に対し、規制要件3、すなわち滅菌殺菌の要件について、日本の運用通達のような内容に修正すべきだという提案はしたことがありますか?
→自分がAG担当であった期間はないです。ほかは知りません。
AGで噴霧乾燥機を規制対象とすることが合意された2012年の3年後、2015年ころAGで、当初の提案国であるデンマークから、噴霧乾燥器の輸出規制のうち規制要件3の解釈について問題提起がなされ、参加国の輸出管理における評価方法について情報提供の依頼がなされましたね?
→記憶にはありません。仮にそうだとしても他国との関係で述べていいのかはわかりません。
これを受け、2016年5月ころ、経産省は、CISTECに、ハの要件について、日本国内ではどのような判定基準をもって輸出管理を行っているのか、国内メーカーに調査するよう依頼しましたね?
→はい。なんとなく記憶にあります。
経産省は、この時点で、殺菌について「手法を問わず、省令の定める細菌等をいずれか1種類でも装置内部からすべて死滅させることができる装置が規制に該当する」という判定基準を持っていましたか?
→通達通りです。個別具体的には持っていなかったと思います。問われればそう答えていましたが、明文化はしていなかったです。
調査の結果、大川原化工機は、噴霧乾燥機はすべて非該当として輸出していることがわかりましたね?
→経産省としては報告を受けていなかったので、そうだと思う。
この時に調査をした他の会社においても、すべて非該当として輸出されていましたね?
→他社の状況は正確に記憶になく、正確じゃないので明言できません。
この調査を受けて、経産省は大川原化工機や他のメーカーに対して、経産省の考える殺菌解釈をアナウンスしたり、指導したりしましたか?
→何らかの話はしたのではないでしょうか。時系列は正確に覚えていません。
その後、昨年2022年のAG本会議で、disinfectionの定義を改定する合意がなされましたね?
→その当時は別の部局にいたので知りません。
日本独自に強い規制をするだけで、安全保障貿易管理の目的は達成できるのですか?
→ケースバイケース。国際協調が望ましいとは思います。
5. 警視庁公安部との打合せ
(1) 11月7日の打合せでの発言
<原告主尋問>
経産省は、2017年10月から2018年2月までの間、大川原化工機のRL5が規制に該当する貨物か否か判断してほしいと、警視庁の相談を受けていましたね?
→はい。
今日の出廷にあたり、警視庁が捜査メモとして作成した打合せ記録を読んできましたか?
→いいえ。刑事事件になったときにはもう離れているので、何のことか分かりません。
警視庁との打合せは、基本的には安全保障貿易検査官の高見牧子さん、長町英彦(ながまちひでひこ)さん、田村浩太郎さんが対応していましたね?
→はい。
あなたは2017年11月と、2018年2月の2度、打ち合わせに参加しましたね?
→はい。正確には覚えていないが数回参加しました。
あなた出席した打合せには、警視庁から、捜査トップである渡辺誠警視も出席していましたね?
→はい。基本的には当時の管理官が出席されるときは私が出ることになっていました。
11月に出席した打合せにおいて、あなたは、ハの要件への該当性の判断について、経産省のその時点での考えを伝えましたか?
→事前の打ち合わせなので、経産省のその時点の判断ではなく、個人的な直感を感じたことは喋ったかもしれません。
安保検査官と情報交換はしていましたか?
→報告は受けていました。
事前に課内での意見を集約していたか否かはどうですか。
→集約はしていないと思います。
個人としての考えを述べていたのですか?
→そうですね。最終的に照会があればオフィシャルな意見になりますが、個人としての考えを述べていました。
あなたは、11月の打合せで、ハの要件の殺菌概念について、「省令の規定があいまいで解釈もはっきり定めていない」と述べませんでしたか?
→記憶にないです。自分は仔細を覚えていないです。多分初めてお会いした頃は、まだ経緯が勉強不足のこともあり、最初の時点では知識十分ではなかったので言った可能性は否定しません。
警察の捜査メモには、あなたが、殺菌について「省令の規定があいまいで解釈もはっきり定めていない。まずは省令の改正やAGへの提案が先ではないか。」と発言したと残っているようなのですが、事実ですか?
→そこまで正確には覚えていません。
(2) 11月7日の打合せ後に行ったCISTECのヒアリング
<原告主尋問>
この打合せの後、11月20日ころに、経産省は、CISTECの東郷さん、藤井さんのヒアリングを行いましたね?
→記憶にはないですが行った気がします。
丙A105号証(証拠品複写報告書)添付の藤井さんのメール及びそのメールチェーン3枚目を示します。2017年11月14日午後1時41分の小間係長のメール。経産省からCISTECの東郷さんと藤井さんにヒアリングの日時場所を案内したメールです。 11月20日15時〜18時に経産省本館の会議室でヒアリングを行うと書かれていますね?
→はい。
末尾にヒアリングに参加する経産省のメンバーが書かれています。笠間さん、あなたはこの当時、「管理課の統括補佐」という立場でしたか?
→はい。
メールチェーン2枚目を示します。ヒアリングの翌日、11月21日午前8時47分の藤井さんのメールです。メールの宛先に貴方の名前がありますね?
→はい。
あなたはこのシステックの東郷さん、藤井さんのヒアリングの席に出席していましたね?
→はい。
このヒアリングは、滅菌殺菌の概念、解釈について、CISTECのその時点の知見について説明を受けることを目的として行われたものですね?
→何を目的に何をしたのか・・・色々教えてもらおうと思ったのだと思います。
11月20日のヒアリングで、システックの藤井さん、東郷さんから、「滅菌は明確な定義があるが殺菌にはない」と説明を受けませんでしたか?
→意外と滅菌と殺菌は言葉として明確ではないと言われたかもしれません。
丙A105号証(証拠品複写報告書)3枚目「噴霧乾燥機資料」を示します。右肩に2017年11月20日と日付が書かれています。こちらは11月20日にCISTECが持参してきた資料ですか?
→記憶にありません。
(3) AG参加国への問合せ ※T検査官への弾劾証拠参照
<原告主尋問>
11月7日の打合せ後の経産省の動きとして、CITECへのヒアリングのほかに、他のAG参加国に対する問合せを検討しませんでしたか?
→あったと思います。
そのような問合せを行った背景には、日本において、殺菌について一般的・標準的な定義や解釈がなく、警視庁からの照会に対して判断できないという事情があったのではないですか?
→突き詰めて考えたことがなかったということだと思いますが、記憶にありません。
ちなみに、経産省内において、噴霧乾燥機の乾燥室内部には温度の上がりづらいデッドスペースがあるという指摘もありましたか?
→そういう理解は経産省にはなかったです。
(4)2月8日の打合せでの発言
<原告主尋問>
あなたが出席した警視庁と打ち合わせのうち、2018年2月の打ち合わせについてお聞きします。このときも渡辺誠警視が参加していましたね?
→多分そうだと思います。渡辺さんが出るときは私も出ます。
警視庁の方からは、2月2日の打合せまでは否定的であったが、2月8日あなたが出てきて、急転直下で捜索差押に向けた協力が得られることになったといった証言があります。まず、あなたは直前に2月2日の打合せ内容について、高見さんから報告を受けていましたか?
→通常の業務としてそういう話があったとは日々報告を受けるのでおそらくあったと思います。
2月2日の段階では、殺菌は定義がないので「滅菌」の証明がない限り該当との回答はできないと伝えていたのではないですか?
→高見さんがどう伝えたのかは分からないですが、個人的な感想は言ったのかもしれません。
先程報告は受けていたと言いましたよね
→はい。
直前の動きではまだ協力することはできないということは、個人的な見解として言っていたということですか。
→そう言ったかもしれません。それはわかりませんが、個人的な見解を述べるのは止められないし、あってもいいのではないでしょうか。
先週の証人尋問で、打合せに参加した警部補、及び捜査メモを見た警部補が、あなたから、捜索差押はいいと思うが、その条件として、許可実績が藤崎電機1件しかないことを経産省から検事に伝えたいとあなたから要望があったようなのですが、これは事実ですか?(再現が不十分な可能性あり)
→後段は記憶にありません。前段は意図を説明させてほしいが、あったとしてもおかしくないです。
事実ということですか。
→事実として伝えるべきだと思ったのではないでしょうか。
伝えたいと思ったということは、危惧があったということですか。
→危惧があったかと言われればあれですが、事実として検事に伝えてもいいのではと思ったのではないでしょうか。
公安部長直々に経産省に申し入れがあったとあなたが発言したとの証言もありましたがいかがですか。
→あったかなかったかで言うとわからないです。
(5)警視庁からの照会書
<原告主尋問>
丙2(警視庁からの照会書)を示します。大川原化工機の噴霧乾燥器RL5が輸出規制に該当するかの照会書です。丙2に多くの添付書類が列挙されていますが、警視庁から正式にこちらの照会書を受けるにあたり、何を添付書類とするかについて、警視庁と経産省の間ですり合わせは行われましたね?
→足りないところというか、今まで議論の積み上げがあるので、そこまでの添付資料が大量に来たのだと思います。
別添資料24(日本無機)・25(藤崎電機)は、HEPAフィルタにより粉体が漏れない状態を保つことが可能という聴取報告書ですね?ということは、2018年8月3日当時、経産省は該当と回答するにあたり曝露防止できることが必要と解していたと思えますが、違いますか?
→そういうことではないです。
なぜ要求したか
→わかりませんが・・・
丙8号証を示します。L8iの規制該当性に関する照会書です。こちらの添付書類には、曝露防止性能に関する資料が添付されていませんね?
→異動後なのでわかりません。
6.本件訴訟における経産省の殺菌解釈
<原告主尋問>
丙25号証を示します。この事件で経産省が提出した回答書です。経産省の現在の殺菌解釈について書かれています。手段を問わず、省令所定の細菌等のうちいずれか1種類以上のものを装置内部から死滅できればよく、曝露防止措置は不要というものです。現在の経産省の解釈は間違いないですね?
→はい
この解釈を経産省において採用したのは、いつですか?
→どうですかと聞かれて回答に至るまでの中で、明確に議論して採用したのはこの事件です。
警視庁との打ち合わせが行われていた2017年10月から2018年2月までの間は、経産省としての検討中で、この時点では経産省としての明確な解釈はなかったのではないですか?
→省令の条文としては確定しています。該非判定の解釈についてはおっしゃるとおりだと思います。
甲148号証を示します。2016年6月2日及び2018年2月21日時点ではどうだったのかとの裁判所からの照会に対する経産省の回答です。この時点でも同じ解釈だったと書いてある。これは虚偽の回答であったと理解してよろしいですか?
→解釈通達で明確していると考えていますが、聞かれてないので答えていないというだけで、詳細に聞かれれば回答する、そう受け止めてもらえればと思います。
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