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「うちの職場にLGBT等はいない」のか

また似たようなタイトルの作り方で恐れ入ります。

同性婚を認めない現状は違憲である、との判決が出て話題になっています。

同性同士のカップルが結婚をすることができないといういまの日本の状況は「差別」にあたる、との内容です。

同性婚 認めないのは違憲、初判断「差別に当たる」:日本経済新聞https://www.nikkei.com/article/DGXZQODG175G10X10C21A3000000/

さてこういった、いわゆる性的マイノリティのお話、企業向けハラスメント研修などで取り扱うと、大抵は「うーん、うちには関係ないかな…」というお顔をされてしまいます。
「だってうちの職場にはいないから」と。

本当にいらっしゃらないのでしょうか?

ある調査(※1)では、有職男女におけるLGBT等の性的マイノリティの方の割合は、
8.9%
とされています。

この数字は、AB型や左利きの方と同程度の割合です。
「うちの職場にAB型はいないからさ〜」とは言いませんよね。
いらっしゃるかもしれないし、いらっしゃらないかもしれない。

ではなぜ私たち(の、多く)は、職場でLGBTの方をお見かけしないのでしょうか。
別の調査(※2)では、LGBT等の方が身近にいる人のうち、約6割が、LGBT等であることを理由にハラスメントを受けているところを見聞きしているそうです。
「自分がLGBT等であることをカミングアウトしたら、五分五分より高い確率でいじめられる」のです。
こんな状況であれば、当職なら絶対にカミングアウトなんてしません。できません。

「いない」のではなく「見えていない」だけなのです。

弁護士 野村彩(のむらあや

※1 電通ダイバーシティラボ「LGBT調査2018」より(なお、後述連合による調査では8%)
※2 日本労働組合総連合会「LGBTに関する職場の意識調査」(2016)より

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和田倉門法律事務所
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