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一 いまからする話が、本当にあったことなのかどうか、僕には確信がない。 それどころか、僕が自分を僕と呼んでいいものかどうか、それすらわからない。なぜなら僕には乳房があり、男性器のあるべきところには女性器があり、月のものもちゃんとある。つまり、僕の身体は間違いなく女性のものだ。 性同一性障害だとみなすのは簡単だろうが、それでは僕の持っている記憶と辻褄が合わない。僕はこうなる前、つまり女性の身体になる前には間違いなく男だったし、男として生活していた。もっとも、その記憶の方