誰がシーフードをもたらしてくれるのか?

WSGニュースブログ 2020年10月12日
エイミー・グロンディンに聞く
ジェームス・リー(サイエンス・コミュニケーション・フェロー)
https://wsg.washington.edu/an-interview-with-amy-grondin/


エイミー・グロンディンはサーモン漁師であり、持続可能な水産物のコンサルタントでもある。ビジネスパートナーであり夫のグレッグ・フリードリックスとともにDuna Fisheries, LLCを経営している。48フィート(約15メートル)の木造漁船Armintaは、漁をしていないときは、ポートタウンゼントを母港としている。

エイミーはメイン州で育ち、バーテンダーとして大学生活を支えた。大学卒業後、スキーをするためにウィスコンシン州ジャクソンホールに引っ越した。エイミーの友人の何人かはブリストル湾の缶詰工場で働いており、ベルトコンベア(「スライムライン」とも呼ばれる)から缶詰工場のドックでの憧れの仕事へと昇進していった。ジャクソンホールで、彼女は旧友から漁船で働かないかという電話を受けた。「船酔いが治まると、私は夢中になってしまった。漁師になったのは、まったく意図的なものではなかった。」

なぜ今でも漁に夢中なのかと聞かれ、エイミーはこう答えた「大変な仕事だし、長いし、疲れるし、面倒なことも多い。でもエキサイティングでもある。美しい動物たちと一緒に働き、自然の海にいるからこそ、他の世界では見られないものを見ることができる。それに私は、精神的に疲れるよりも肉体的に疲れているほうが好きだし、9時から5時まで働くのではなく、自分の人生を歩んでいきたい。誰にでもできることではない。外に出るのが好きで、柔軟性があり、好奇心が旺盛で、リスクに対する耐性がなければならない。漁はお金にはならないけど、常に新しいものを与えてくれる。」

しばらくの間、エイミーとグレッグはテンダー(漁場で漁師から魚を買い、漁師が漁を続けられるように岸まで魚を運ぶ船)で働いていた。しかし15年も経つと、乗組員の管理に嫌気がさしてきた。サーモンのトローリング釣り許可を得るために貯金をし、12年前にフック・アンド・ライン(釣り針と釣り糸=釣り漁)の漁船を購入するまでのしばらくの間、トロール釣り漁船をリースした。

エイミーは特に最初の仕事で、女性として漁船で働くことに懐疑的だった。「私は20代前半で、船長は女性を雇うことに何の疑問も抱かない友人でだった。乗組員はあまり積極的ではなかったけど。でも、私は3人の兄弟に囲まれて育ったから、どう対処すればいいかわかっていたし、私は頑固で働き者
。簡単なことではなかったけど、私がここにいるのは、先達の女性たちのおかげ。彼女たちは今60代、70代ですが、漁師と呼ばれたかったので、船に乗り、尊敬を集めるために懸命に働かなければならなかった。私は漁師と呼ばれることに抵抗はないが、私の世代が登場する頃には、女性にももう少しチャンスがあり、漁師と呼ばれることはより性別に関係ないとみなされるようになっていた。今、漁業に携わる女性たちは懸命に働いていますが、先人たちは間違いなく私たちを楽にしてくれた。願わくば、海での生活を望む次世代の女性たちのためにも、私たちが同じことをしたいの。」

エイミーは漁業以外にも、持続可能な地域の食料システムの構築に情熱を注いでいる。彼女は持続可能な漁業のアウトリーチにおける地域のリーダーであり、食べ物が船から皿へ、あるいは農場から皿へとどのように運ばれるかを気にかける人なら誰でも、商業漁業のアウトリーチを行っている。彼女は、海の健康が漁師と彼らの生計にどのような影響を与えるか、そして海の健康が陸上での私たちの生活とどのように結びついているかを痛感している。だからこそエイミーは、持続可能な水産物のコンサルタントであり、オーガニック・シード・アライアンス"Organic Seed Alliance"の副会長でもあるのだ。「私はレストランで何年も働き、そうして業界内の人脈を築き、持続可能な魚について信頼されるようになった。私は水産学の学位は持っていませんが、生物学に精通した魚オタク。魚が必要とする生息環境を回復させなければ、将来、漁業の仕事がなくなることは分かっている。私たちが魚を大切にすれば、魚が私たちを大切にしてくれる。」

ビジネス・パートナーで夫のグレッグ・フリードリックスとともに、アーミンタ号の前で。写真提供:エイミー・グロンディン

エイミーは、メディアや大企業がワシントン州東部の農家と西海岸の漁師を対立させるようなやり方、特にダムや水へのアクセスといった問題を好まない。「それは現実的ではない。私たちには、相違点以上に多くの共通点がある。何が人を農家にするのか考えてみて。 漁業と同じように、農業にも保証はない。農家は漁師と同じ独立心を持っている。州全体が繁栄するために、私たちは共通の基盤を見つけるべきだし、見つけることができる。協力し合えば協力するほど、私たち全員がより良くなる。」

エイミーは昨年、農民、漁民、その他の人々が一堂に会するステークホルダー・フォーラムを提唱した。私たちの州議会は、インスリー知事のロウアー・スネーク・リバー・ステークホルダー・プロセスに2年間資金を提供することを議決した。最初の会合は今年開催されましたが、わずか3都市を回る短いもので、各会場には立ち見が出るほどだった。それだけスネーク・リバー下流のダム問題は重要なのだ。人々の生活がかかっているのです。」

エイミーは、州がこのようなフォーラムをもっと大規模に開催することを望んでいる。「私たち漁師や農家は、自分たちのビジネスを維持するのに精一杯で、自分たちだけで組織できるものではない。私たちは、食料と雇用の安定、そして繁栄する農村コミュニティーを州全体で作り出そうという話をしている。特にCOVID-19が、地域規模で食料を確保することの重要性を教えてくれていることを考えれば、それは投資する価値のあることだ。」

多くの漁師がそうであるように、エイミーとグレッグもパンデミックによって大きな打撃を受けている。「いつもはネアベイで漁をするのですが、COVID-19のためにマカ族は国境を閉鎖した。住民を守ってくれた政府には拍手を送りたいが、この春はワシントン海域で漁ができなかった。仮に漁ができたとしても、私たちのビジネスモデルはレストランへの卸売りで、需要がなかったため、顧客はいなかったでしょう。」

エイミーと彼女の夫は春に6週間しか漁をしないので、いつもならそこで稼いだお金は修理やメンテナンスの支払い、2,500ガロンの燃料タンクの満タン、夏のアラスカでの漁のための備蓄などに充てられていた。今年はその資金なしで準備をしなければならなかった。「昨日、アラスカに向けて出発しようとしたら、1.5キロ手前でナビゲーション・システムが止まってしまった!アラスカに着いたら2週間の検疫があり、陸に上がることができないので、できるだけ多くの食料と水を備蓄しなければならない。このような予防措置のおかげで水産加工チームの健康は保たれていますが、ただでさえ困難な仕事がさらに難しくなっている。」

エイミーと彼女の夫は今、夏のシーズンが終わり、漁獲物を売る時期になったら、秋にはどうなるのだろうと心配している。通常、アラスカサーモンは海上で冷凍され、50ポンドや100ポンドの箱に詰められてレストランに売られる。しかし、需要があまりに低いため、このモデルは9月には機能しなくなるでしょう。」エイミーが新たな顧客を見つけ、卸売り用にパックされたサーモンを一尾ずつ販売しようと思えば、合法的な販売に認証された秤が必要で、それには2,000ドルもかかる。

しかしエイミーは、問題は新しい顧客を見つけることだけではないと言う。毎週のように、あるいは毎日のように、新しいルールに適応していかなければならないのだ。しかし、彼女はこう指摘する。「この人生では、機敏に適応しなければならない。個人的には、私は次の変化の波に備えようとしている。漁師がいなくなったら、誰が魚の番をするの?」

エイミーとグレッグが漁船 Armintaに乗り換える前に借りていた1936年建造の木製トロール釣り漁船 Duna。写真提供:エイミー・グロンディン


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