①おうちフリースクールとは【続・おうちフリースクールのはじめ方】
▽マガジン「続・おうちフリースクールのはじめ方」とは
本マガジン”続・おうちフリースクールのはじめ方”は、おうちフリースクールでぃありすのわたなべさやこが、2年間の育休を経て新しいフリースクールをはじめるまでのまったりとした歩みを、あくまでも超個人的な目線で、日記的に記録していくnoteです。
同業の皆さんや、まさにフリースクールを開業準備中の皆さんに「そういう事あるある、わかる!」と一緒に共感してもらったり、「フリースクールを運営するってどんな感じなんだろう?」と興味を持っている方のささやかな参考(及びネタ)にしてもらいたいなという気持ちで書いてまいります。
親切な先輩がいらっしゃれば、わたなべのふとした疑問に優しくご助言など頂けたらすごく嬉しいです。
▽フリースクールとおうちフリースクール
さて、私の日記に入る前に「日本におけるフリースクールの位置づけ」について触れておきましょう。
▼フリースクールとは
太字で示した”その規模や活動内容は多種多様であり、民間の自主性・主体性の下に設置・運営されています”という部分がポイント。
フリースクールでの学びという形は、最近ようやく日本でも認知されるようになりましたが、その規模や教育内容は様々です。
行政と手を取り合いながら活動しているスクールさんも増えてきているし、学校の中にフリースクールを設置する自治体も出てきました。
▼”おうち”フリースクールとは
そんなフリースクールを”自宅で開いてみよう”というスタイルが、おうちフリースクールです。
「自宅でフリースクールなんてできるの?」と驚かれる方もいらっしゃいますが、実際できます。
こんな風変りな取組みを始めてしまったのがこの私です。
私は2019年4月に、埼玉県上尾市で最初のおうちフリースクールを立ち上げました。
スタート当初は賃貸マンションの小さなLDKに、IKEAのダイニングテーブルとイス4脚、それから小さな本棚を置いただけの教室でした。
初月の生徒さんは1人。
地味ジミこの上ないスクールでしたが、やがて生徒さんも2人、3人と集まって来てくれて、2年目には定員いっぱいの14名の生徒さんと関わらせてもらうようになりました。
生徒さんの在籍中学校の校長先生や、上尾市の教育委員会の先生方も、折に触れて様子を見に来てくださったりしました。
スクールオープンから1年後、教室も気持~ち広いくらいのレトロな戸建てにお引越し(あの家は本当に寒かった…)。
不便は多々ありつつも、この頃から少しずつ自分の思い描く教育活動ができるようになっていきました。
2022年に妊娠がわかったのち、生徒さん達も全員進路決定を終え、無事休業。
その子達も今では高校生になったり、大学生になったり、働いたりして頑張っています。
▽おうちフリースクールの良いところ、弱いところ
おうちフリースクールの良いところを紹介します。
▼教師にとって良いこと
まずは教師目線から。
何と言っても「身軽に始められて、初期費用や家賃の負担がとても小さいこと」。
フリースクールを始めてみたいと思われる方々が一番不安を抱えられるのが”お金”です。
初期費用はいくらかかるのか。毎月の家賃・光熱費を払い続けることができるのか…。
実際に、お金の問題をクリアすることができないがためにフリースクールを開業する夢を諦めたり、オープンしても数年のうちに閉業してしまうスクールさんは少なくありません。
そこでわたなべがたどり着いた結論が、「おうちでフリースクールやっちゃえばいいじゃん!」でした。
自宅で始めれば、スクールのためだけに発生する家賃もカットできるし、小さくても生徒さんが学習に取組むための部屋もテーブルもイスもある。
別に見栄を張る必要もない(むしろ不便なくらいが理想的な)ナリワイなので、私は堂々と身の丈サイズでスタートしました。
教育のナリワイは「中身」がすべて。
極端なことを言えば、ハード面については机とイスさえあれば十分なのです。
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私の運営するおうちフリースクールはお世辞にも広い教室とは言えないので、一度にお迎えする生徒さんは最大4名。
うまくコースの時間割をつくって、最大14名の生徒さんと関わっていました。
あまり大騒ぎはできないというデメリットもありますが、これはこれで「居心地がいい」と言ってくれる生徒さんもいたのが嬉しい誤算でした(詳細は次の項で)。
▼フリースクール運営で生きていくためのお金の話
▼生徒さんにとって良いところ
これは実際にフリースクールを始めてみてから判明した事実なのですが、おうちフリースクールは、合う生徒さんには合う!
むしろ”ここだから通い続けられる”と言ってもらえる好都合がありました。
それは教室の小ささ、静かさ、生徒さんの少なさです。
私のフリースクールに通ってくれている生徒さんの中には、中学校の相談室や自治体の適応指導教室の規模でも「人が多くて億劫」と話す子もいました。
そういう子ども達には、おうちフリースクールくらいの規模がちょうどいいみたい。
「ここ(おうちフリースクール)なら大丈夫」とのこと。
実際にこの子達は、義務教育卒業まで私のおうちフリースクールに通い続けてくれました。
それから騒音。廊下や教室でのガヤガヤや、大きな声を出す人が苦手、体育の掛け声も苦手という子も中にはいます。
おうちフリースクールなら突然廊下から奇声が聞こえてくることもありません。
そういった理由で安心して過ごすことができると話す生徒さんもいます。
一方、みんなでワイワイするのが好きな子にはちょっと物足りないというのが、おうちフリースクールの弱点です。
ただ、私は1つのスクールが9割の子の声に応えられる力をもっている必要はないと思うんです。
賑やかな雰囲気が好きな子には大手のフリースクールさんを紹介してあげればいい。
反対に、静かな環境で落ち着いて学習に取り組みたい子、安心できる教室で過ごすことが好きな子達は、おうちフリースクールに招き入れてあげればいいのです。
いろんな立場の大人が、自分に提供できるものを少しずつ差し出して、自分には苦手な部分は潔く他のスクールさんにカバーしてもらって。
そんなふうに、子ども達を奪い合うでもなく、押し付け合うでもなく、みんなで温かく見守っていくという姿勢が大切だと思っています。
実際、私が新しくスクールを再始動する埼玉県桶川市内には、でぃありす以外にもフリースクール等の子どもの居場所が他にもいくつかあるので、「すべて自分で背負う必要はない」と、少し気持ちが楽です。
狭い。小さい。ビンボっちい。
…もともと短所だと思っていたところが、視点を変えると長所に変わる…なんだか教育のナリワイにも深く通ずるところがあるなぁとしみじみ感じます。
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以上、私が始めたちょっと風変わりなナリワイの形「おうちフリースクール」についてお話しました。
感想やご質問がありましたら、コメント欄にご記入頂けますと大変励みになります。末永くお付き合いくださいませ。
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