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夏目漱石 ~非西洋の苦闘~【5文でBOOKレビュー 9】

念のため注意書きをしておくと、表題の書籍は「夏目漱石著・非西洋の苦闘」ではなく、「比較文学研究者・評論家である平川祐弘著・夏目漱石 ~非西洋の苦闘」です。

学校の歴史の授業では「1900年なんて時代にイギリス留学したすごい人」などとサラリと紹介されたエライ人物、夏目漱石ですが、"そんな時代"に留学するというのが具体的にどんな風であったかを、著者は膨大な文献資料や自身の研究をもとに、鮮やかに解説し、また細やかな考察も述べています。

欧米への憧れとコンプレックス、自身や自国への劣等感、格差への絶望。
100年以上も前のことなのに、今も昔も日本人の感情ってそんなに変わらないんだなぁ。

最近よく思うんですけれど、頭の良い人の目に映る世の中ってどれほど絶望的な色彩を帯びているのだろうか。

私たち凡人には見えない課題までもが無数に山積して、そりゃぁお気を確かになんていられなさそうで。


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