金木犀と煙草の香りと
私の胸にこの虹をかけた張本人は
アナタだったのか見極めたかったのです。
でもこの虹をかけたのは
アナタではなく
他でもない
私自身の胸にある希望の光でした。
アナタの胸に一瞬
顔を埋めた時に
私の身を焦がしたのは
あれはアナタの抱擁ではなく
金木犀の香りと煙草の香りでよみがえった
私の細胞に染みついた記憶でした。
それさえ見つけられたから
私はもうアナタに会うことはしない。
この胸の光とその反射で出来た虹と
金木犀と煙草の香りでよみがえった細胞を抱きしめて
私は生きていけるから。