「織姫怒る」 #毎週ショートショートnote
事の始まりは彦星の浮気だった。年に一度しか織姫に会えないなどふざけている。若い彦星は情欲を抑えきれず何人もの愛人を作った。
それを知った織姫は激怒した。愛のオーラは底知れぬ深く巨大な負のオーラとなり織姫を醜い化物へと変えた。七夕の日、織姫率いる大軍勢が天の川を渡り彦星の星へ押し寄せた。こと座とわし座の戦争勃発である。戦火は瞬く間に広がり周囲の星を巻き込んで宇宙規模の大戦争に発展した。
当然戦争の火種は地球に飛び火した。空から絶え間なく流れ弾や放射能まみれの雨が降り注いだ。
アメリカは初の宇宙戦艦を派遣した。しかしあっという間に撃墜されて船はモスクワに落ちてしまい、モスクワは壊滅した。怒ったロシアは核ミサイルのボタンを押した。ワシントンが壊滅した。怒ったアメリカも核ミサイルのボタンを押した。
第三次世界大戦の始まりである。
あれから一年また七夕の日が来た。短冊に願いを書く人は誰もいない。
本作は、毎週ショートショートnote参加作品です。企画ありがとうございます。