見出し画像

僕だけに咲いた傘

優しく憂いの雨が止んだ

街に取り残されて

行き交う人達は嬉しそうに

傘を閉じていく


急いで変わる信号機

僕は渡らずまだこっち側

繋いだ手と手が離れていった

交差点の向こう岸


ためらうこと

立ち止まること

愉快に踊りながら

なんて生きれない


喪失感がぐっと胸を刺す


違う色の景色

悲しみの色は水溜り

勘違いならいい

この胸の傷みの全てが


雨上がりの匂い

黒く染まったアスファルト

雑踏の記憶

君の香りはどこかへ消えた


傘を閉じて

見上げた空

雲が逃げて

明るくなった


いいなと思ったら応援しよう!