他所様の楽園
古いブランコが鳴く
無邪気な声の主が
地上の楽園を作り出す
ここは穏やかだ
誰かが言っている
明日も晴れるから
遠くへ出掛けようと
ここでは無い
空は澄み渡り
木々は揺れている
子犬が散歩の途中で
少し震えたくらい
座った椅子が暖かく
目の前の滑り台から
命の灯火がスースーと
降ってくる
私の困った気持ちも
今だけは顔を隠し
ゆったりとした
顔に変わる
サンダルに砂が紛れ込む
それをそっと払って
鉄棒では
命の風がぐるぐると回る
嗚呼 ここがいいな
私はどこへも行きたくない
この時間のこの天気に
祈りを捧ぐ
嗚呼 ここはいいな
私はここに居てはいけない
自分の楽園を
探さなきゃ
ここは他所様の楽園