浸水の

巡る夜は涙を隠し

打ち寄せる水群の音だけを私にくれた

それは小さな箱庭の浜辺に

神が泪を落としているようだ

私は幾重に繋がる水中線の下に

暴れる海豚の拳をみた

拳のだす気泡は水面にはばれたが

泡ぶくは夜があけるまで

誰にも気づかれないだろう

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