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サービス開発・改善につなげるインサイト探索
こんにちは、NEWhサービスデザイナーのわたなべです!
今回は、新規事業開発におけるインタビューから分析のプロセスにおいて、「サービス検討に活用するインサイトをどう導出していくか」についてご紹介したいと思います。
サービス開発・改善につながる「良いインサイト」とは
サービス開発や改善に活用できる「良いインサイト」とは何でしょうか。人によって定義は様々だと思いますが、私は「検討しているサービスに関わるコンテクスト、ユーザーの振る舞いや思考」において「顧客にとっての重要度」が高く、「メンバーの納得感」が得られ、「視点としての新規性」のある気づきだと考えています。
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重要度
顧客にとっての重要度が高い気付きや課題となっているかどうかは前提としてまず重要です。インタビューなどを通して対象者の発話や態度として出てきた課題やニーズが「顧客にとって重要なもの」としてはわかりやすいですが、それらの課題やニーズに紐づく「本質的な課題」、顕在化している課題のボトルネックになっているような根幹の部分に着目することも重要だと考えます。
納得感
プロジェクトメンバーが「確かにそうだ」と思えるような納得感も重要だと考えます。ここは顧客にとっての重要度を満たしている前提がないと成立しないかもしれません。「確かにリサーチでこういう傾向がみられたな」とか「かなり多くの人がこの課題感を持っていたな」などプロジェクトに関与しているメンバーがそのインサイトが「確からしい」と感じられることは良いインサイトであるためには必要な要素であると考えます。
新規性
そのテーマやサービスに関して今までも調査がなされてきたり、一般的に「当たり前」だと思われている既知の事実を飛び越え「そうなのか!」と思えるような新規性があることも良いインサイトにとって必要だと考えています。この新規性のあるインサイトをとらえることでサービス、ビジネスとしての独自性の創出につながると考えます。
また新規サービス開発や既存サービスの改善につなげるために重要なのは、顧客の課題をきちんととらえ、解像度高く語れることだと考えています。課題の解像度が低かったりずれていたりすると、結局顧客に受け入れられないものしか作ることができません。そのためにはインタビューやエスノグラフィなどのリサーチを通して、実際の現場や顧客を知ることでインサイトを導出することが重要だと考えます。
では実際にサービス開発・改善につながる価値あるインサイトを導出していく際には、どんなことが必要なのでしょうか。以下で私が行っている具体的なアプローチをご紹介します。
実際の行動・起きていることを重視する
インサイト導出にあたって最も重要なポイントが、「顧客が実際にとっている行動や起きている事実を重視すること」です。
デプスインタビューなどで実際の顧客の声を聞く際、「これはその言葉通りに受け取って良いのかな?」と感じる場面もあるかと思います。
例えば、特定のシーンにおける困りごとを把握する際に「◯◯で困っています」という発言があったり、サービス受容性の評価をしていて「すごく使ってみたいです!」と肯定的な意見をもらうようなシーンをイメージしてください。これらの言葉と合わせて「実際にどんな困りごとが起きているのか?」「今どんな風に行動しているのか?」といった実際に起きている事実情報にフォーカスすることで、言葉の裏の意味や実態をとらえることができると考えます。また、サービス受容性などの評価の場合でも、「具体的に自身の生活がどのように変わっていきそうか?どう活用できそうか」を具体的にイメージしてもらった場合の言葉を引き出すことで、そのアイデアの改善の切り口や方向性を研ぎ澄ませていくことができるかと思います。
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課題発見や方向性の定義につなげていく。
また発話において矛盾を感じるような言葉や行動に着目することで期待と現実のギャップを理解したり、ユーザーの達成したいゴールにつながる新たな発見が得られやすい実感があるのでインサイト導出の際よく着目しています。
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インサイト導出にあたっては後述するようなコツや様々な考え方がありますが、そもそもどんな情報を元に分析していくのかでインサイトの質は変わってきます。適切な材料(情報)をインサイト分析に活用していくことはよりよいインサイト創出のためには必要不可欠なポイントになります。
マッピングでパターンをみつける
インサイトを導出していく際に便利なのが、マッピングです。リサーチで得た事実情報や気づきをマッピングしていくことで、全体的な傾向を見出したり、課題やニーズの軸がみえてきます。
マッピングには、大きく分けて以下の2つの方法があると考えています。
①あるフレームや軸をベースにマッピングしていく方法
②先入観なしにゼロから構築をしていき、気づきを導き出す方法
既存サービスの改善のための課題検討や、ある程度まとめ方の方向性がみえている場合は、①の方法の方が気づきを素早く整理することができると思います。一方で、そもそもユーザーがどんな課題やニーズを抱えているかわからなかったり、方向性を0から考えていくような場合は②の方法でまず事実をマッピングしながら全体感を把握していくことで、新たな気づきを得られると思います。どちらが優れている方法というわけではないので、目的や状況に応じて使い分けていくことが重要です。
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ある程度の型から探索していくのか、0から仮説を見出すのかなど目的によって使い分ける。
解釈を重ねて発見を得る
インサイト導出の作業は、ある種推論を重ねながら新たな仮説を構築する作業とも言えるかもしれません。リサーチで得た事実情報からどういったことを言えるか、どう解釈していくかが、インサイト導出をする際の難しく、おもしろいポイントだと思います。
「◯◯という発言があった」+「✗✗といった事実情報がある」→「つまり、△△ということが言えるのでは」→「」…といった風に事実情報を元に解釈を重ねてインサイトを導出することで、納得感のある、次のサービス改善への示唆となるインサイトを導出することができるのではないかと思います。
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事実情報をベースに1段1段丁寧に掘り下げながら分析を行う。
ここで注意すべきは、解釈の飛躍が起きてしまうと前述のインサイトの「納得感」が損なわれてしまう一方で、事実だけをなぞっていってしまうと「新規性」を中々生み出すことができないということです。納得感を高めるためには事実情報を基に1つ1つ丁寧に解釈を深めながら分析を行うことが重要と考えています。また新規性を感じられるようにするためには今までのリサーチ結果や一般的と考えられているインサイトと対比しながら「このテーマならではのポイントは何だろうか?」という点を突き詰めていくと新しい気付きにつながりやすいと考えています。
またよりシンプルに事実情報からの解釈をしてインサイトを探索する手法としてKAカードを使ったりもします。同じフォーマットを使っていくことでメンバー間でのディスカッションの際に共有しやすいなどのメリットもあります。
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フォーマットを使うことでメンバー同士同じ視点に立って解釈を深めることができる。
生成AIも活用してみる
最近では、生成AIを活用し、一次情報の整理はテクノロジーの力に頼るという方法も選択肢の一つとなっています。インタビューなどの生情報を生成AIに読み込ませ、事実情報のグルーピングをしてもらうことで、分析の時間をかなり短縮することができます。
ただし、注意したいのは、あくまで一次情報の整理としての活用に留めるということです。AIによるラベリングなどは、普遍性の高い一般的なグルーピングタイトルになってしまう傾向があるため、そこからどう解釈しどういう気づきを得ていくかは人の力の見せ所だと考えています。
事業開発において生成AIがどう活用できるかについては以下のnoteにもまとめておりますのでよろしければご覧ください!
さいごに
今回は、サービス開発・改善につなげるインサイト探索をテーマにいくつかのTipsをご紹介しました。実際のサービス検討につなげるためのインサイト導出では、必ずしも正解があるわけではありません。またインサイト導出のための分析ワークの経験を重ねるにつれて、「良いインサイト」を得られる勘所がつかめるようになっていくのではないかと思います。
私自身もまだまだ試行錯誤の途中ですが、これからも幅広い分析の観点を持ちつつ、インサイト探索を続けていきたいと考えています。この記事がサービス開発や改善のための何かのお役に立てれば幸いです。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!