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【講演会レポート】ビジョンで人を惹きつける~リーダーシップを発揮し応援される人となる~3/2(火) 20:00- 開催(主催:ワクセル)

ワクセル(主宰:嶋村吉洋)は3/2(火) 20:00-21:00、故郷の希望の星になった“YouMe(夢)School”を作り上げ、今は東京とネパールを行き来しながらパラレルワークを実施してるシャラド・ライ氏(NPO法人YouMe Nepal代表)によるオンライン勉強会を開催いたしました。

電気もガスもないネパールの故郷で生まれ育ち、日本の大学に留学してから気付いたという教育の大事さ。
立ち上げ時はたった8名の生徒から始まった学校。それでも、ビジョンを掲げ続けたライ氏は多くの方の共感を呼び、現在はなんと、500人になりました。そこでは、日本で学んだ教育制度を深く反映したといいます。
ビジョンで人を動かすライ氏が大切にしてきたことは何なのか?本レポートでは今回の講演会の報告をいたします。

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■講演会の概要
本講演は、​次世代を担う起業家の輩出と人財育成に取り組む嶋村吉洋が主宰する、ワクセルによるオンライン対談イベントです。たった1人の先生と8名の生徒から立ち上げたネパールの学校は現在500名に。日本型教育を教えるという“YouMe(夢)School”を創り上げ、いまなおネパールと日本を行き来してパラレルワークに勤しむシャラド・ライ氏(NPO法人YouMe Nepal代表)が講師となりました。

今回のテーマは「ビジョンで人を惹きつける~リーダーシップを発揮し応援される人となる~」です。

本勉強会のプログラムは以下の構成で進行いたしました。

活動のきっかけ

●きっかけ、ビジョン
●協力者の存在
●立ち向かってきた壁
●団体を作るときに大切なこと
●支援を行う上で大事にしていること
●継続について

YouMeNepalの取り組み

●学校建設
●教育コンテンツ

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■講演会の詳細

奇跡、そして21世紀の奴隷制度

「初めて海を見たのは、日本に来た時です。」
優しそうな表情で少し微笑みながら、ライ氏はまず自分のストーリーを会場へ語り掛けます。

ネパールの首都カトマンズから車で8時間ほど離れたところにある故郷。
学校まで徒歩で1時間半、毎朝水を汲みに行くのに1時間以上、電気もガスもないその地で、ライ氏は生まれ育ちました。

そんな自然に囲まれた故郷で暮らしていた10歳の時、カトマンズの名門学校に国費で入学することができる特待生に選ばれ、「奇跡が起きた」とライ氏はいいます。
故郷とは異なる、制服、朝昼夜のご飯、ミルクタイム、ベッド。
小学校4年生から高校卒業まで滞在し、ライ氏はそこで、あることに気がつきます。

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それは、教育の差でした。

カトマンズの同級生たちは、ハーバード大学やスタンフォード大学といったアメリカの名門学校に進学している。
しかし、故郷の友人たちの状況を聞けば、みんな中東やマレーシアといった、海外へ出稼ぎに行っていました。

ネパールでは、毎日1,200人が出稼ぎに行きます。
1日12時間、中には365日間働き続ける人もいます。
時には、故郷の友人が遺体で戻ってくることもあったといいます。
これは「21世紀の奴隷制度」とも言われているのです。

自分は行く必要ないのに、彼らは行く必要がある。

自分と彼らの差は何なのだろう。

その時、ライ氏は色々と考えたといいます。

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1人の先生と8人の生徒から

ネパールでは、私立学校が2割、国立学校が8割といいますが、国立学校の生徒はほとんど出稼ぎに行くといいます。ライ氏は教育の施設に問題があると気づき、自分で学校を創ろうと決めます。

高校卒業後は、奨学金で日本の大学に留学し、日本で就職します。

そこで、日本の教育現場を目の当たりにし、ネパールと大きな差があることを知ります。
ネパールで当たり前のことを、誰も疑いもしていなかったのは、日本のような「当たり前」を知らなかったからだとライ氏は気づいたといいます。

「行動しなければ。」

そう思い、早速取り掛かったのが、1人の先生と8人の生徒から始めた学校です。
なんとか自分でお金をかき集め手作りで建築するも、計画をしっかり立てていなかったため、継続は難しいという展開に。周りからは馬鹿にされたり、批判されたりもしましたが、ライ氏はそういう言葉は聞かずに、ただ子供たちが夢をかなえることができるような学校にしたい一心で継続することに取り組みます。
この時、日本をはじめ多くの方が応援したとのことで、今でもそこに感謝しているといいます。

結果、学校は250人の生徒たちと20人の先生たちにまで成長し、大都市から良い先生を採用したり、遠くからも子供が通ってくるほど楽しい学校になったり、学校がしだいに人気になっていきます。

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取り入れたのは、日本の教育

ライ氏は、ユネスコが掲げる「学びの5つの柱」を大事にし、実現するため、様々なことに取り組んでいます。

・知ることを学ぶ
・為すことを学ぶ
・共に生きることを学ぶ
・人間として生きることを学ぶ
・自分自身と社会を変革することを学ぶ

特に、最後の「自分自身と社会を変革すること」について、学びを提供したいといいます。

そして、2017年。
ライ氏は、2校目のYouMeスクールを設立をし、スクールバスも数百万円を出して購入。
生徒数は260名で、2021年4月からはコーディングの授業導入もしています。
「ネパール1位の学校にしたい」と意気込むライ氏は、日本から学んだ以下のことを取り入れているといいます。

●時間を守ること
●約束を守ること

また、自分たちの学校を自分たちで掃除するという文化も、日本の良いところだと話します。
他にも、YouMe Farmや交流会などにも携わり、ネパールの活性化に力を入れています。


そんなライ氏が子供たちに今、伝えていることがあるといいます。
それは、

考える力をつけること=船長になること

船長は自分で自分の船の舵取りを行う必要があります。自分で自分の人生の舵取りを行っていくためにはどうすれば良いか、今の子供たちはそれを考える力を身につけてほしい、という意味なのです。

自分の意思で生き続けること、そこを軸にしてほしい。
ライ氏の言葉には力強い意志が込もっていました。

鏡を見てほしい

講演の部が終わり、質疑応答に。
早速、ビジョン実現において大切にされてきたことが何かという質問に対し、
ライ氏ご自身の原動力は「自分の国のことが大好きだったから」だといいます。

「国に恩返し」をしたくて、同志を持ち、仲間をつくったライ氏。
大好きなネパールの為に、何か大きなことがしたかった。
その気持ちを具現化するために、東京大学では博士課程を修了し、自分の国のリーダーになるといいます。

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また、日本の子供に伝えたい事があるかという問いに対しては、
「鏡を見てほしい」という答えが返ってきました。

ネパールでは4、5時間歩くことは普通。
しかし、日本にいるとその国の普通が当たり前になり、価値に気づかないのです。
鏡を見て、価値に気づき、どれくらい有難い環境にいるかに感謝すること。
ライ氏はそれが大事ではないかと言います。

同時に、ネパールの人たちを「かわいそう」と見るのではなく、
「そこにいる人」「仲間」として見てほしいとのことで、だからこそ成長があるといいます。

最後の質問は、「今のコロナ禍をどうとらえているか」。

ライ氏は「厳しい環境の中でやり続けることが大事。」「限られたリソースの中で最大限を発揮するから、幸せも倍になる。」とのことで、今なお全力でネパールのために動くライ氏の気持ちが入った言葉で当講演会は終了しました。

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■シャラド・ライ氏 プロフィール

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ネパール出身。11年APU卒業、14年東京大学大学院卒業。
11年ネパールで日本型教育を教える学校“YouMe(夢)School”を設立。
15年には2校目をクラウドファンディングなどで出資を募り開校。8名の生徒から始まった学校は現在500人に。現在は東京とネパールを行き来しながらパラレルワークを実施。

YouMe Nepalについて

<代表作・主な実績>
・「サステナブル・ブランド国際会議2019東京」オープニングスピーチ担当
・ほぼ日刊イトイ新聞掲載「ネパールでぼくらは。」
・TBSテレビ 報道・情報番組『Nスタ』出演


■SOCiAL BUSiNESS COMMUNiTY「ワクセル」
ワクセルは「これからの100年をつくるSOCiAL BUSiNESS COMMUNiTY(ソーシャルビジネスコミュニティ)」として未来を切り拓く人たちが集まり共に学び合い応援し合う新しいコミュニティのカタチを掲げ、持続可能な社会づくりや事業輩出のための活動、講演会を開催してまいります。ワクセルは自律した人たちが集まった上下の関係のない横のつながりの組織です。

ワクセル公式HP(主宰:嶋村吉洋)

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