Leicaが見たIndia ー Through Leica ✈︎Day2
Leica SL2-Sをもってインドを旅した記録
鳴り止まないクラクションの音で目が覚める。
そうだ、ここはインドだ。
インドでは「Hi」という代わりにクラクションを鳴らしているのではないかと思うほどクラクションを聞かない瞬間がない。13億人を越える人たちが自分の存在を知らしめるために鳴らしているのだろうかと思う。
前日の長旅の疲れが癒えないまま、ゆっくりとした朝を過ごしてから街へと繰り出した。年間を通じて一番涼しい時期だというのに気温計はすでに36度を指していた。
奇しくも4年前の同じ2月7日にインド入りした私は、その時食べたおいしくて安いカレー屋さんが忘れられなかった。日本を出国する前に「ムンバイのこの辺にあったはず…」とGoogle mapを眺めストリートビューを確認し、10時間ほどかけてようやく見つけることができたその場所を訪れてみると4年前と全く変わっていなかった。
パンデミックを経て閉店していたらどうしようと不安もあったのだ。
そのレストランは地元民しか行かないようなお店で90%のスタッフは英語が話せない。だがカレーは1杯200円程度だしロティは20円、その味といったら日本で食べるインドカレーが偽物に感じるくらい最高に美味しい。
名前はcafe BOSTAN。ムンバイでローカルを楽しみたい方には是非おすすめしたい。
写真の中にある緑色のカレー、それが私のお気に入りだ。マトンハイダラバディ。マトンのお肉と少し甘めなのに辛さはしっかり。香草の豊かな香りが広がりクセになる逸品だ。
ムンバイ街中スナップ
日本とインドの違いは挙げればキリがないが、我々写真を撮る人にとって大きいのはスナップ写真が撮りやすいことだろう。
日本では人の顔が映らないように配慮をするが、アメリカでもヨーロッパでも少なくとも私が行った時にはみんな気にしていなかった。なぜなのか気になって調べたことがあるのだが、海外ではアートへの理解が高く肖像権より著作権の方が強いという結果だった。
インドの人たちにも必ず「撮っていい?」と聞いていたがほとんどの人が首を小さく傾げる。これはインドでのOKサイン。
異国に来るとその国の人々の営みを愛おしく思う。日本とは全く異なるそれに感心もするし驚きもある。
それを感じたくて私は旅をするのかもしれない。
日本と同じ野菜が売っていれば嬉しくなるし、日本で見たことのない野菜は興味深い。どんな味がするのか試してみたくなる。
自分で言うのもおかしいが、私は好奇心が絶え間なく湧いてくるタイプだ。それは小学1年の通信簿に「好奇心旺盛だが落ち着きがない、飛び出して戻ってこないような勢いがある」と書かれていたので間違いないだろう。
だからこそ、その興味のアンテナが振り切れるほどのギャップを持つインドが好きなんだと思う。
マーケットに潜入
ムンバイは首都のデリーを差し置いてインドの最大都市である。近代的な建物も多く、摩天楼に負けない高層ビル群もある。その一方で下町のような露店が並ぶエリアや小さい間口で所狭しと商品を並べて売る店舗も少なくない。
マーケットの中でもファブリックを多く扱うエリアに入ると視界がカラフルになった。
私はここでサリーを作ることにした。
せっかくなら好きな布で自分に合うサイズのものを。しかしマーケットは布を売るだけで仕立てはしてくれない…と、この情報を得るまで20分ほどを要した。なぜなら店員のほとんどが英語が話せなかったからだ。
困り果て、ならば仕方ないと諦めようとした時、2人の女性が声をかけてきた。
「サリーが欲しいの?いつまでに?」
私はすかさず「できれば今夜までに仕立ててほしい。明日ジャイプールに向かうから」と言うと彼女は隣の女性を指差してから「この子が仕立てるの上手いの。だからあなたのを縫ってあげる。今夜までに。」と微笑んだ。
私は驚いて、ぜひお願いしたいと言い結局3000円で布から仕立ててくれることになった。
彼女の名前はMamta。4時間後に出来上がると思う、電話するね!と言った彼女はそそくさと帰っていった。その間、撮影をしながらカフェに入りゆっくりと過ごす。
夜8:00すぎ。Mamtaから電話があった。
今どこにいるの?と聞かれ夕飯をレストランで食べてるよと言うと、10分後にお嬢さんを連れてバイクでレストランまで届けてくれた。
Mamtaは英語がそんなに話せなかった。だから英語で説明ができる娘さんをわざわざ連れて来てくれたのだ。
1700ルピー(3000円くらい)を支払う約束だったが、私は感謝の気持ちを込めて2000ルピーを渡した。するとMamtaは1700の約束だから、と300ルピーを返してきた。
日本人相手にボッタクリや詐欺が横行する、そんなインドでこんなにも正直な人がいるのだろうかと驚きながらも、下手な英語で「本当に感謝してるから受け取って欲しい」と言ったがMamtaは最後まで受け取らなかった。
娘さんが「約束した金額で十分すぎるからそれ以上もらうわけにはいかない」と説明してくれて私は300ルピーをお財布にしまった。
ありがとうMamta、このサリーで私のインドの思い出がより鮮やかに彩られることは間違いない。
Mamtaと別れ私は胸がずっと暖かかった。旅って最高だ。知らなかった誰かと関われることって奇跡だ。
それは、まだインドに来て2日目のことだった。
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