プロダクトビジョンステートメントの作り方
今週もウェブ解析士のnoteをご覧いただきありがとうございます。
今週もお題の提供をいただきましたので、それにお応えする形で記事を書いていきたいと思います。
今回いただいたお題は、「プロダクトビジョンステートメント」についてです。今回は、その役割と作成手順について記していこうと思います。
プロダクトビジョンステートメント
プロダクトビジョンとはプロダクトの未来の姿を示したものです。それをステートメント(声明文)として明文化したものになります。
プロダクトビジョンは、コーポレートビジョン(会社全体の目指すべき姿)の上に成り立つため、会社としてのMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を掲げている必要があります。
プロダクトビジョンによって、プロダクトが目指す姿やその方向性が示されます。航海図と羅針盤の役割を果たします。その上でプロダクト戦略やロードマップが策定されていきます。そのため、プロダクト開発において非常に重要な役割を果たします。
AmazonのKindleを例に見てみましょう。
Amazonのコーポレートビジョンは「地球上で最もお客様を大切にする会社であること、お客様が買いたいと思うものをオンラインで見つけ、発見できる会社であること、そしてお客様に可能な限り低価格で提供することに努めます。」というものです。
それに対して、Kindleのプロダクトビジョンは下記だそうです。
プロダクトビジョンステートメントの作成方
プロダクトビジョンステートメントがどういったものなのかは理解することができたと思います。では、どうやって作れば良いのでしょうか。
『キャズム』の著者として知られるジェフリー・ムーア氏がそのテンプレートを提供してくれています。
日本語にしていくと、以下のような感じでしょうか。
【顧客ニーズ】をもつ【ターゲット顧客】に対して、【商品名】は【USP】がある【カテゴリ名】です。
【競合商品】とは違い、私たちの商品は【差別化ポイント】を有しています。
これを紐解いていけば、プロダクトビジョンを明文化するために必要なことが見えてきます。
ドメイン選択
まず、戦う市場を決める必要がありますね。一文目に【カテゴリ名】がありますので、そのプロダクトはどの市場で勝負するのかを選択します。
ドメインについては過去に記事にしているのでそちらをご参照ください。
ターゲット選択
ドメインを決める際にもターゲットを設定する必要があるので、並行して進めることになります。ターゲットの決め方といえば、STP分析ですね。
セグメンテーションとターゲティングによってプロダクトが狙うターゲットを明確にします。
こちらも、以前にSTP分析を活用してペルソナを作る方法を記事にしています。
これで、【顧客ニーズ】と【ターゲット顧客】が埋まります。
3C分析
残すは【USP】【競合商品】【差別化ポイント】です。
USP、競合、差別化ときたら3C分析ですね。
前のステップで決めたドメインにはどんな競合がいて、ターゲティングした顧客セグメントに対してどんな便益を提供しているのかを検討します。
そして、自社にはどんな特徴があり、競合が満たしていない顧客ニーズは何か。自社がそれを満たすことはできるかといった視点でUSP(ユニーク・セリング・プロポジション)を探ります。
このUSP=独自性がプロダクトブランドのアイデンティティになります。ブランドアイデンティティは、顧客にどのように想起されたいかという旗印にもなります。
仕上げる
3C分析をもとに導き出したブランドアイデンティティを中心に、ジェフリー・ムーア氏のテンプレートに当てはめていくとプロダクトビジョンステートメントのドラフトができあります。
ビジョンステートメントは、できるだけ簡潔にわかりやすくすることが求められます。大事なことは、そのビジョンに共感してもらえるかということなので、わかりづらくては意味がありませんね。
その他にも、現実的でビジョンの実現方法と時間軸がわかるものが好ましいそうですよ。
まとめ
以上、プロダクトビジョンステートメントについて解説しました。プロダクトビジョンは、プロダクトが目指す姿や方向性を示し、プロダクト戦略やロードマップの策定に重要な役割を果たします。例えば、AmazonのKindleでは、あらゆる言語で書かれた絶版も含めたすべての本を60秒以内に利用できることを目指しています。また、プロダクトビジョンを作成する際には、顧客ニーズや競合、差別化ポイント、ブランドアイデンティティを考慮する必要があります。そのためには、皆さんにとっても馴染みの深い3C分析やSTP分析といった基本をしっかり抑えることが大事なのですね。
あとがき
今週も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
今回も書くネタに困っていたので、お題を提供いただいて助かりました。
ビジョンステートメントとなると、ブランディングの領域に入りますね。一口にブランドと言っても、実は階層化されており、「企業ブランド→事業ブランド→ファミリーブランド→製品ブランド」となっています。
どのブランド階層におけるビジョンの話をしているのかというのも確認しながら進める必要がありそうですね。
それではまた来週お会いしましょう。
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