1話 偶然



前回のあらすじ

HIPHOPおよびラップミュージックを聞き始たものの自分がプレイヤーになるとは夢とも露とも思わなかった少年が、ひょんなことから遅まきながら20歳の頃実際にラップをすることになった。




毎週のように「サイファー」を楽しんでいたある日のこと、主催者のキョウゴがいつもと違う様子で言葉を発した。



「TwitterにDMが来たんですけど、今日だいぶ年上の人が来るかもしれないです。なんか5,6年以上前にここでサイファーやってたラッパーの人らしいです」



当時はR指定がUMBで三連覇を達成するなどして一般メディアにも徐々に取り上げられだし、フリースタイル・ブームになる直前だったように思う。


その5、6年前というと所謂「日本語ラップ冬の時代」。




この頃からのプレイヤーかあ、どんな人だろう。

と思うと同時にだいぶハード・コアな人なんじゃない?怖くね?とも感じていた。





そんなこんなで現れたのがモリタセンパイである。




めっちゃラップがうまかった。


クラブでよく見る本物のラッパーみたいでオーラがあった。



そして当然、うかつに話はできない存在でもあることはすぐに理解もできた。




その日のサイファーが終わる頃に初めて会話したのが



「皆このへんの人やねんなあ?自分地元どこなん?」




「僕は1小からの東中です」




「嘘お?お前俺と全く同じやんけ!」





偶然にも同じ地元。

急激に縮まる距離。

(なんならその後の会話で部活も同じ野球部だったことが判明した)






そんなこんなでひと目見て遠い存在と決めかけたモリタセンパイと仲良くなった。




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