「異形コレクション」の話をさせてくれ
祝!シリーズ復活!
異形コレクションとは
井上雅彦氏による短編小説アンソロジー。
1998年、廣済堂出版から第一集「ラブ・フリーク」を発売。
15巻まで隔月で(!)出た後、しばらく休止。光文社文庫で復活。
2011年「物語のルミナリエ」出版後、再び休止。
2020年、9年ぶり(!)の第49集(!!)「ダーク・ロマンス」が発売!
異形コレクションはここがすごい
1、ワンテーマ競作短編アンソロジー
「サーカス」「映画」「喜劇」「江戸」「南国」
ワンテーマで複数の小説家が取っ組み合う様が面白い。
「このテーマそう解釈する!?」「そんな展開あり!?」
の連続。冗談じゃなくみんな違ってみんないい。
2、ジャンルが広い
血が凍るホラー、サスペンス、ミステリー。
ブラックなショートショートから、心温まる話まで。
(泣ける話を選りすぐったアンソロジーも出ています)
とにかく間口が広い。一冊に一話は刺さる話がある。
3、分厚い
とにかく一回手に取ってほしい。500〜600ページあるんすよ。
「あー……これ次出るまでに読み終わるかなー……」
という幸福な絶望感、先ずこれを味わってほしいんすよ。
ミスって「俳優」2冊買ってました。誰か「GOD」と交換してください。
異形コレクションのこの話が好き
ここから下の行は適宜増えていきます
「ひとにぎりの異形」&「物語のルミナリエ」
共にショートショート集。内容は激濃だけど読みやすい。
「ひとにぎり」には81組の作家が参戦。どこが一握りやねん。
「ルミナリエ」は震災直後の様々な想いが詰まった一冊。
「ロコ、思うままに」大槻ケンヂ(「オバケヤシキ」収録)
何とかして読んでほしい短編。
文章の端々からにじむオーケン節が本当に堪らない。
疲れた時に読むと百%泣いてしまう。
「山藤孝一の『笑っちゃだめヨ‼』」牧野修(「喜劇綺劇」収録)
今まで読んだ異形コレクションで個人的に一番怖かった話。
タイトルこそこんなんだけど本当に恐ろしい。
主人公の立場にいたら、と考えると息が詰まる。
「決定的な何か」早見裕二(「俳優」収録)
声優業界を舞台にした奇妙な物語。
ホラーでミステリーで寓話でお仕事小説。
何かしら書いて歌って演じている人間に刺さる話。
「サイボーグ・アイ」柄刀一(「幻想探偵」収録)
設定ぶっ飛び本格ミステリー。
且つ、SFでサスペンスで人情話。マジでどうなってるんだ。
そんなのあり!?という設定からくるスリルが満点。
「綱渡り」岡崎弘明(「世紀末サーカス」収録)
ある理由から決死の綱渡りを行う使命を負った会社員の冒険小説。
「俺は今……何を読んでいるんだ……?」
という地平に誘われました。めちゃくちゃ落語にしたい。
重要
異形コレクション、50冊目が出るんですって!なんと来月!
タイトルは「蠱惑の本」(仮)!テーマは「本」!
果たして発売までに「ダーク・ロマンス」を読み切れるのでしょうか