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観光まちづくりの陰で

先週タイムリープをきっかけに、OLYMPUSの標準ズームに回帰している
和伯|Wahaku です。
ZUIKOのオールドレンズは撮影していて楽しいのですが、キットレンズも使い勝手が良いので、換気を兼ねてたまには連れ出してあげようと思います。

それはさておき、登録文化財の「旧田中家住宅」での撮影の日に寺内町周辺を廻っていて改めて感じました。
向こう10年でこの町も更に大きく変わるでしょう。いや、寺内町だけの話だけでなく市内全域のことです。

駅前の三菱東京UFJ銀行(おっと、これも富田林支店は疾うの昔に無くなっとる)の向かいにあった「市場」(名前ど忘れ)が取り壊されて随分スッキリしてしまったのも遙か昔になりました。
(母親も若いときはその市場に入っているお店で働き、当時は最先端だったそうな。ワタシの記憶のかぎり、取り壊し直前の状態はナカナカのものだったなぁ。)

娘が小さいときはプレイランドに連れていったり、何かと重宝していた「ダイエー」も、あっという間に解体されて今ではコノミヤになっています。

中学時代にはユーミンのCDを買ったり、一階の肉屋のコロッケを頬張っていた昭和47年築の西友もひっそり閉店。(その後もボーリングやらカラオケのテナントを誘致してどうにか建屋は残されていたが、終末期は相当なカオスで香港の九龍砦城?を想起させた。)
最近は関スー(関西スーパー)やセリアの入った綺麗な複合施設に生まれ変わりましたが、「じゃんぼスクエア」の名称に生鮮品を扱う個人店で活気のあった元の「Jumbo食鮮館」の名残が感じられます。

入り組んでいたものが粛々と取り払われ、どんどんスッキリとしてきました。画一的な外食チェーンが建つのを待つ空き地が目立ちます。

重要伝統的建造物群保存地区に指定された寺内町も再整備が進み、さながら観光地になりました。リノベーションされた店舗が増え、休日には写真を撮る人も多く訪れます。

ワタシはこの町の姿を撮りながら、「ありふれた」生活の場の来し方行く末に思いを巡らせます。

そんな前回のアナザーストーリーです。


古い民家と市営の集合住宅が混在する地域です。
一本通りを中に入ると飾らない生活感が残っています。外の洗濯場も無くなっていくんでしょうね。

まだ住まわれている住宅もあり、とり壊しが決まっているのはひと棟だけのようです。ワタシの自宅の近くの年季の入った集合住宅も囲われたと思ったら一瞬で更地になり、今では小綺麗な建売が並んでいます。ワタシには、もう克明に前の姿を思い描くことは出来ません。

ある日地元情報を扱っているサイトで、集合住宅の取り壊しが始まったとの知らせが入り、現地に向かいました。

いろんな家族の暮らしを見てきたんでしょうね。

貯水槽と思ったら火の見櫓?元々タンクを置いていたけど増圧直結給水に作り替えた?んなわけないか。

「旧田中家住宅」の程近くに、五六七稲荷大明神(いむないなりだいみょうじん)が鎮座しています。鳥居に毛人谷村とありますね。「えびたにむら」と呼びます。(そりゃ読めんわ)奥の住宅の一部のようで不思議な空間です。

関係ない話ですが、その昔道東の白糠で暮らしていたとき、内地の人が大楽毛を「おたのしけ」と読めなかったのを思い出しますが、でもそちらのほうがまだ何となく分かりますね。
ちなみにこの地名はアイヌ語オタ・ノシケ (砂浜の中央の意) に由来しているそうです。

相当古い漆喰の壁が至るところに有りますが、手が回らず金物に緑青浮いてボロボロなところをよく見かけます。

そして増えたのが、ブルーシートの掛かった家屋。こちらは屋根を金物で支えています。こうした取り壊すでも補修するでもない住宅をいたるところで見かけます。色々な事情があるのでしょう。これも寺内町の実情です。

こちらは現役の床屋さん。ワタシの行きつけはまた別のところです。

外階段のアパートもこの辺りではちらほらと現役で見かけます。
8mmフィルムとか回すといい雰囲気かもですね。
どうでもいい話ですが、学生だったウン十年前は全く撮らないくせに、シネマクリエイターに出入りしていました。

この駐車場も長らく停まっていないですね。また何か動きがあるのでしょうか。

打って変わって、ザ・観光地的通りですね。実はさっきの駐車場は目と鼻の先です。
目立つ色の町おこしの幟が「如何にも感」を醸し出しています。
頑張って企画されている方には申し訳ないですが、やっぱり、そこは、頂けません。
(;´Д`)

御洒落な雑貨屋さんが増えました。
町は生き物です。色々なものを取り込みこれからも変わり続けます。

何から何まで変わるたびに残念がるのは可笑しいかもしれませんね。
今日失われてしまった風景も、もっと前の時代にあったであろう風景に上書きされて昨日までそこにあったものなのですから。

また明日からも町を撮りたいと思います。
出来立ての風景も含めて。
何時かその景色も大切な記録になる時が来るでしょう。その時に向けて。

今日はこのあたりで。
お付き合いいただきありがとうございました。

では、皆さんもどうぞ素敵な写真ライフを。

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