リレー小説 note15 『Relation』#7
この物語は、空音さん主催のリレー小説企画への参加作品です。
長くなったので、分割してあります。
莫大な情報の奔流。
通常であれば回線がパンクする程のトラフィックが発生している筈。
どこから、どう流れ込んでくるのか、それさえわからない状態の中、冬顔はただ、処理を進める。
スーパーコンピューターとは言えど、真っ当な処理方法では処理など追いつくはずも無いほどの情報。
それらの情報を、
漉して、均して、揃えて、並べて、眺めて――――捨てる。
次から次に。
そして、彼を見つけ出す。
見つからない筈よね。
冬顔は舌打ちして、関連情報を収集する。
味方のフリして、こちらの情報を握りつつ、自分達の情報を巧妙に隠す。
彼らの組織の得意そうなやり方だ。
敵は、政府機関――――中央情報局だった。
理由は恐らく、タケルの研究の情報に関わる辺りだろうと推測したが、もはやどうでも良いこと。
大統領の命による動きではなく、単独暴走であることだけ確認できれば、あとは良い。
次々に空間に表示される窓には、本件に関与した関係者のプロフィール―――生年月日、出生病院から性的嗜好まで、ありとあらゆる情報が晒されていく。
冬顔は、その中の、中心人物――――長官のスキャンダル情報をまとめる。関連ファイルを圧縮し、野党のタカ派、大手新聞社各社、そして大統領に送付。
当然、こちらの素性は隠し、捨てアドレスで。
明日になれば長官は更迭されるだろう。それは、当然の報い。
この程度で済ませるのは不本意だが、老体には牢屋暮らしだけでも十分なダメージとなるだろう。
その他のキーマンについては、現時点では利用価値があるのでホールドし、作戦プランに関連情報として整理。
この間、わずか数秒。
その作業と並列して、収集していたタケシの現在位置、周囲の防犯カメラ、近くの電力線、通信設備などの情報を、吟味する。
病院からさほど遠くないビルの地下。
下水道や地下鉄の地下道ルートと重ね合わせて行くと、アクセスルートは何通りか考えられる。
その全てを考慮しながら、タケシの安全確保を最優先に、作戦シミュレーションを行い、ベストと思われるプランを選択。
このプランの提示は、然るべきルートから行うことで、受け入れる側もやり易くなるだろう。
この間、わずか数秒。
準備を終えた冬顔は、憔悴したタケルに必要な手順伝え、そして同時にサポートを開始。
頭をつぶされた組織は動きを止める。
所詮お役所仕事。
大統領はすぐに長官を呼び出し、打ち合わせと言う名の弾劾裁判が始まるだろう。
とは言え、勝手に動く手足もあるので、そちらはキーマンにちょっと囁くだけで不活性化。
そんなサポート。
そして、犯人側が自発的に開放すると同時に、連邦警察がタケシを確保。
現場に同行させた医師により、投薬。
18:29。
これで、Mission accomplished ――――そして、私も。
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