★左右ウィンカーON・OFFは、ステアリング握ったままの左小指一本で操作可能。
1900年代初頭のドイツでは「バウハウス」というデザインのムーブメントがありました。これは、近代デザイン始まりともいえる流れで、「形態は機能に従う」という考え方なんです(機能が形を決める/機能的なものは自動的に美しいし使いやすい)。
その考えが今の「マン・マシン・インターフェース」につながってます。
ヒトのサイズ、機能、感覚、思考、神経伝達などに根ざして工業製品をデザインするわけです。
W124の運転席まわりのスイッチや操作類は、かなり徹底してこの考え方で作られています。
(今だってそうじゃないか、と思われがちですが、最新のクルマでも、いざ実際使ってみると、さまざまな電子制御はされていますが、「ヒトの操作」という視点では??がつくことも多いんです)
たとえばW124の左右ウィンカーON/OFFは、ステアリングの左側に出ている多機能アサインのレバー一本でおこなうのですが、ハンドルを握ったままの左小指一本でウィンカー操作できます。チョー便利!! ステアリングから手を一瞬でも離すことがないので安全ですし。
そしてここも大事なんですが、ウィンカーを戻すときにも同じく小指一本でキッチリ戻ります。
私、もう一台、マツダのアテンザワゴンも乗っていて(ワゴン好き!)、これもいいクルマなんですが、ウィンカーを戻すときに、カチッと元に戻るときに勢い余って、反対側のウィンカーを点灯させてしまうことがあるんです。
道を運転していると、時折、前のクルマが曲がるつもりもないのに、ウィンカーを出しっぱなしで走っているクルマがいたりしません? 単なる消し忘れもあるんでしょうが、残りの半分は、戻すときに勢い余って反対側をONにしてしまってるんじゃないか、と私は疑ってます。
W124には、これがない。ONからOFFに戻すときには、動作がピタッとOFFに戻るようバネ強度が絶妙にコントロールされてるんです。こういう細かい部分まで配慮が行き届いてる。バウハウスの国ドイツは、この時代あたりまでは、こうした精神文化が会社や職人に生きていたのだと推測。
この左のレバーは多機能アサインで、フロントワイパー作動、ヘッドライトのアップ/ダウン、フロントウォッシャー作動などが可能です。
ウィンカー以外は、廻したり、押したりする動作なので、小指一本では操作できませんが、これらの多用する機能をこの一本のレバーにまとめたところが、とても優れています。
このレバーでできない、割と頻繁に使われる動作は、リアワイパー(インパネ右上スイッチ)動作くらい。
ここまで、マン・マシンシステムを考え抜いて、運転者の腕の長さ、指の長さ、稼働範囲、機能とアクションの集約を、バネレートまで突き詰めて創られているクルマを私は他に知りません。