オヤジの寝過ごし旅日誌
前回は「オヤジと靴下」という家で起こった失敗談を書いた。今回は電車で寝過ごしてしまった話を書こうと思う。
寒い冬の夜。
当時、私は東急田園都市線の川崎市宮崎台という街に住んでいた。その日は渋谷で仕事の研修を受けていた。
研修の終了は17時。その後、一緒に研修を受けていた同僚と二人でオヤジが集まる地下の立ち飲み屋「富士屋本店」で飲んでいた。渋谷の再開発で今ではおしゃれなお店に生まれ変わっているが、その時はまだ昭和の匂いを感じるサラリーマンの聖地だった。
二人でその日の研修の話や職場の話などで大いに盛り上がり、21時くらいには帰ること。同僚の家は別方向なので渋谷でお別れ。渋谷から宮崎台までは田園都市線の各停電車で25分くらいの距離。
これは何度も寝過ごしてきた経験からするとかなり危険なシチュエーション。
案の定、電車に揺られ、温かい座席に座るとうとうとと寝てしまった。目が覚めて飛び降て見た駅名は「杉戸高野台」。
ココハドコダ…。
どうやら、渋谷から折り返しの中央林間駅まで行き、優しい駅員さんはそのまま寝かせてその電車で帰らせてくれたようだ。そして、その電車はおそらく田園都市線-東武線直通の南栗橋行き。
いつも飲んで帰る時間だと、中央林間やその前の終着駅で帰れない(それでも遠いけど)という状況になるのだが、その日は21時くらいの解散。そんな時間だと電車はまだまだ通常運行中。直通運転なんのその。
神奈川から埼玉まで乗り換えなしで行ける便利な電車は、埼玉の静かな住宅地まで私を運んでくれたのだ。
さて、そこからどうしたかというと、タクシーで帰るには遠すぎる。
住宅街で近くに時間を潰す場所も見当たらなかったので、とりあえずうちに向かって歩いてみようと歩き出した。標識には春日部市の文字。この辺がクレヨンしんちゃんの春日部かー。途中、コンビニでちょっとだけ暖をとりつつ、次の駅に向かった。隣駅は東武動物公園。こんな時間に動物園が空いてるはずもなく、外に展示してあった東部ワールドスクエアにありそうなミニチュアセットを眺めながら観光気分。さらにその次の駅を目指して歩いていた頃、朝も明け、始発の電車が横を通り過ぎて行った。
その日も平日で仕事があったが、体調不良(飲み過ぎ?歩き過ぎ?で体調不良には変わりない)ということで仕事はお休みさせてもらった。
教訓:飲むなら終電が近くに止まる時間まで飲みましょう。
「オヤジの旅日誌」というお話。おしまい。