第2回インタビュー:あみ(イベント運営チーム)
(聞き手・編集:ひな)
第二回目のインタビューは、イベント運営チームで活動をしているあみが受けてくれました。
今回のテーマも、前回に引き続き「声を上げる勇気」です。
Voice Up Japanに入って行動を起こす選択をしたあみですが、そう決断したきっかけ、決断した時の心境、そして実際に声を上げて見てどう思ったのかなど、「声を上げ」辛い社会の中で、それでも「声をあげる」選択をした体験について、聞いてみました。
修学旅行での衝撃
── 社会に声を上げようと思ったきっかけは何だったんですか?
あみ:
きっかけは色々あるのですが、中でもカナダでの経験は大きいと思います。高校の修学旅行先がカナダだったのですが、そこで2週間のホームステイを経験しました。私のホストファミリーは、お父さんが子育てや家事の多くを担当して、お母さんは朝早くから家を出て働くというスタイルの家庭でした。私はその生活を見て、すごく驚いたんです。朝、お父さんが子供たちのお弁当を作って、赤ちゃんと散歩をして、お母さんを見送って、夕方仕事が終わったら、また子供たちを迎えに行って、という姿が、当時の私にとっては衝撃的でした。そしてそんな時に、カナダでは、日本よりも男性が育児休暇を取ることがより一般的だということも知ったんです。そういうことがきっかけで、ジェンダー問題について学び始めるようになりました。
── なぜ、衝撃的だったのでしょうか?
あみ:
改めて自分の家庭について考えてから気づいたのですが、私の家族は家父長制色が強いんです。私は母に、「お父さんにもっと言いなよ」「なんで黙ってるの?嫌じゃないの?」ってよく言うのですが(笑)。話を聞いていたら、母も本当は我慢をしている部分が結構あることが分かるんです。同じような家庭は結構多いように感じていて、「もっとみんなが公平に話せるようになったらいいのに」って思うようになりました。ただ、公平になるためには自分の家庭だけに働きかけてもあまり意味がないですよね。社会あっての家庭なので、社会が変わったら、最終的にそれが家庭内での変化に繋がるんじゃないかって考えたんです。
── 社会に対して声を上げようか迷ったことはありましたか?
あみ:
ジェンダー平等について声を上げている人って、「意識高い系」だとか「堅苦しい」だとか、マイナスな印象を抱かれがちな部分がまだあると思うので、Voice Up Japanに入る前にそれで一瞬迷ったこともありました。でも、「そんなことを気にしていたら社会や家庭は何も変わらない!」と思って、すぐに気持ちを切り替えましたね。
── なぜ学生団体という選択をしたんでしょうか?
あみ:
自分にとって一番身近だったというのは大きいと思います。私は明大生だし、歳が近くて同じ環境にいる学生たちと一緒に活動できるので、自分にとって一番声を上げやすい場所なのではないかと考えました。あとは、Voice Up Japan MeijiのSNSを見ていて雰囲気の良さがすごく伝わってきたので、自分が周りにどう思われるのかを気にしていましたが、「ここなら大丈夫かも」って思ったのも理由の一つです。
成長が感じられる場所
── 実際に行動を起こしてみて、どう感じていますか?辛かったことや嬉しかったことはありましたか?
あみ:
今のところ、辛いと思ったことはないです。知らなかった世界の色んな事実を知って胸が痛むことはあるのですが、活動に対してはずっとモチベーションで溢れていて、「楽しくやるぞ!」という気持ちで活動できています。それは明治支部の環境のおかげでもあると思いますね。私は自分の知識量が全然足りないと思っているのですが、団体の中で知識を増やしながら活動をすることができるので、そういう面でも成長できているなって実感しています。
嬉しいのは、たとえば自分の友達が明治支部に入ってくれたりだとか、「ここってあみが入ってる団体だよね?」って声をかけてもらえた時ですね。結構ジェンダーの問題に興味を持っている人が周りに多くて、それは団体に入ってから気づけたことでした。
── 明治支部の環境があみさんに合っているんですね。
あみ:
メンバーそれぞれ「こういう社会にしたい」という強い思いを持っているのが、話しているとすごく伝わってきます。それで自分も影響を受けるし、同じように影響を与えたいなと思います。みんな良い人ですよね、素敵な人たちばかりです。
── 知識量が少ないと言っていましたが、それが障壁になることはありますか?
あみ:
ネガティブな方向に向かうことは、時々ありますね。例えば、まだ担当をしたことがない勉強会(明治支部内で、月1回開催されるイベント)をいつか担当することになった時に、責任を持って勉強会を開くことができるのかなっていう不安があります。あとは、私は性的同意推進プロジェクト明治支部リーダーを務めているのですが、そこでも知識量で遅れをとっているように感じるので、発言しにくく感じたりすることもあります。毎週開かれる学生支部全体ミーティングでも、他の支部のメンバーたちの話を聞いて「すごいな」って圧倒される時がありますね。
── 知識を増やすために、何か対策を取られていますか?
あみ:
Facebookのグループに登録してイベントの情報収集をしています。それで実際にイベント参加してみたり、最近だと、駅前に新しくできた図書館で本を借りて読んだりしています。あとは映画も観るようになりました。私、性的同意推進プロジェクトを担当することになるまで性行為に全く興味がなかったんです。全く理解できなかったのですが、それでも知ることは大切なことだなって思い始めて、情報収集をするようになりました。ドラマだと『セックス・エデュケーション』を観たり。親にも「面白いよ!!」って言ってます(笑)。
── 性的同意プロジェクトの担当をすることに、不安は感じませんでしたか?
あみ:
全く不安ではなかったです。私は「なんとかしてやる」精神なので、「知識を取り入れながら頑張ろう!」という意気込みでした。知識がないからこそ違う視点からアプローチできることを強みにしたいと思いましたね。
── 声を上げることの効果を感じていますか?
あみ:
団体に入ってから、自分のSNSアカウントでも堂々と発信して良いんだって思えるようになって、どんどん情報をシェアするようになりました。そしたら結構みんな興味を持ってくれて、投稿を見てくれるようになったり、活動自体に興味を持ってくれる友達もいたんです。身近なところで問題について考えてくれる友達が増えたことを肌で感じて、「あ、効果が出てるのかも」って思いました。嬉しかったですね。
── 団体での活動が、結果的に個人の活動にも繋がっているんですね。
あみ:
そうですね。考え方が変わったというか、不安が消えて、「これが私だ!」って堂々といられるようになりました。
居心地良く生きられるために
── 社会に対して声を上げる中で、気をつけたい、意識していたいと思うことは何かありますか?
あみ:
考え方って、人それぞれじゃないですか。ジェンダー平等でも、「対等でいたい」って思う人もいれば、「女性として扱われたい」っていう人もいるし、基準もないので難しいですよね。私は「絶対平等」っていう考えが強いのですが、だからと言って他の意見を批判したくないし、決めつけたくはありません。でもこういう活動をしていると、つい自分の考え方を押し付けてしまいそうになる時もやっぱりあって。それは気をつけないといけないし、それを防ぐためにも、自分の意見はしっかり持って、責任を持って発言をしていく必要があるなと思います。
── これからどんな形で社会に対して声を上げたいと思いますか?
あみ:
卒業してからどこかの団体に所属する、というのは想像がつかないですけど、自分が得た知識や考え方を周りに共有して、まずは少しでも身近な人たちが居心地良く生きられるようにサポートできたらいいなって思います。そしてそれがどんどん広がればいいなって。就職先はまだわかりませんが、社会の風潮を高めるための行動の一つとして、ジェンダーを始めとした、多様性を尊重する会社を積極的に選びたいですね。Voice Up Japanの活動を通して、自分の考え方が変わって、かつ周りもその影響を受けてくれているなと感じるので、周りの人たちに自分の意見や考え方を共有しつつ、その人たちの意見も聞いて、みんなが心のもやもやを手放して過ごすことができるための手伝いができたら嬉しいです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?