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兎田ぺこらはなぜThe Game Awardsにノミネートされたのか?

 先日、世界の主要4大ゲームアワードの1つとされる"The Game Awards"(TGA)の「Content Creator of the Year」部門に、ホロライブ所属の兎田ぺこらさんがノミネートされました。

 TGAのノミネートがいかにすごいことかについては、ぺこらさん本人の「記者会見配信」で詳しく語られているので、そちらをご覧になるのが良いでしょう。

なぜ「兎田ぺこら」なのか?

 ここで一つの疑問が浮かびます。
本人も「なんでぇ~?」と驚いていましたが、世界中のメディアが参加するノミネート投票で、ぺこらさんが選ばれるほどの票を集めた理由は何なのでしょうか?

 昨年のTGA2023では、VtuberのIronmouseさんが同賞を受賞し、「ゲーム業界におけるVtuberの認知」が進んだのは間違いありません。

 また、ホロライブがロサンゼルス・ドジャースとコラボするなど、北米を中心とした積極的なプロモーション活動が知名度向上に寄与しているのも確かでしょう。

 さらに、過去にはがうる・ぐらさんが米最大級の動画アワード「Streamy Awards」のVTuber部門賞を受賞しています。

 一部では、「小島秀夫監督がTGAの主催者であるジェフ・キーリー氏と仲が良いため、推しのぺこらさんを推薦したのでは?」という噂も囁かれています。しかし、TGAの選考基準から考えれば、確かな実績があってのノミネートであると見るべきです。

 いずれにせよ、欧米文化圏が主催するイベントであるTGAで、日本語配信者のぺこらさんがノミネートされるのは異例です。日本語のみで活動するぺこらさんが世界中のメディアから注目された理由が必ず存在するはずです。

「女性ストリーマー世界一」がもたらした影響

 私が考えるに、ぺこらさんが選ばれた決定的な理由は、「2023年女性ストリーマー世界一」という実績です。

 確認できる中で、歴代の女性ストリーマー世界一は以下のとおりとなります。

  • 2020年 VALKYRAE

  • 2021年 Amouranth

  • 2022年 Amouranth (2年連続)

  • 2023年 兎田ぺこら

 2020年には、同じく女性ストリーマー世界一となったVALKYRAEさんがその年のTGAでコンテンツクリエーター賞を受賞しています。
 一方、2021年・2022年に世界一となったAmouranthさんは、主にASMRや雑談配信を主体としていたため、ゲーム中心のTGAの選考基準に合わなかったと考えられます。
 そして、2023年世界一となった兎田ぺこらさんは、Vtuberとして、かつ非英語圏の配信者として初めての「女性ストリーマー世界一」です。

 また、2023年の女性ストリーマーランキングでは、ぺこらさん以外にも博衣こよりさん(3位)、さくらみこさん(5位)、大空スバルさん(6位)といったホロライブ所属のVtuberがランクインしました。さらにIronmouseさん(4位)や赤見かるびさん(10位)といったTwitch中心のVtuberも含めると、トップ10のうち6人がVtuberという結果になっています。
 このランキング結果は、Vtuberがストリーミング界で急成長し、日本人である兎田ぺこらさんの名前が世界中で認知される契機になったと考えられます。

 ちなみに、ぺこらさんは2024年の女性ストリーマーランキングにおいても首位(2024年第3四半期までの集計)となっており、2年連続の世界一が確定的です。この実績は、彼女がTGAでコンテンツクリエーター賞を受賞するにふさわしい人物であることを裏付けるでしょう。

Streams Charts 「Most Popular Female Streamers in 2024」より引用

ゲームインフルエンサーとしてのVtuberの重要性

 近年、ストリーミング界における日本の存在感、特にVtuberの影響力が増しています。StreamsChartsのデータによれば、2024年上半期の日本語ライブ配信の視聴時間は、英語圏・スペイン語圏に次ぐ第3位となっています。

Streams Chartsの記事「JAPAN LIVE STREMING MARKET」より引用

 その中でも、Vtuberがライブ配信全体の視聴時間の約23%、ゲーム配信に限れば約3分の1を占めるというのは注目に値します。

Streams Chartsの記事「JAPAN LIVE STREMING MARKET」より引用

 これまで日本はゲーム作品の供給面で世界的に重要な役割を担ってきましたが、現在ではゲームストリーミングにおける急成長とともに、Vtuberがゲームインフルエンサーとして不可欠な存在となりつつあると言えます。
 昨年のIronmouseさんの受賞、そして今年の兎田ぺこらさんのノミネートは、ゲーム業界がVtuberの影響力を認識し始めた証拠なのではないでしょうか。



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