『なんぼや』が家や車を買い取る理由と、生活の中にあるサーキュラーエコノミー〜戦力外Jリーガー社長の道のり41
前回は、資産管理アプリ『Miney (マイニー)』が目指したビジョンとその展開についてお話しました。
『Miney』のコンセプトは、現在のバリュエンスにとって、事業面だけでなく、その哲学や会社のあり方にかなり重要な影響を与えています。
現在の事業につながる『Miney』のコンセプト
クローゼットやタンスに眠るモノを資産として認識してもらい、“潜在的な顧客”を掘り起こすと同時に、資産管理、資産形成、お金と接する教育の機会も創出する『Miney』のサービス終了後、直接的には『ALLU Fashion Market』にその機能やコンセプトが引き継がれました。
しかし、「モノ=資産」として再定義することによる需要の掘り起こしは、サーキュラーデザインカンパニーを掲げるバリュエンスの核となる考え方と通じています。
『なんぼや不動産』と車の買取サービスを開始
バリュエンスでは、2020年6月に『なんぼや不動産』を、2021年4月には『なんぼや』における車の買取サービスを開始しています。
不動産や車の取り扱いも、ある意味では『Miney』の延長線上にあるといえます。
データ戦略と不動産を扱う理由
マンション、戸建て、土地、アパートなど、お客さまの不動産資産に関するお悩みをワンストップでサポートする『なんぼや不動産』は、お客さまの実物資産を有効活用するために欠かせない重要な事業です。
そもそも不動産事業は、個人的にもかなり早い段階で関心を持っていた分野でした。
『なんぼや』などで買取を行う際、私たちはお客さまから住所、氏名、電話番号などの個人情報をいただきます。
これは、盗品などの売買を防ぎ、万が一市場に出た場合でも速やかに発見、品物を追跡するために古物営業法、犯罪収益転防止法によって義務づけられていることです。
だからこそ、顧客情報のデータベース化や取得したデータのセキュリティ、さらに進んでブロックチェーン技術などにも興味を持つきっかけにもなったのですが、大切な「個人情報」をお預かりしていることが、お客さまとの新たな関係性への第一歩となると気づいたのです。
お客さまの資産の可能性を広げる
この気づきが、不動産APIサービスを活用した自動査定システムの構築につながりました。ブランド品買取で築いた顧客接点を活かしながら、新たな収益機会の創出を目指していったのです。
最近、「住所を入力するだけで、土地相場価格がわかります」というサービスを目にすることがあると思います。不動産の価値は相場データさえあれば査定可能です。まさに『Miney』でやろうとした資産の可視化が、不動産で可能になっているともいえる状況です。
ただし、知らないサイトに住所を入力することをためらう人も多いのではないでしょうか。
その点、『なんぼや』をはじめとする弊社のサービスの利用者なら、買取サービス時の商談をタッチポイントに、個人情報の管理、利用の範囲に同意を得ながら、さらなるサービスが提供できます。
「Circular Design」で真の豊かさを
不動産や車は、生活に直結するものであり、環境負荷やサステナブル文脈でもその影響力は絶大です。不動産や車を資産と捉え、日常的に売買している人たちは別ですが、多くの人たちは、不動産なら一生に一度か二度、車なら何年に一回という「ライフイベント」と考え、吟味して買ったり売ったりしているのが現状です。
単に金銭的利益を追求する投機目的ではなく、大切な資産である不動産や車を、リユースという形で次の「必要としている人」にその価値を最大化した上でつなげるようになれば、それはそのまま循環型社会につながります。そして、それはどんな人にとっても金銭的メリットだけでなく、新しい価値観での“豊かさ”につながることではないかと思うのです。
そういう意味ではお客さまの資産の可能性を掘り起こし、それを可視化していく事業すべてが、
地球、そして私たちのために
循環をデザインする
という私たちの掲げるパーパスにも直結しているのです。
自分たちがブランド品だけではなく、顧客が保有する不動産や車などのすべての実物資産をワンストップで解決していくことが、将来的にバリュエンスにとっての圧倒的な差別化につながるという確信がありました。
つづく
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