そこの角
生まれ育った田舎町、
今は離れて暮らしてる。
たまたま用事で通り過ぎ、
懐かしい匂いの風がする。
お腹が空いてる訳じゃない、
そこで育った季節の匂い。
鼻垂れでも詰襟でも、
自転車でも車でも、
目線が低くても高くても。
いつでも同じ風の匂い、
何も変わらぬ風の匂い。
変わったのは自分自身、
同じ匂いに今を重ねて。
随分と成長したな?
随分と汚れたな?
随分と寂しく思う。
赤信号が語りかけ、
そこの角のたこ焼き屋。
ここにはもう、
その頃の匂いが無くなって。
あのおばちゃんも現れない、
ここは売地で更地の空き地。
あの頃はいつもお腹を空かしてた、
今は何も要らない欲しくない。
ここの角のたこ焼き屋、
その匂いだけもう一度……
懐古しながら故郷を去った、
懐古したくてまた来るよ!
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