セカンドライフって、今どうなっているの?
「VR元年」と言われ続けて、もう5年くらい経っているように思います。そしてVRの話をするときに必ず出てくるのが「セカンドライフって、今どうなっているの?」という疑問ですよね。 (注:セカンドライフは、VRヘッドセットに対応していません。)
この疑問が繰り返されるのは、日本だけではありません。ほかの国でも「セカンドライフって、今どうなっているの?」「セカンドライフってまだあったの!?」という話題が定期的に出て、現役ユーザーを複雑な気持ちにさせています。
しかし星の数ほどバーチャルワールドが生まれ消えていくなか、これほどユーザー以外から認知されているサービスというのも、めずらしいのではないでしょうか。ブームから13年~14年経った今でもセカンドライフが存続しているのは、その認知度のおかげともいえるかもしれません。
ところで、セカンドライフって、今どうなっているの?
2007年のブームに乗り、そこから付かず離れずのライトユーザーを続けてきた私には、今のセカンドライフがどうなっているのか正直分かりません。何年経っても分からないことだらけです。ブームのころよりも土地の広さは減っているはずですが、深さが増しているように感じます。
私が昔から知っている人たちは、ほとんどが十年選手ですから、バンパイアの集団は、もうほぼバンパイアです。妖精もヴィクトリア朝の貴族も、森にいる動物たちも、バーチャルアイデンティティが確立しまくっています。芸術表現や教育用プラットフォームとしての用途は定番になりました。特に芸術分野では複数のアーティストがセカンドライフを表現の場として利用し高い評価を受けています。
一方、ブームを体験せず、スマホのアプリやゲームでバーチャルワールドに馴染み、セカンドライフにたどり着いた新しいユーザーも増えてきました。こういう人たちは、YouTube や Flickrなど、ほかのメディアとの連携が得意で、どんどんセカンドライフ老人を越えていきます。すごい。
そして運営の方法も、時とともに変わってきました。セカンドライフを運営しているのはリンデン・ラボという会社ですが、セカンドライフ創設当時のメンバーは、もう残っていません(でも元リンデンは何らかの形でバーチャルワールドに携わっている人が多いようです)。また、ブーム当時はリンデンドルの流通によりリアルマネーを動かせることが注目され、今でいうと仮想通貨の盛り上がりに近いものがありました。しかし、度重なる法規制によりその要素は減ってしまいました。今でもバーチャルアイテムの販売や、土地や家の賃貸で収入を得ている人たちは存在しています。でも、十数年前より「お金を稼ぐ」ことが難しくなっているようです。
「自分が見ているセカンドライフは、ほんの一部でしかない。」
アイテムを作るわけでもなく、アバターをカスタマイズするわけでもなく、ひたすらバーチャルワールドをウロウロし続けた私は「この世界で全体を把握するのは無理」という結論にたどりつきました。
でも全体が把握しづらいおかげで、Twitterに上がったら瞬殺されそうな「表現の自由」が守られているように思います。セカンドライフのなかでは、法に触れず人に迷惑をかける行為をしていなければ、たとえ「それはどうなの...」と心のなかで思ったとしても、ほかの人のイマジネーションは、そっとしておくのが暗黙のルールです。(そうは言っても、一般エリアで突然裸になってほかのアバターを追い回したら、当然ですが迷惑行為でBANですから気をつけてください。)
この世界で、なにを見て、なにをするかは自由なのです。
【参考】
アメリカからアクセスしているユーザーが多いです。(2020年11月)
世界的なコロナ禍によりマンスリーアクティブユーザー数が上昇傾向です。
今のセカンドライフは、国境を越えて活動したい、海外志向の強いクリエイターやアーティストに向いているバーチャルワールドだと思います。日本のコミュニティの中でじっとしていようと思っても、大抵無理です。どこかしらで外国人ユーザー(または、リンデンのスタッフ)と交流したり、英語を読み書きしたりする必要がでてきます。そのような体験を苦痛に感じない人であれば、長くのんびり楽しめるはずです。