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#99 まだ売りたくないVCの投資先スタートアップ持分

先週の木曜日はアメリカの感謝祭(Thanksgiving)でした。 アメリカは感謝祭とクリスマス、そして新年が代表的な連休で、感謝祭を皮切りにホリデームードになっていき、一年を締めくくる雰囲気になります。 私も今回1泊2日と短いですが、車で2時間の距離にあるBig Surというところに初めて行ってきましたが、噂らしく自然景観がとても素敵なところでした。 海も素敵ですが、近くで色々なハイキングもできて、次はもう少し余裕を持って行ってハイキングもしてみます!

Bixby Creek Bridge

ここ1年間のテック株の低迷に伴い、今年上場したテック企業の多くがIPO価格から50%以上の値崩れを起きるなど、IPO市場も難しい状況が続いています。

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バリュエーションにおけるPSR (Price to Sales Ratio、株価売上高倍率)が大きく膨らみ、マーケット全体での調整が必要だという声もありますが、当然まだ期待値は高いものの、マクロ環境の影響で割安になっている企業もあります。

そのような割安になっている優良企業に投資をしたGP(General Partner、ファンドを運営する人たち)は、今後数年のうちにマクロ環境が改善し、投資先企業が適切に評価されるまで待つしかありません。

しかし、ここには一つ大きな問題があります。通常、ベンチャー・キャピタル・ファンドは、10年で償還期限を迎え、その時点でファンドの投資家に投資金と収益を返さなかればなりません。つまり、投資先企業の評価が戻るまであと数年待とうと思っても、ファンドがすでに10年程度経過していれば、資金を返却してファンドをクローズしなければならないのです。

そこで登場するのが「Continuation Fund」(直訳:継続ファンド)です。Continuation Fundとは、要するに、クローズしなければならない古いファンドから特定の会社など、ある資産を取得する新しいファンドです。

例えば、とあるGPが10年前にファンドAを組成し、X社に投資したとします。X社は非常に優良な会社ですが、マクロ環境の影響で今IPOすると評価が低くなりすぎる可能性があります。そこで、GPはファンドB(Continuation Fund)を立ち上げ、ファンドAからX社を買い取ることで、市場環境が改善するまで、X社を継続的に保有することできます。ファンドAの投資家からすれば、今すぐお金が必要なら収益を確定し投資を終了としても良いですし、そのリターンをファンドBに再投資(または引き継いで)して、X社の価値が最大化されるまで待つこともできます。

これを主に「GP-led continuation fund」(直訳:GP主導の継続ファンド)と呼んだりします。最近のマクロ環境から、この種の取引は人気を博しています。しかし、この取引は決して簡単ではありません。GPはファンドBの資金を調達する必要がある他、複数のステークホルダーの利害をバランスさせる必要があるからです。

GPの立場からすると、よりシンプルなのはセカンダリー取引で、これも最近人気が上昇している取引形態です。GPはファンドをクローズする必要がある場合、その資産に興味を持つ他のGPに(通常はある程度ディスカウントされた価格で)資産を売却するだけです。

PitchBookによると、セカンダリーファンドは2020年と2021年に多額の資金を調達しているようです。多くのドライパウダーにより、これからより多くのセカンダリー取引が出てくることが期待できます。

ただし、上のデータには、ベンチャーキャピタルだけでなく、バイアウトやインフラなど、プライベートエクイティ資産全般のセカンダリーファンドが含まれています。ですので、このデータは私が上でベンチャーキャピタルマーケットに関して述べたことを正確に反映していないかもしれませんが、全体的な流れには大きな差異はないと思います。

セカンダリーでの売却は、優良な投資先企業の価値を完全に実現させることができないため、GPにとって理想的とは言えないかもしれません。しかし、マクロ環境が理想的でないとき、手持ちの現金はさらに重要になります。投資先の潜在的な価値を十分に引き出せないかもしれですが、セカンダリー戦略を活用し、投資家に投資金や収益を返すことは考慮するべき有意義な戦略の一つではないかと思います。

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