ソーシャルメディアの真価を測るには?

ここ数週間のGame Stop社のストーリやDogecoinの価格の高騰を見ていて、ソーシャルメディアプラットフォームの真の価値は何なんだろうと考え始めました。少なくとも今確実に言えるのは、売上や時価総額ではこれらのプラットフォームの価値を測るのに十分ではないということです。

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当然これらは主に企業の財務KPIに対する指標であって、ソーシャルメディアプラットフォームの実世界への影響の度合いや種類は必ずしもキャプチャしてないからなんですよね。

2010年の「アラブの春」から始まり、2016年の大統領選挙、そして2020年の多くの歴史的な出来事まで、大衆が、または影響力のある少数の人たちは、自分たちの目標の達成のためにソーシャルメディアを見事に活用してきました。また、その影響力はどんどんと大きくなってきています。

数あるソーシャルメディアのプラットフォームの中で、ツイッターは常にスポットライトの真ん中にあります。フェイスブックと並んで、アラブの春の間に重要な役割を果たし、アメリカの前大統領は非常にうまくツイッターを使っていたのは有名な話ですよね。

さて、直近のツイッターの時価総額は$57B(約5.7兆円)です。一方、Facebookは約$770B(約77兆円)の時価総額を誇っています。Twitterが2019年に$3.5B(約3,500億円)を稼いだのに対し、Facebookは同会計年度に$71B(約7.1兆円)と20倍以上の売上を上げています。明らかに、Facebookの時価総額の高さは、より高い売上に反映されているのが分かります。しかし、それらの時価総額がツイッターとFacebookの「実世界に影響を与える能力」もちゃんと捉えられているのでしょうか。少なくともFacebookがツイッターより20倍影響力があるとは思い難いですね。

Elon MuskのDogecoin関連ツイットは同コインの価格を大幅に押し上げました。その価値は1,500%上昇し、今では$10B(約1兆円)で評価されています。これはなんとTwitterの評価額のほぼ1/6です。本当に1兆円の価値があるのかどうかは別として、実世界で新たに作られたこの価値を、Twitterはどのようにして自分たちの価値に取り込むことができるのでしょうか?

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これは、ツイッターが実世界で創造した新たな価値を自分の価値に取り込んでない簡単な例です。Dogecoinの評価額という数値があるので、測定可能でもあります。ただ、他のソーシャルメディアプラットフォーも含めて、測定不可能な他のイベントもカウントし始めると、そのインパクトは想像をはるかに超えたものになるでしょう。

インフラ業界でも似たようなケースを見てきました。例えば、PG&Eの時価総額は$24B(約2.4兆円)です。電気がなければ何もできないのに、PG&Eの価値はツイッターの半分以下なのでしょうか。言い換えれば、2.4兆円という値札は、会社の真の価値とインパクトを捉えるのに十分な指標なのでしょうか? 電気のない生活を想像するのは簡単です。すごく不便になりますよね。残念なことに、ソーシャルメディアのプラットフォームの場合、もう少し状況が複雑なのです。

現代社会の新たなインフラとなったソーシャルメディアの価値とインパクトを測るためには、新たな指標が必要です。デジタル技術が私たちの生活の中に益々と浸透してく中、ソーシャルメディアへの依存度もさらに高くなると思います。インパクトと価値を正しく測定できるようになれば、より効果的な規制の枠組みやコーポレートガバナンスモデルを作ることができるようになるでしょう。

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