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誰がインテル vPro® プラットフォームを必要としているのでしょうか?

特にハードウェア・ベースの管理機能を使う予定は無いけれど

vProよもやま話、前回はどの様なユーザーがインテル vPro プラットフォーム対応PCを使っているのかについてご説明したところで終了しました。
ここで改めて「どんなユーザーが vPro 対応 PC を使っておられるのか?」について、図を用いて整理してみたいと思います。

これまでの経験から作成したvPro PCのユーザー像です

「特に vPro が欲しいと指摘した訳ではないけれど、PC が届いたら vPro だったよ!」という幸運な方もおられますが、基本はインテル vPro プラットフォーム対応であることを指定して調達されています。
そしてここ数年の PC 調達案件で見られる特徴は、企業規模を問わずますます苛烈になるサイバー攻撃を背景とする「少しでも安全に利用できる PC が欲しい」というニーズの増加です。以前はハードウェア・ベースの管理機能をお使いになる方だけが vPro PC を導入されていましたが、ここ最近は PC というハードウェア単体の安全性も調達の基準になる案件を多く拝見しています。「ハードウェア構成を均一化して管理工数を削減したい」というニーズと共に、とりわけ大規模な調達において多く見かけるケースです。PC 単体としての安全性や安定性に注目して PC を選択されるケースは、これからも増えて来ると思われます。

vProと言えばやはりリモート電源管理

まずはずっと変わらない用途から

スマートフォンやタブレットなどが普及した今では、デバイスは常に動作していて通信可能であることが当たり前になりました。一方で、PC については 2024 年末の現在においても引き続き電源オンとオフ、そしてスリープなど幾つかの電源状態が存在し、電源オフの状況では言うまでもなく、スリープやハイバネーション(休止状態)と呼ばれるパワーステータスでは原則外部からのネットワーク通信を受け入れることが出来ません。
PC の利用者と管理者が同じ、個人所有のまさに「パーソナル・コンピューター」であれば、それで問題ないと思いますが、通常ビジネス PC と呼ばれるデバイスになると、使用者と管理者が異なります。組織で利用される PC を安全、快適に利用出来る様にすることに責任を持っているのは管理者の側ですが、一般的に管理者は管理しなければならない PC の近くにはいませんから、管理出来ない(通信出来ない)状態があるのは困るのです。
ここまでのよもやま話でご紹介しました通り、この問題を解決するために vPro が生み出された訳ですから、PC の制限が存在する限り引き続き非常に多くのお客さまが「PC をリモート通信可能な状態にする」という目的で vPro をご利用になっています。
まずは「とにかく電源をONにしたい」という用途ですが、主にデスクトップ型の PC で、PC とユーザーが1:1の関係で固定されない業務端末に多い用途です。
例えば総合病院の外来病棟。そこで使用される PC(医療情報端末)は入院病棟と違って、外来診療を行なっている時間と行なっていない時間、明確に PC を利用する時間と利用しない時間が存在します。外来診療が終われば使用しない PC の電源を OFF にし、翌日また診療時間の少し前に PC の電源を ON にして、即座に患者さんの診療に取り掛かれる状態にする。そんな目的のために vPro の機能で定時に電源を投入するといった活用をされています。
同じ様な用途では、コールセンター業務に利用される PC、駅や空港で利用される業務端末、POS やデジタルサイネージ端末など、やはりユーザーと PC の関係が固定されない、定時に利用開始され、定時にシャットダウンされる PC では vPro のリモート電源管理機能がお役に立っている様です。

Windows10で導入された機能更新プログラム

Windows10の普及も vPro PC の活用が進んだ1つの契機でした。
Windows10で導入されたFU(Feature Update: 機能更新プログラム)は規模の大きなアップデート・プログラムの適用ですので、アップデート開始から終了まで、すなわちその PC を使った業務を再開できるまで、それなりの時間が必要になります。情報システムのご担当者は「業務時間にこうなってしまうと、しばらくPC止まっちゃって仕事出来ないんです・・・ 業務時間外に実施してもらえませんか?」と結構大変なことを、さらっと簡単にユーザー部門から言われてしまったりして、「さて、どうしたものか・・・」と調査、検討される中で vPro を採用いただいたケースも多かったようですね。

保険サービスを支えるセキュリティー強化と管理効率化をインテル® vPro® プラットフォーム搭載PCで実現

PC のメンテナンス時は“2 種類の使われ方” を考慮する必要がある(ワシントンホテル株式会社 様)

上記2つのご活用事例では、いずれもWindows7からWindows10 への移行に際して、新たな資源配布方法の必要性を感じられたことから、vPro プラットフォームを採用、導入されたと伺っています。

パンデミックが求めた更なるリモート管理

遠くにある PC をまるで手許にあるように・・・

そしてもう1つのニーズ、それはハードウェア・ベースの電源コントロールをもう一歩進めて、「遠く離れた場所にある PC を、あたかも手許にあるものの様に操作したい」と言うニーズです。こちらも以前から様々なお客さまによってご採用いただいていた用途ではありますが、比較的少数派だったと申し上げることが出来ると思います。

PC は一旦ブートし、通信可能な状態になれば、後はソフトウェア側の機能で様々な遠隔操作が可能になります。ですからリモコン操作するにしても、「vPro の機能を使って電源を ON にさえできれば、後はソフトウェア側の機能で十分事足りるというのが一般的だったのですが、その状況にも変化が起こっています。

オンサイト作業が出来ない状況が生まれる
まだ記憶に新しい「新型感染症の爆発的な感染拡大」。これまで労働人口構成の変化や自然災害など、様々な社会環境の影響を受けて使われ方が変化してきた PC ですが、いわゆるこのパンデミックも PC の利用方法、そして管理方法に大きなインパクトを与えました。
まず用途の面では、在宅勤務とビデオ会議の急激な拡大があったのはご存知の通りですが、その裏側である管理者側に注目すると、今までごく当たり前に出来ていたオンサイト・サポートが非常に困難になったと言う現実です。当時はユーザーのみならず PC を管理する側の IT 部門のスタッフも外出制限が言い渡されていましたから、例えば在宅勤務中のユーザーの PC の調子が悪く、立ち上がらない、立ち上がってもすぐにフリーズしてしまうと言う状況が報告された際、在宅勤務が継続出来ないのは問題ですから、従来であれば管理者はオフィスへ出向いて代替機の手配と設定を行い在宅勤務者の自宅に発送することも出来るでしょう。しかし当時は管理者すらオフィスに行くことが許されなかった訳ですから、単一のアプリケーションではなく、PC の動作そのものに不具合が発生している場合、その対応は困難でした。

もっと簡単な問題、例えば持ち出し PC に設定された PC 起動時のパスコードの入力に何度か失敗してロックされてしまった、もしくは PC の設定変更を行うためBIOS 設定画面にアクセスしたいがスーパーバイザー・バスワードが設定されているためリモートでは手が出せないなど、今まではごく当たり前に出来ていた作業も環境が変われば困難になることもあります。
この困難な状況を vPro プラットフォームのリモート KVM 等の機能を活用することで回避され、事業を継続されたお客さまも数多くいらっしゃいました。
下記 Internet Watchさまの記事では、従来自社の担当者を派遣して行っていた PC のセットアップを vPro プラットフォームの管理機能を活用することで無人化し、事業継続を可能にされたサイバーディフェンス研究所さまのお話が紹介されています。

企業セキュリティの穴を、実際に攻撃して見つける「ペネトレーションテスト」のスゴさを聞く 〜ドコモの閉域網とIntel vProの活用で、リモートでも安全なテスト環境を構築〜

OS やリモコン・アプリケーションに依存しないリモート KVM や、管理者の手許にあるディスクイメージをターゲット PC の起動ディスクとして強制的にマウントする USB リダイレクションなどの機能は、パンデミック以前から活用されていましたが、「あ、結構ツウな使い方ですね!」と言う印象でした。例えばあるイベント企画・管理会社さまにおかれては、全国のイベント会場に設置されている重要な業務端末が万が一不具合で止まってしまった場合でも、管理者はリモートで起動ディスクをバックアップドライブに切り替える、またはファイルサーバーのディスクイメージを用いて不具合の発生している PC の メインドライブを上書きするなどの方法を用いて、ダウンタイムを最小に抑えるという用途で利用されていました。

かなり狙いすました用途で使われている印象を持っていたこれらの機能が、より一般的な用途で使われる様になったのは、パンデミックと言う全く想像しなかった環境の変化により、お客さまがどの様にすればその難局を乗り切ることが出来るか検討され、結果として vPro の機能に注目し、活用して下さった。その結果これまでと違った用途でそれらの機能が日の目を浴びると言うことになったということなんですね。

「あー、そんな使い方があったんですか〜」

ユーザーの皆さまにはいつも新しい使い方をお教えいただいています。

年内最後の第4回はこのあたりでおしまいでございます。
今回も、そして本年はvPro 友の会にお付き合い下さいましてありがとうございました!

どうかよいお年をお迎え下さいませ!!


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