序文 - 絵と文字でビジネスを加速する方法〜ビジュアル・ファシリテーションのすべて〜(抜粋)
ビジュアル・ファシリテーションとは、グラフィックやイラストなどの視覚的な要素を使って、人々のコミュニケーションや協働を促進することです。この本では、ビジュアル・ファシリテーションの基本から応用まで、幅広く紹介します。
序文
本書の背景
現代社会は、情報があふれる一方で、コミュニケーションの質が低下していると感じることはありませんか?ビジネスにおいても、利害関係者の多様化/対象の複雑化/時間の不足/緊急性が高いといった状況の増加、これらを感じているのではないでしょうか。そんなときに、集団において、対話/打ち合わせ/会議がうまくいかない。言葉だけでは伝わらない、理解されない、納得してもらえないといった問題に直面することがありませんか?
アルビン・トフラーの「第三の波」流にいえば現在は「情報世代」の後期に当たると筆者は考えます。前期ではそれぞれの個人や集団が自分の利益のために勝手に活動していました。その中で必要最低限のコミュニケーションで解決しています。法律・契約・貨幣を用いることで効率的に運用される社会であったともいえます。
「情報世代」の後期では、アルフレッド・アドラーの提唱する共同体感覚をもってことにあたることが重要です。すなわち、何らかのコンフリクトが発生した際には、より大きな共同体の声をきく。抽象度を上げて通常ではおもいつけなかったアイデアを創出しよりよい世界にしていく。
このような世の中をどうやって渡り歩いていけば良いのでしょうか。
魅力と効果を紹介する
そんなときに役に立つのが、ビジュアル・ファシリテーションです。ビジュアル・ファシリテーションとは、集団における対話/打ち合わせ/会議をより効率的に行うための手法です。ビジュアル・ファシリテーションとは、時空間、時間と空間に着目して、集団の統制/情報の見える化を行います。
時間:集団の統制。対話/打ち合わせ/議論をスムーズに行うために時間的、段階的にことを進めます
空間:情報の見える化。その対象を見える化(ビジュアライゼーション)により、大量かつ複雑否情報を空間的に展開することでわかりやすくします
ビジュアル・ファシリテーションとは、この時空を取り扱うための手法です。
ビジュアル・ファシリテーションは、さまざまなシーンや目的に応じて活用できます。たとえば、以下のような場合に使うことができます。
ミーティングやワークショップで、議論の流れや結果を可視化し、共有する
プレゼンテーションやレポートで、主張や提案を説得力のある図やイラストで補強する
プロジェクトやタスクの管理で、進捗や状況を一目で把握できるダッシュボードやチャートを作る
アイデアや解決策の発想で、ブレインストーミングやマインドマップなどのクリエイティブな手法を使う
学習や教育で、知識やスキルを効率的に記憶や理解するためのビジュアルノートやインフォグラフィックを作る
ビジュアル・ファシリテーションを使うと、以下のような効果が期待できます。
コミュニケーションの質や効率が向上する
協働やチームワークの促進や強化ができる
意思決定や合意形成のスピードや精度が上がる
モチベーションやエンゲージメントの向上や維持ができる
イノベーションや変革の創出や推進ができる
本書の目的と対象読者を紹介する
本書の目的は、ビジュアル・ファシリテーションの基本から応用まで、幅広く紹介することです。本書では、以下のような内容を扱います。
ビジュアル・ファシリテーションの定義やメリット、歴史や背景、種類や分類などの概要
ビジュアル・ファシリテーションを使うための道具や環境の準備、使う理由や目的、使う方法やコツ、実践例やヒントなどの実践方法
図解の基本スキルや応用編、ファシリテーションや脳科学の関係、ロジカルシンキングや抽象度の調整などの応用知識
トラブルシューティングやイノベーション、新商品や新サービスの企画などの応用事例
本書の対象読者は、以下のような方々です。
ビジュアル・ファシリテーションに興味があるが、何から始めればいいかわからない方
ビジュアル・ファシリテーションを実践しているが、もっと上達したり、応用したりしたい方
ビジュアル・ファシリテーションを仕事や学習に活用したいが、どのように使えば効果的か知りたい方
本書は、ビジュアル・ファシリテーションの初心者から上級者まで、幅広く役立つ一冊です。
本書の読み方と活用法を紹介する
本書の読み方と活用法は、以下のようになります。
本書は、第1章から第10章までの10章で構成されています。各章は、見出しや節、文章や箇条書き、図表などで構成されています。
本書は、基本から応用まで順番に読むことができます。また、興味のある章や節から読むこともできます。
本書は、ビジュアル・ファシリテーションの理論や知識だけでなく、実践的な方法や事例も豊富に紹介しています。本書を読むだけでなく、実際にビジュアル・ファシリテーションを試してみることをオススメします。
本書は、ビジュアル・ファシリテーションの参考文献や資料も紹介しています。本書で紹介した内容について、さらに深く学びたい方は、参考文献や資料を読んでみることをオススメします。
目次
序文
時間がない/緊急性が高い/関係者が多様/対象が複雑な時はビジュアル・ファシリテーションを使う
魅力と効果を紹介する
本書の目的と対象読者を紹介する
本書の読み方と活用法を紹介する
第1章 ビジュアル・ファシリテーションとは
ビジュアル・ファシリテーションの定義とメリット
ビジュアル・ファシリテーションの歴史と背景
ビジュアル・ファシリテーションの種類と分類
第2章 ビジュアル・ファシリテーションを使おう
第3章 図解の基本スキル編
第4章 図解の応用編
第5章 ファシリテーションを学ぶ
第6章 脳科学やヒトの特性を理解する
第7章 理解することとわかりやすく伝えること
第8章 トラブルシューティングにおけるビジュアル・ファシリテーションの活用 *
システムに何らかの障害が発生している場合、その解決にはエキスパートがそれぞれの専門性を活かして対応する必要がある
エキスパート同士のコミュニケーションは難しい
それぞれのエキスパートが協業するためには、
ビジュアル・ファシリテーションは、事実の正確な把握と対応するための優先順位の明確化ができる
トラブルシューティングのプロセスとビジュアル・ファシリテーションの関係を理解する
トラブルシューティングにおけるビジュアル・ファシリテーションの具体的な手法を学ぶ
第9章 新商品や新サービスの企画におけるビジュアル・ファシリテーションの活用 *
新商品や新サービスは複数分野のエキスパートが協業するだけでなく、新規性ゆえに臨場感が湧かないという問題がある
ビジュアル・ファシリテーションは、潜在的なニーズの発掘や新たな価値の創造に役立つ
新商品や新サービスの企画のプロセスとビジュアル・ファシリテーションの関係を理解する
新商品や新サービスの企画におけるビジュアル・ファシリテーションの具体的な手法を学ぶ
第10章 イノベーションや新事業企画におけるビジュアル・ファシリテーションの活用 *
イノベーションや新事業企画はスポンサーは、関係性が薄い投資家だったり、旧事業の責任者だったりする
立場や視座が違う相手にビジネスの新規性や収益性を理解してもらう必要がある *
ビジュアル・ファシリテーションは、異なる概念の組み合わせや制約の中での創造的な解決策の発見に役立つ
イノベーションや新事業企画のプロセスとビジュアル・ファシリテーションの関係を理解する
イノベーションや新事業企画におけるビジュアル・ファシリテーションの具体的な手法を学ぶ
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