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持続可能な社会のために、「消費するだけではない」作品制作を![後篇]

映像制作現場で使われている「台本」。作品の完成後、役目を終えた台本はどのような道をたどるのでしょうか?
台本を中心としたアニメや実写の映画、ドラマなどの制作現場で使われる印刷物を専門に制作されている株式会社三交社のお二人に、お話を聞いてみました。
 ※所属・肩書は取材当時のものです。

【24時間営業!?台本印刷のスペシャリストたちに聞く![前篇]はこちら】


―作品制作が終わった後、台本や紙資料はどのように扱われるのでしょうか?

増きららさん(以下:増) 基本的には廃棄で、クライアントの制作会社から回収の依頼を受けます。かなりの機密情報を含みますので、弊社で断裁して廃棄します。
たまに記録用として残すこともありますが、本当に数冊ですので、基本的に全て廃棄になります。

―フリーランスも含めスタッフに配布されますが、所有権は制作会社にあるわけですよね?

山本麟太郎さん(以下:山本) そうですね。「貸与品なので使用が終わったら返却してください」という記載を入れることが多いです。通し番号を印字して、誰に何番を渡したか記録をすることが多いようですね。
俳優さんなどで記念に残しておきたいという方もいらっしゃいますし、「記念台本」といって残しておくために別途印刷することもあります。
稀に流出して転売されているようなものもあります。そういったことを防止するために、ナンバリングを特殊な方法にしてほしいというような要望があったりもしますので、弊社では流出対策を施した台本を製造することもできます。

―歴史的価値もあり、記念に残しておきたいけれど、保管場所にも限界があるし、情報流出の懸念もあるわけですね。

山本 残念ながら、結局は溶解してドロドロの紙にするしかない、という感じですね。毎日新しく生まれる印刷物が、制作期間の1~2年を経て戻ってきて、僕たちが最期を「看取る」という感覚です。

株式会社三交社の協力により制作する「Archivist 台本風ノート」(左)と「Archivist B6ノート」(右)

―このたび、「捨てたくない! でも残しておけない! アニメ制作で使われた紙をもう一度使いたい!」という企画で、ノートの製造でご協力いただきます。この企画に対する印象をお聞かせください。

 アニメや映画、舞台やドラマなど、エンタメ好きの方にアイテムを手に取っていただきたいですし、私自身もエンタメが好きでこの仕事しているので、バリュープラスさんからこのプロジェクトをお伺いした時に、「私も欲しい!」「すごく楽しそう!」と思いました。
今まで紙資料は、作品の完成後には廃棄以外に行き先がなかったので、私たちとしては悲しい現実なんです。新しい形に生まれ変わる道ができるのは嬉しいなと思います。

山本 もちろん作品のために良質な印刷物を作る仕事として誇りを持っておりますが、僕たちが作っているのは「芸術作品」でもないし、言ってしまえば「消費されるもの」を作っているという感覚はあります。作品が完成するまでの過程でどうしても資源のロスが出てしまうのは仕方がないことだと思います。
ただ、「こういう道もあるのではないか」というご提案をいただいて思ったのは、作り手側にも愛着が湧くような、仕事の幅が広がったような感覚を味わえるすごく良いプロジェクトだなと。
持続可能な社会のために、「消費するだけではない」作品制作が進んでいけばいいなと思っております。

―ありがとうございました!引き続きご協力よろしくお願いいたします。


「捨てたくない! でも残しておけない! アニメ制作で使われた紙をもう一度使いたい!」
Makuakeにてプロジェクト実施!

運営:株式会社バリュープラス
実施期間:2024年8月21日(水)11:05 ~ 2024年11月17日(日)22:00 
目標金額: 500,000円

■バリュープラスアーカイヴプロジェクト公式SNS

X公式:https://x.com/vp_archive
Instagram公式:https://www.instagram.com/archivist_vp/
note公式: https://note.com/vp_archive/
YouTube公式:https://www.youtube.com/@vp_archive

※プロジェクトの詳細は、SNS公式アカウントにて更新していきます。

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