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タカハシヒョウリさんに聞く、若い世代にピープロ特撮を観てほしい理由

こんにちは、バリュープラス アーカイヴ プロジェクトです。


タカハシヒョウリさんに、クラウドファンディングのリターンアイテム、Tシャツとトートバッグを着用していただきました。

今回はミュージシャンのタカハシヒョウリさんをお招きし、ピープロ作品のフィルムを実際にご覧になっていただき、さらに当プロジェクトのリターン品を実際に試着していただきました。

当記事ではリターン品を身につけたタカハシさんの写真を紹介しつつ、撮影時に収録したタカハシさんのインタビューを公開いたします。
タカハシさんは、特撮作品の音楽を表現するロックバンド「科楽特奏隊」のメンバーとして活動し、さらに文筆家としても多くの媒体で活躍中。ご自身の特撮への愛を様々な形で表現されています。

ピープロ特撮のフィルムを前に、興奮と共にその魅力を熱く語っていただきました。


──本日ピープロ特撮作品の写真のフィルムをご覧になって、タカハシさんの率直な感想をお聞かせください。

タカハシ 中身を見る前に、まず量にめちゃめちゃ驚きました。この(フィルムを保管していた)箱の数ですが、事前に想像していたのは「3、4箱ぐらいある感じなのかな」と。それが10箱以上あって、しかもそれぞれの中にぎっしりとフィルムが詰まっている。「これ、どれだけの数の写真が埋もれていたんだろう?」と、お宝を発見したワクワク感がすごくありましたね。

クラウドファンディングでデジタル化を目指すフィルムを見るタカハシヒョウリさん

──箱を開けてみて、『快傑ライオン丸』をはじめとするキャラクターたちの写真を目にした時の印象はいかがでしたか?

タカハシ 僕自身も特撮が好きなんですけど、ピープロ作品の全てを網羅して観ている訳では無いんです。僕のように「全部は観たことないな」「ピープロ、作品名は知っているんだけど、じっくり映像を観たことは無いな」という人も多いんじゃないかと思います。

 あのですね、本ッ当にイイですよ! 特に敵が!!
どのキャラクターもデザインがめちゃめちゃ最高なんですよ。みんなも「敵の怪人」と聞くと『仮面ライダー』やスーパー戦隊の怪人がまず思い浮かぶと思うんですが、ピープロ作品の敵たちも素晴らしいですね。僕の中ではメキシコの悪役レスラーのような雰囲気を醸し出しているように感じられて、愛せちゃうんですよ。フィルムが入ったパレットをめくるたびに、すごく愛おしい感じの怪人がたくさん出てきて、そこがキャラクターとしてすごくキャッチ―だなと思いました。

『快傑ライオン丸』より。
第48話に登場する怪人マフィアン。ゴースン八人衆の一人で、病気で弱った身体を押してライオン丸に挑む。娘のように可愛がっている加代からは「おじさま」と呼ばれ、巧みな作戦で獅子丸たちを追い詰める名キャラクター。

──本番のアクション中と思しき写真も多くあって、魅力あるキャラクターが躍動している様子が活き活きと捉えられていますよね。

タカハシ これらの写真を撮影していた雑誌である「冒険王」さんが、ピープロ作品にすごく力を入れていたんだろうなということがわかるんですよね。明らかに本番撮影時の、例えば空中でのアクションであるとか、吊った状態の写真であるとか、あとは爆発もそうですよね。
いわゆる特写の、雑誌媒体向けに撮った写真ではないんだろうなっていうカットがすごく多くて。こういう写真ってなかなか見られない。まさに撮影の本番をやっている緊迫感に満ちたカットが見られるのは、今回発掘された写真ならではの面白さだと思います。

『風雲ライオン丸』より。
『風雲』のライオン丸は、必殺技「ライオン風返し」によって斬り倒した怪人を爆発させ、戦いに決着をつける。このカットもおそらくその爆発を見事に捉えた一枚で、刀の反射もまたたまらない。

──昭和期の特撮作品を写した写真というとモノクロのものも多いですが、今回は全てカラーのポジフィルムによる写真です。この「カラー」という点はどう感じられましたか?

タカハシ この時代は「如何にテレビの前の子どもたちを惹きつけるか」が最重要だったわけですよね。今回発掘されたのは1972~75年の第2次特撮ブームの頃の作品で、当時はまさに変身ヒーローブームが到来していた時代だと思います。そんな時代に、テレビの前の子どもたちを如何にそのチャンネルに釘付けにするかっていう、ギラギラしたものがピープロ怪人たちの極彩色感に出ている。ヒーローたちもそうで、タイガーセブンなんかも赤と青のすごい色使いじゃないですか。現在の目線でいうと、レトロやサブカルチャー的な文脈が感じられる色味が魅力で、そこはカラーの写真だからこそ楽しめることですね。

──先ほどタカハシさんにはリターン品のグッズも身につけていただきました。このリターン品に対しては、どのような印象を持たれましたか?

タカハシ ぶっちゃけ、特撮とファッションってこの世で一番相性が悪いと思うんですよ(笑)。僕もアパレルの企画に色々と参加させてもらっていますが、「特撮を如何にファッションに落とし込むか」って、みんなすごく苦心していることだと思うんです。
 でも今回上手くいっていると感じられるのは、「冒険王」のロゴとピープロのロゴを前面に押し出したこと。このロゴが、レトロですごく可愛いんですよね。Tシャツでは胸元にそれが置かれていて、これはよく考えましたね。キャラクターの写真がバックプリントで前の方はロゴだけっていうのは、大人でも着やすくて良いデザインだと思いました。

──2人のライオン丸、タイガーセブン、ザボーガーと4人のヒーローが収まった写真の部分はいかがでしょうか?

タカハシ 先ほど怪人の魅力を言いましたけど、ピープロ作品ってやっぱりヒーローもすごく特徴的で、特にザボーガーなんかは人気があると思いますが、その4人が一堂に会しているわけですよね。今年は『風雲ライオン丸』が放送50周年ということもありますし、そういう意味でもすごく感動的なものになっている。
 あとは写真を入れるフォトアルバムが良いですね。ちょうどできたばかりとのことですけど、これめっちゃ良いでしょ。表紙にロゴが一発っていうシンプルさと、広げたら中に写真をブロマイドとして入れられる。16枚入って、しかも立てて飾ることができる。高級感もあって、実物をパッと見た瞬間から良いなと思いました。
「冒険王」って色々な作品が載っていたわけなので、必ずしもピープロ作品じゃなくても、自分の好きな作品の写真も入れることができるし、これは汎用性の高い良いグッズだなと。もう普通に売ってほしいですけど(笑)、これは是非リターン品でゲットしてほしいなと思います。


──今回のプロジェクトが成立したら、そうした二次的な発展もあるかと思います。

タカハシ 本当にそうですよね。ピープロ作品には熱狂的なファンの方々がいますけど、若い世代にとっては、なかなか接する機会が無い作品なんじゃないかと思うんです。特撮黄金期の時代のエネルギーが満ちている作品なんだということが、このフィルムからも伝わってくるので、是非興味を持ってほしい。このクラウドファンディングも、作品に興味を持つきっかけになったら良いなと思います。

──タカハシさん自身も全作品を観られているわけではないとのことですが、観たことが無い作品の写真でも面白く感じられる理由は何だと思われますか?

タカハシ 僕なんかは特撮の新作が無い時代に幼少期を過ごした、リアルタイムの特撮が無かった世代なんですよね。ウルトラマンの怪獣もまず図鑑で見るもので、『ウルトラマンレオ』(74年)に登場するアクマニヤ星人は図鑑に載っている写真を見て、「目に角が刺さっているのが通常の状態だ」とずっと思っていた。ところが後年になって映像を観てみたら「あ、これって最初は刺さってなかったんだ!」っていう(笑)。
そうやって図鑑で知る怪獣や怪人っていうのが僕らにとって一番親しみのあるものなんです。たとえば『鉄人タイガーセブン』を僕はまだ観られていないので、これから観ていきたい作品なんですが、図鑑で『タイガーセブン』の敵怪人を見るとシンプルで超最高なんですよね。『風雲ライオン丸』に銃を使う怪人がいて、そいつの名前が「ガン」っていうのとかも最高ですね。もちろんものすごく詳しいマニアな方もいらっしゃると思いますが、これから知っていく世代の人にとっても色々な楽しみ方があって良いんじゃないかな。僕はそう思います。

──最後に、このプロジェクトに協力いただくみなさんに向けて、タカハシさんからメッセージをお願いいたします。

タカハシ 僕は「ピープロ作品だから」ということだけじゃなくて、デジタルアーカイブというものもすごく応援したい。たくさんの埋もれている資料を、これから先も自分自身が見たいんですよね。それらが消えていかないように保存していくことも、ファンとして「そういう世界であってほしい」と思う。
このプロジェクトも、今回だけの話じゃないと思うんですよね。これが成立して、他社でも「あ、これならウチでもやれるかも」ってなったら、個人的にはファンとしてすごく嬉しいな。賛同いただける方は、是非ご協力をいただけたらと思います。よろしくお願いいたします!

聞き手・構成:馬場裕也


クラウドファンディング
「『ライオン丸』『タイガーセブン』『ザボーガー』昭和特撮フィルムを後世に残したい!」
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