『パノラマ島奇談』の元ネタについて
澁澤龍彦は、「江戸川乱歩作品のなかで、おそらく最も人口に膾炙しているのが『パノラマ島奇談』ではなかろうか。』と述べている。
乱歩ファンの自分としては、「いや、『押絵と旅する男』だろ」とか「他にも色々あるじゃん」と思ってしまう。
それはさておき、この『パノラマ島奇談』は色々な作品の影響を受け、執筆されたことは有名だと思う。
まず、谷崎潤一郎の『金色の死』はその構成や描写などがほぼ同じと言っていいほど似ている。
『金色の死』について乱歩は次のように述べている。「私はこの小説がポーの『アルンハイムの地所』や『ランドアの屋敷』の着想に酷似していることをすぐに気づき、ああ日本にもこういう作家がいたのか、これなら日本の小説だって好きになれるぞと、殆んど狂喜したのであった。」(『探偵小説四十年』)
つまり、乱歩は谷崎の著作に触れ、自身の作品の元ネタの元ネタに気がついたようである。
さて、本題に入る。ここで私が気になったのは、乱歩が述べているポーの『アルンハイムの地所』と『ランドアの屋敷』は現在入手することができるのか、という点である。
話が前後するが、潤一郎の『金色の死』に関しては、講談社文芸文庫から出版されているので、簡単に入手可能である。未読の方は是非手にとって欲しい。(文庫だが税別¥1300…)
創元推理文庫の「ポオ小説全集4」に『アルンハイムの地所』は収録されているのは確認できた。しかし『ランドアの屋敷』に関しては全集すべてを見通しても同じタイトルのものを見つけることができなかった。
「ポオ小説全集4」に『ランダーの別荘』という作品がある。それではないかと推測し、ググってみたがなかなか、そのものずばりの答えは見つけられなかった。
そこで、「レファレンス協同データベース」で『ランダーの別荘』と検索してみたところ、似た質問というか答えが出てきたので、下に貼ろうと思う。
ここでは、「『庭園』『ランダーの屋敷』は、どちらも上記『ポオ全集 2』に所収されております(ただし『ランダーの屋敷』は『ランダーの別荘』というタイトルになっています)。」とある。
なるほど、やはり推測通りか、、、と思ったが、この疑問に対する回答プロセスの記載がないため、なんだかモヤモヤする…
そこで近隣の図書館のレファレンスを利用しようと考えた。が、妙なウィルスのおかげでレファレンスサービスは休止しているということだった。
サービスの再開を待ち、是非ともこのモヤモヤを晴らしたいと感じている。
(ただ、実はレファレンスサービスを利用したことがないので、ドキドキしている。)