【調査結果】消費者はオンラインメディアをどの程度信頼しているのか?
I. オンライン “マス” メディア信頼度調査
広告投資プランニング専門のプランニングファームであるVOSTOK NINEでは「各メディアが提供する情報がどれだけ信頼されているのか?」という調査(手法はオンライン調査)をなんやかんやで数ヶ月に1回行っています。私達は広告投資プランニングにおいて単にリーチが取れる広告面を選ぶだけでなく「消費者がどういった気持ちの中で広告に接触するか」をとても重視していて、訴求したいメッセージやキャンペーン内容にもよりますが、各プランナーが「今回のメッセージはターゲットがより信頼している情報源から発信を行った方が良さそうだ」と判断した場合、都度自主的に調査を行っていました。 こういったメディアへの信頼度調査は「テレビ」「デジタル(オンライン)」といった大きな括りでは各社が実施していますが各オンラインメディア別となると調査事例は少ないと思います。これらの調査は契約代理店やクライアントに "調査費用を請求する事のない" 完全自主調査であった事もあり費用節約の為に "各キャンペーン毎に必要とされるターゲットにのみ” 調査をかけていました。その為(私達のクライアントにとっては有益な定量データであったと信じていますが)汎用性の欠片も無いデータが粛々と蓄積されていました。
これでは流石に(主にお金が)もったいないな…と思い、今年から半年に1度、弊社が調査可能な全ての性年代に対し、一括して調査を行う事にしました。 広告業界では少数派かもしれませんが、VOSTOK NINEには ”ノウハウや知見を独占しよう” という考えが一切ありません。私達のビジョンである「広告を、もっと社会に役立つ存在へ。」の通り、私達は広告投資プランニングに関わる全てのプランナーと一緒に成長し広告を今よりもっとワクワクする存在にする事を目指しています。今回の調査結果も皆で広告を考えていくキッカケの一つになればと思い調査結果全項目を公表させて頂きます。
●調査対象メディア選定について
リーチが限定的なメディア(ユニークでコアなファンを多く持つ事が多い)も調査したかったのですが、
・私達のプランニング業務において汎用性がやや少ない事
・利用者数が少ない = 調査対象者数を増やす必要があり私達のお財布容量の面から継続的に行うのが困難な事
それらの理由から「単一メディアで概ね全年代に対してリーチが2〜3%以上は獲得出来るであろうオンラインメディア」かつ「(一般的な手法で)広告出稿が可能」なオンラインメディアを46メディア選定し調査しました。 なお、Google及びYahoo! Japan関連のポータルメディアについてはGoogle discoverやYahoo!ニュースに代表されるように”ネットへの一般的な入口となる検索行動より更に前に接触可能なメディア”であり情報閲覧に対し能動性・受動性が混在している為、他メディアとやや性質が異なると考え調査対象外としています。
●データの解釈について
ほぼ全てのメディアが「自社がターゲットとするこだわりの読者層」に向けて情報を発信しています。今回公表しているデータは「各メディアを利用した事がある15歳〜59歳全体の平均値」となりますので、特徴的でユニークな情報を特定の狭いターゲットに対して発信しているメディア程、調査結果の信頼性が低い(例 : 信頼度が低く出てしまう可能性等)傾向となります。
※偶然そのメディアの情報に接触しても興味が無い人からすれば信頼出来るか出来ないかの判断すら困難な為
その為、単にこのデータのみで ”◯◯は信頼性の少ないメディアなのだ” という判断は「完全な誤り」となりますのでくれぐれもご留意下さい。
●調査結果の集計条件
・今回は「調査対象メディア利用者」に絞り込んだ集計結果を掲載しています。非利用者も含めてしまうと単に「利用者が多いメディアが信頼度も相対的に大きい」という結果になりますのでそのような集計条件としました。
・比較サイト(ホットペッパービューティ・価格.com・@cosme)についてはアンケートは取得してますがメディアの性質上、利用傾向に性別差が大きい為、今回のサマリーからは除外しています。
・調査対象者は15歳以上となりますので「10歳代」と表記があるものは「15歳〜19歳」の結果となります。
II. 調査結果 - 調査対象メディア利用者全体 -
調査対象メディア全体の平均を見ると「信頼出来る + 半々くらい」を合わせると79.1%、「信頼出来ない」が20.9%となっており、大多数の利用者が情報源として一定の信頼を持って利用している事が分かります。
III. 調査結果 - 性別・年代別 -
性別・年代別に見ると男女共に若年層において各オンラインメディアに対して一定の信頼感を持って接している事が分かります。又、こういったサイトを活用している層に限って言えば、50歳以上の層も20代〜40代と変わらずオンラインメディアに同等の信頼感を持って利用している事が分かります。 勿論、実際のオンラインメディア利用率は世代によって異なりますのでオンライン広告は上の世代程 “届きにくい”という傾向は他の各種調査からも明らかと思います。
IV. 調査結果 - メディア別信頼度(カテゴリー毎) -
■動画・音楽メディア
TVer及びradikoといった民放系メディアへの信頼性が高い傾向にあります。Youtubeに代表されるユーザー投稿型メディアに比べるとコンテンツ数は少ないものの、これらの民放系メディアは情報の信憑性がある程度担保されているコンテンツが多い傾向にあり、そのような側面も評価に繋がった可能性が考えられます。
■SNS
主要SNSにおいて高い信頼性を獲得しているメディアはInstagramが頭一つ抜けている状態です。その他SNSメディアはほぼ横並びの結果となりました。
ただSNSについてはメディアの特性上、年代によって大きく利用傾向が異なる為、後半で性年代別に少し深掘りさせて頂きます。
■ニュース(キュレーション)メディア
ニュース(キュレーション)メディアにおいてはSmartNews及びLINE NEWSへの信頼性が高い傾向が見えています。
■新聞・雑誌系サイト
カテゴリー全体が高い信頼性を獲得している傾向にありますが、特に日本経済新聞 電子版が頭一つ抜け出る形となっています。
■レシピサイト
差は僅かではありますが、ユーザー投稿型レシピサイトであるCookpadが最も信頼性を獲得している結果となりました。「動画・音楽」カテゴリーとは反対にレシピ系サイトではUGC(User generated contents)が信頼性の面で評価された形となります。
■スポーツ(TOP2)
スポーツサイトは2メディアのみの調査となります。調査対象メディアにおいて信頼性に大きな差はない結果となりました。
■グルメサイト
グルメサイトは口コミを中心としたサイトより、飲食店情報・予約機能に焦点をあてたホットペッパーグルメ、ぐるなびへの信頼度が高い傾向にあります。
■番外編 : マンガアプリ
今回のみ「主要漫画アプリ」についても調査しました。
漫画アプリへの信頼性は少年ジャンプ+が頭ひとつ抜ける結果となりました。
V. 調査結果 - カテゴリー別信頼度(年代別) -
今回調査した各カテゴリーにおいて世代間の違いが比較的明確に出ているのが「動画・音楽」「SNS」「新聞・雑誌系」及び「漫画アプリ」でした。
VI. 調査結果 - 主要SNS詳細 -
●性別
Threads (an Instagram app)を除き、男性に比べ女性の方が各SNSに対して信頼感を持って利用している傾向があります。
●年代別
概ね若年層においてSNSに対して信頼感を持って利用している傾向にありますが、Facebookは世代間での信頼度の偏りが少ない傾向にあります。
●番外編 : Threads (an Instagram app)・性及び年代別
2023年7月6日にローンチしたばかりのThreads (an Instagram app)は、現状では30歳代を除き男性が信頼感を持って利用している傾向にあります。ユーザーをInstagramと共有するThreadsですが、メディアへの信頼感はInstagramと男女逆の結果となっています。
VII.最後に
今回は「オンラインマスメディア信頼度調査」の結果をお届けしました。広告投資設計を行う際、まずは「期待するターゲットにリーチ出来る広告面」を選んでいく事になると思います。一般的にリーチマックスと呼ばれる考え方です。私達も基本的にはその考え方です。ただオンライン広告は広告在庫がオフライン広告とは比較にならない程多く、結果として多種多様な「広告メッセージ」が消費者に襲いかかる環境になっています。そういった環境の中でもしっかりと印象に残る広告を行うには、クリエイティブに強烈なアイデアがある事は当然として私達メディア領域のプランナーも「今回のアイデアが "より浸透しやすい広告面" はどこなのか?」とリーチマックスから一歩踏み込んだ広告投資設計を行う必要があると感じています。その踏み込み方は広告主や商品やメッセージやアイデア、それらに応じて無限に存在します。その切り口の一つとして今回は “信頼度” という切り口をご紹介させて頂きました。
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引用元が「VOSTOK NINE オンラインマスメディア信頼度調査 2023年8月」である旨のご記載をお願いいたします。