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【調査結果】購入のキッカケになるオンラインメディア
I. 購入のキッカケとなるオンラインメディア調査
VOSTOK NINEでは「オンラインメディア信頼度調査」(手法はオンライン調査)を定期的に行っていますが、「消費者はオンラインメディアへの接触によりどの程度、商品・サービスの購入・利用意向が促されているのか?」も定期的に調査しています。
この10年、特にOMO(Online Merges with Offline)の発展により広告接触から購入まで一気通貫したトラッキングが可能になりました。可視化出来るようになったが故に広告展開のゴールが「購入意向」や「購入」に設定される事も増えています。
消費者のメディア接触傾向やメディア関与は複雑化していますので、当然ながら「購入のキッカケになるメディアに出稿すればバンバン売れる」という単純な話では無く、同時にブランド認知や理解を深めたり、購入へのモチベーションを上げる “様々な仕掛け” を組み合わせながら実際のプランニングは行っていく必要があります。とはいえ広告投資先を選定する上で参考値はいくらあっても困らない思いますのでぜひこの調査結果も ”一つの視点” として活用して頂けると幸いです。
「購入・利用のきっかけとなるオンラインメディアに関するアンケート」調査概要
●質問内容 : 下記のオンラインメディアで提供される情報を見てどの程度、商品やサービスを欲しくなったり利用したくなった事があるか教えて下さい。
●調査対象メディア :
YouTube / LINE NEWS / Instagram / Facebook / X(Twitter) / Cookpad / 食べログ / クラシル / TikTok / SmartNews / Pixiv / ぐるなび / Spotify / DELISH KITCHEN / radiko / アメーバブログ / ニコニコ動画 / Pinterest / Netflix / TVer / Sportsnavi / 日本経済新聞 電子版 / ABEMA(TV) / 朝日新聞デジタル / ホットペッパーグルメ / 文春オンライン / 読売新聞オンライン / DAZN / 楽天レシピ / 東洋経済オンライン / Retty / Gunosy(グノシー) / Itmedia / Newspicks / LinkedIn / 楽天ブログ / CNET Japan / ライブドアブログ / ハフポスト / 毎日新聞 / ロケットニュース24 / ねとらぼ / 産経ニュース / GIZMODE(ギズモード) / ママスタ / キナリノ / TRILL(トリル)
●回答項目(SA) :
よく欲しく(利用したく)なる / 時々欲しく(利用したく)なる / あまり欲しく(利用したく)なった事はない / 欲しく(利用したく)なった事はない / このメディアを使わない
●有効回答者数 : n = 3,519(全年代)
●調査対象年代 : 15歳〜64歳(今回のレポートでは20歳〜64歳のみ抽出)
●エリア : 全国
●調査日 : 2024年1月13日〜15日
●調査手法 : オンライン調査
●調査機関 : Freeasy
調査対象メディア選定について
今回の調査は「購入」というLower funnelの調査になりますので、ある程度リーチが獲得出来るメディアでないと有効なn数が集まらない可能性が高く信頼度調査と同様に「単一メディアで概ね全年代に対してリーチが2〜3%以上は獲得出来るであろうオンラインメディア」かつ「(一般的な手法で)広告出稿が可能」なオンラインメディアを47メディア選定し調査しました。
なお、Google及びYahoo! Japan関連のポータルメディアについてはGoogle discoverやYahoo!ニュースに代表されるように”ネットへの一般的な入口となる検索行動より更に前に接触可能なメディア”であり情報閲覧に対し能動性・受動性が混在している為、他メディアとやや性質が異なると考え調査対象外としています。
データの解釈について
当然の事ながらメディアはそれぞれに特徴があり、全てのメディアが読者に「買いたい!」と思わせる事を目的に運営されているとは限りません。むしろそういったメディアは少数派ではないでしょうか。今回はメディア特性は考慮せず広く調査をかけておりますので、この数値をもって各メディアの優劣を判断出来るものではありませんのでご注意下さい。
調査結果の集計条件
・今回は「調査対象メディア利用者」に絞り込んだ集計結果を掲載しています。非利用者も含めてしまうと単に「利用者が多いメディアが購入意向度も相対的に大きい」という結果になりますのでそのような集計条件としました。
・調査対象者は15歳以上となっておりますが弊社では「18歳未満の子ども」を「直接ターゲットとし」かつ「購入意向を高めようとする」プランニングは広告設計において特に繊細な配慮が必要であると考えています。ゆえに弊社のポリシーに反するデータ利用を避ける為、今回のレポートからは10歳代の調査結果を外し「20歳以上」を集計の対象としております。
各メディア利用者の中で、” あまり欲しく(利用したく)なった事はない / 欲しく(利用したく)なった事はない ”と答えた方を「欲しくならない」としてまとめております。
又、” よく欲しく(利用したく)なる / 時々欲しく(利用したく)なる “と答えた方を「購入意向が高まった層」と捉えてコメントは記載させて頂きました。
II. 調査結果 - 調査対象メディア利用者全体(性別) -
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調査対象メディア全体の男女別平均を見ると「より欲しくなる+時々欲しくなる」が合わせて30%強となっており、これらのメディア接触を通じて男女問わず約3割の消費者が何かしら購入(利用)意欲を高めていると考えられます。
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III. 調査結果 - 調査対象メディア利用者全体(性別・年代別) -
年代別に見ると若年層になる程、より購入(利用)意欲を喚起されている事が分かります。全世代に渡って男性に比べ女性の方がスコアが高くなっている事も特徴です。
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IV. 調査結果 - メディア別 購入意向度(カテゴリー毎)
■動画・音楽メディア
Youtubeが頭ひとつ抜けている状態です。他のメディアに比べても商品レビューコンテンツが圧倒的に多く購入意欲を喚起されやすいといった側面も大きく影響していると考えられます。続くNetflix、Spotify及びTVerは信頼度調査でも上位の結果となっており信頼性の高い情報が購入(利用)意向を押し上げる一つの要因になっている可能性があります。
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■SNS
主要SNSにおいてInstagram、TikTok、X(Twitter)が消費者の購入(利用)意向を押し上げている事が分かります。Instrgramは情報の信頼性においても高いスコアを獲得しています。 ただSNSについてはメディアの特性上、年代によって大きく利用傾向が異なる為、後半で性年代別に少し深掘りさせて頂きます。
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■ニュース(キュレーション)メディア
ニュース(キュレーション)メディアにおいてはSmartNewsが消費者の購入(利用)意向を押し上げている事が分かります。SmartNewsはメディアの信頼性においても高いスコアを獲得しています。
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■新聞・雑誌系サイト
「よく欲しく(利用したく)なる」と答えた割合は、新聞・雑誌系全体に加えニュース(キュレーション)メディアも含めた全体の中でも日本経済新聞が最も高いスコアを獲得しました。
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■カルチャー・ライフスタイル
メディア間の差は少なく、ほぼ横並びの結果となっています。
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■レシピサイト
メディア間の差は少なくほぼ横並びの結果ですが、クラシルが最も購入(利用)意向を押し上げる結果となりました。
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■スポーツ(TOP2)
スポーツサイトは2メディアのみの調査となります。調査対象メディアにおいて大きな差はない結果となりました。
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■グルメサイト
信頼性調査の結果では飲食店情報・予約機能に焦点をあてたホットペッパーグルメ、ぐるなびへの信頼度が高い傾向にありましたが、口コミをコンテンツの中心とする食べログが最も購入(利用)意向を押し上げる結果となりました。
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V. 調査結果 - 主要カテゴリー別 購入意向度(年代別)
今回調査した各カテゴリーにおいて世代間の差が顕著に出ているのが「動画・音楽」「SNS」となっています。又、60歳以上の層は特に「SNS」「カルチャー・ライフスタイル」「スポーツ」メディアからは購入意向が喚起されづらい傾向にあります。
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VI. 調査結果 - 主要SNS詳細 -
■性別
Facebookを除き、男性に比べ女性の方がSNSを通じて購入(利用)意欲が高まっている傾向が見えます。特にInstagramにおいては半数以上の女性が「購入(利用)意欲が高まった事がある」と答えています。
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■年代別
20歳〜39歳の約半数がInstagram、X(Twitter)、Tiktokのいずれかで「購入(利用)意欲が高まった事がある」と答えています。
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VII. 考察 - オンラインメディアの信頼度と購入意向度の関係は? -
信頼度調査の結果と今回の購入意欲に関する調査結果を見比べると「もしかして、購入意欲と関係(相関)があるのでは?」と思われた方も多いと思います。各メディアの利用率(※)から「信頼出来る」と答えた消費者の割合と「欲しくなる(よく欲しくなる+時々欲しくなる)」と答えた消費者の割合それぞれを簡易的に算出して下記のようにプロットしました。回答者のデモグラフィック属性はMF20-64で揃えてあります。
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見るからに相関している気配が漂っておりますが、信頼度と購入意向の間には相関関係(相関係数 : 0.96)が見られるという結果になりました。消費者の購入意向を高める因子はこれ以外にも数多くあると思いますが「メディアの信頼度」もその要因の⼀つであることは確かなようです。
※各メディアの利用率はVOSTOK NINE オンラインマスメディア信頼度調査(2023年8月10日)時に取得した利用率を使用。
VIII.最後に
今回は「購入のキッカケとなるオンラインマスメディア調査」の結果をお届けしました。先にもお伝えしたように単に” 今回のスコアが高いメディアに出稿するだけでバカ売れ“という事はまず無いと思いますが、広告キャンペーンの目的によってはプランニングの際に使える指標の一つになるのではないかと思います。又、メディアそのものへの信頼度が購入意向にも何かしら影響している可能性も見えてきました。デジタル広告はどうしても表面上の運用パフォーマンスに視線が行きがちです。ですがこういった定性的な視点も加えるとプランニングの幅が広がると思いますし、各キャンペーンの中でデジタル広告が担う役割もググッと広がっていくんじゃないかなと思っています。
※本記事の内容を引用される際は、以下のご対応をお願いいたします。
引用元に「オンラインマスメディア購入意向度調査」(2024年1月 VOSTOK NINE調べ」である旨のご記載をお願いいたします。
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株式会社VOSTOK NINE
VOSTOK NINEは2023年現在、国内で唯一(※)の「広告(6媒体)メディアプランニング」に特化した会社です。所属する全員が一定(目安10年以上)の経験を持ったメディアプランナーのみ、という一風変わった組織です。広告が社会にとってより役に立つ存在になる未来を目指し2022年1月にメディアプランナーである三宅と江口の2名で立ち上げました。メディアプランニングに関する知見はブラックボックスになりがちですが私達は” 可能な限り広く共有されるべきである “という「メディアプランニングの民主化」を掲げて活動しています。その為、これからも様々な考察や自主調査データをnoteで公開していきたいと思っています。詳細はこちら。
※VOSTOK NINE調べ