大学生が街中でフェスを作ってみた【くにたち若者オンガクサイができるまで】
フェスがやりたい。
Google Driveにそんな名前のフォルダを作ったのは半年くらい前のこと。
音楽フェスというものが好きで、普段からお金と時間さえあれば音楽フェスに行きまくっている私は、遊びに行くだけでは飽き足らず、いつかフェスを自分で作ってみたい。そう思うようになっていました。
でも、国内には今400以上のたくさんのフェスがあって、わざわざ自分が作らなくても、毎週末フェスにいけるような現状がある。
その中で自分がわざわざフェスを作る意味はなんだろうか?
“自分がやることに意味がある”
そんなフェスを作りたいと思った時、自分が開催したいと思うようなフェスのコンセプト、会場となる場所、一緒に創る仲間、そういったものが自然と頭に浮かんできました。
なぜ国立だったのか?
国立は元々は地元でもなんでもなく、自分とは縁がない場所でした。
国立に通うようになったのは大学に入学してからのことで、春になると大学通りが桜で彩られたり、街の通りから突然富士山が見えたり、東京だけど良い意味で東京っぽくない、国立の落ち着いた雰囲気がとても好きでした。
とはいえ、あくまで国立は”平日に学校に通うだけの場所”であり、まちへの愛着は今ほど強くは無かったです。
転機となったのは大学2年生の春。
ひょんなことから、大学の近くにあるスナックで、オープニングスタッフとして働き始めることになりました。
そこは学生から社会人まで、幅広い年代の方が訪れ、はじめましての人も次第に仲良くなっていく不思議でカオスな空間。
スナックで働きながら地域の方々とお話する中で、「あそこのお店はこの人がやっているんだ」「地域でこんな面白い取り組みをしてる人がいるんだ」というような学びを得ることができ、徐々にまちへの解像度が高まっていった気がします。
まちにいる人を知ると、行きたくなるお店が増え、そこでまた新しい人と出会い、居場所ができる。そんなことを繰り返している内に、どんどん国立への愛着が深まっていきました。
そんな中で気が付いたことの1つに、国立は若者が活躍するための土壌が育まれている、ということがあります。
これはくにたち若者オンガクサイのコンセプトにも書いたのですが、国立市というエリアが市としてはさほど大きくないということもあってか、地域で活躍されている方々同士の関係性がとても近く、繋がりが強いように思います。
「○○をやってみたいんです」と話すと、「そしたら○○さんに相談するのが良いかもね」「○○という良い場所があるよ」といったように、若者の取り組みを実現可能にするための繋がりの手助けをしてくださる文化があるようにも感じました。
その一方で、大学1年生の時の私のように、国立で遊んだり飲んだりする機会はあまり多くないし、国立の授業がない休日に国立を訪れたことがない、という学生も少なくありません。
また、国立駅の反対側にあり、大学通りを結ぶ谷保エリアまでは中々足を運ぶことがない学生も多く、谷保のスナック水中で働いていた私からすると、もっと谷保エリアの魅力も知ってもらいたい!と思ったりしていました。
(スナック水中を経営する坂根さんにインタビューした際の、「一番近い社会」という言葉に、私が国立を学生にもっと知ってほしい理由が詰まっている気がします↑)
そんな背景から生まれたのが、"くにたち若者オンガクサイ"のコンセプトです⇓
地域と若者を繋げるイベント、これがくにたち若者オンガクサイの裏(?)テーマでした。
これだけだと、「じゃあ別にフェスじゃなくても良くない?」と思われそうですが、他の誰でもない、”自分がやる意味”を考えた時に、”音楽と、イベントごとが好き”というこの二つの要素は欠かせませんでした。
なにも「フェスは音楽を聴くためだけのものではない」、
(もちろん音楽も大好きで、それは欠かせない要素だけれども!!)
これは私自身が様々なフェスに行って感じたことでもあります。
企画から形になるまで
「くにたち若者オンガクサイ」は私1人で作ったものではありません。
一緒に創ってくれるメンバーを探しながら、たくさんの方に支えていただきながら、見守っていただきながら、当日を迎えました。
10月:くにたち若者カイギ
国立市で地域や社会の将来を担う20代を初めとした若者のための交流会を共同主催。以前からぼんやりと考えていた「国立で音楽フェスを開催したい」という思いを初めて言葉にしたことで、縁を繋げていただいたり、企画書を作ったり、色々急展開。
11月~2月:企画
各所に相談しながら、企画書を見せては作り直しの繰り返し
3月:本格的に動き出し
イベントの概要が決まり、会場・出演者・運営メンバー集めなど、いよいよ本格的に動き出し
4月:会場確定(かなりギリギリ…!)
フライヤーも出来上がり広報開始、対面での運営メンバー交流会兼打合せ①も開催
5月:最終調整
対面での運営メンバー交流会兼打合せ②の開催
5月6日(月・祝)本番!!
こんな感じで、本格的に開催に向けて動き出したのは開催の1カ月前と、実はかなり怒涛のスケジュールでした。
地域の若者同士を繋ぐということも裏ミッションとしていたので、企画を詰めていくうえで、運営メンバー同士ができるだけ対面で話せる場を作ることを心がけていました。
そんなこんなで、なんとか実現した本番当日は、私自身めちゃめちゃ楽しかったです。
一緒にイベントを創ってくれる仲間がいたことがとても心強く、良い意味で当日は自分が主催しているという感覚があまり無かったのがなんだか嬉しかったり…
当日の様子
会場として選んだのは、国立駅の南口にある、赤い三角屋根の旧国立駅舎。
駅の南口を出てすぐに目に止まる場所に位置し、普段から人通りも多い公共性の高い場所となっています。
お昼の部では、複数の団体によるジャズや弾き語り演奏、地域のまちづくりに関わる学生団体によるワークショップなどを催しました。
予想以上の盛り上がりを見せたフィナーレのDJ盆踊りなど、イベントを通して、いつもとちょっと違う駅前を作り出せたのではないかと思っています。
最後には私自身も輪に入って踊ってしまいましたが、不思議な高揚感と一体感を感じるあの感覚はすごく良かったです。
夜の部では”After Session”と称し、芝生エリアではトークセッション、旧駅舎内にはDJによるダンスフロアが生まれました。
普段はまちの憩いの場としてゆったりとした時間が流れている旧駅舎で、あのような光景をみれたのはとても面白かったです。
(ただ、あまりに普段の駅舎と雰囲気が違ったので入りにくかったのか、駅から出てくる人達は興味は持っても、そのまま素通りしてしまうパターンが多かったです。次もやるならもっと入りやすくなるように工夫したい…!)
お金はどうしたの?
会場に使った旧国立駅舎は、非営利目的のイベントの場合は無料で使用することができました。
また、使用した備品はほとんどが旧駅舎の備品・もしくは人からお借りしたものであったり、楽器の機材に関しても基本的に演者の方に持ち込んでいただく形にしたので、あまりお金をかけずに準備することができました。
イベントフライヤーの制作費やその他の細々とした装飾費といった経費は、ご厚意でいただいたカンパ(計1万円と少し)から賄い、不足分の7,000円ほどは自費で出しました。
(カンパにご協力くださったみなさん、本当にありがとうございました…!)
本当はイベントの中で販売なども行うことで、イベントによる収益だけで運営費を賄える形にしたかったのですが、今回は準備期間が少なすぎたので、会場を無料で使用するためにも非営利形式のイベントとしました。
次回に向けて
若者オンガクサイは1回きりで終わらせたくはなく、今後も継続的に開催していくつもりです。
イベントが地域の中で話題になったり、運営メンバーとして地域の複数の大学から学生を集められたということは大きかったものの、当日お客さんとして来てくださった学生は全体の1-2割ほどだったように感じており、今後はもっと学生に対するアプローチを増やしていかなければと思っています。
また、地域のお店による出店、グッズの販売なども行うことでイベントを継続的に自走させられるような形を作っていきたいですし、
今後は会場を変えて開催してみたり(畑とか、銭湯とかでもやってみたい!!)、規模を大きくしてみたり、毎回新しいことにチャレンジしながら面白いと思ってもらえるイベントを今後も創っていきたいです。
今後のイベントの情報はこちらから発信していきます⇓
くにたち若者オンガクサイ(@kunitachi_wakamono) • Instagram写真と動画
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