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【小浜温泉と火山】105度の温泉と雲仙岳の関係
100を超える活火山がある火山大国の日本には、温泉地が数多く存在します。
その中でも、長崎県雲仙市に位置する小浜温泉は、源泉温度が105度と日本一熱い温泉で知られています。実は、熱い温泉が湧き出る秘密は、近くにある活火山の雲仙岳に繋がっています。本記事では、小浜温泉と火山の関係について探求し、その魅力について迫っていきます。
小浜温泉と火山
小浜温泉の地理的背景
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小浜温泉は長崎県南部の島原半島の西側に位置し、山と海の間の狭い土地に温泉旅館が密集しています。温泉街は橘湾に面しており、入浴しながら海に沈む夕日を眺められます。
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島原半島の中心には、活火山の雲仙岳がそびえています。約30年前には雲仙岳の一峰である普賢岳が噴火し、火砕流や土石流によって大きな被害が出たことを記憶している人もいるでしょう。
雲仙岳のマグマの供給源、いわゆる「マグマだまり」は、橘湾の地下深くにあります。前回の噴火が起こる前にも、橘湾で地震活動が始まって、震源が雲仙岳に移動していく前兆現象が観測されました。
火山活動と温泉の形成
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小浜温泉の温泉は、雲仙岳のマグマだまりの成分と熱によって形成されています。まず、雲仙岳に降った雨水が地下に染み込み、豊富な地下水が生まれます。地下水はマグマだまりから熱や成分を受け取り、断層やボーリングに孔から地表に湧き出ます。また、小浜温泉はマグマだまりから近いので、熱が冷めることなく地表に湧き出ることから、源泉温度が100度を超える程熱くなっています。泉質は無色透明の塩化物泉で、慢性皮膚病や神経痛に効くとされています。保温効果もあるので冷え性の人にもおすすめです。
火山と温泉と地熱
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火山活動がもたらす地熱エネルギーは、小浜温泉を豊かな温泉地として形成する以外にも、様々なことに活用されています。地熱は発電にも利用され、「小浜温泉バイナリー発電所」が稼働しています。
また、熱い温泉による蒸気は、食材を蒸すことにも利用されています。野菜を蒸すと、野菜本来の甘さが引き出されます。魚を蒸せば。やわらかくふっくらして美味しさが増します。
他にも、温泉熱は塩作りに活用されています。「天然塩 小浜温泉 塩の宝石(小浜エコロ塩)」は、海水と温泉水を混ぜ、温泉水で蒸発させることにより化石燃料を使用せず塩を製造しています。温泉水が入っている且つ、温泉熱を利用して乾燥させているのは、日本でここだけです。
小浜温泉の持つ地熱エネルギーは、再生可能エネルギーとしてカーボンゼロの実現にも貢献しているのです。
小浜温泉と雲仙岳は、地理的な関係だけでなく、温泉資源の形成や地熱など様々な面で結びついています。熱い温泉に浸かりながら、地下のマグマだまりに想いを馳せてはいかがでしょうか。